昨今のキャンプブームの影響か、ここ数年でスパイスや調味料にも注目が集まり、新商品も次々に発売されているようだ。

代表的なのがオリジナルスパイス「マキシマム」だろう。

マキシマムの製造は宮崎県にある中村食肉が手掛けているのだが、実はこの宮崎県が今、スパイスや調味料の名産地としてにわかに脚光を浴びているらしい。

「えっ、スパイスや調味料に生産地なんて関係あるの?」と思う人もいるかもしれない。しかし実際に味わってみると、決して無関係でないことがわかる。

ということで、今回は宮崎県発祥の注目スパイス&調味料を計4種類実食してレポートをお届けしよう。こんなに美味しいものを食べていたなんて……宮崎県民さん、うらやましすぎるぞ!

▼肉のふくしま「極上スパイス喜び」

まずはコチラ、「極上スパイス喜び」。

「極上スパイス喜び」は明治40年創業のお肉専門店、宮崎県都城市に店を構える「肉のふくしま」がブレンドした逸品で、「家事ヤロウ!!!」や「誰だって波瀾爆笑」など、さまざまなメディアで取り上げられた実績も持つ。

使用しているスパイスはかなりバラエティに富んでおり、オフィシャルの情報によると、「醤油を粉末にしたものに、胡椒、鰹エキス、食塩、ガーリック、パプリカ、オニオン、レッドペッパー、唐辛子、オレガノ、他15種類ほど」を荒挽きでブレンドしているようだ。

肉に限らず、スープやサラダ、チャーハン、パスタ、天ぷら、果ては刺身や納豆など、さまざまな調理に振りかけて楽しめるのだという。今回はやはり正攻法を取って焼肉で試してみたところ……

あ~、めちゃくちゃウマい。味わいは複雑で、醤油やかつおエキスのコクや旨み、胡椒や唐辛子などのピリッとくる辛み、ガーリックやオニオンなどのパンチのある香り、コリアンダーやオレガノ、バジルなどの一癖ある爽快感などが絶妙に混じり合っている。

そしてまさに、この重奏的な味わいこそが肉の旨みを最大限に引き出しているのだ。スパイスの配合次第では、インパクトが強くなりすぎて肉の味すら消してしまうだろう。しかし、「極上スパイス喜び」は、スパイスの美味しさをしっかり感じさせつつ、肉本来の素材の味をもちゃんと楽しませてくれる。

▼早川みそ「umami・so」

続いては「umami・so」。

製造元は、宮崎県都城市で明治18年から営んでいる老舗企業「早川みそ」。この「umami・so」は「MISO パウダー」と書かれているように、使っている材料はガチで……

九州産の大麦と大豆、塩のみ! マジで味噌じゃん。マジな味噌パウダーじゃん……と驚かされるが、使い道はステーキや焼き魚、チーズ、サラダ、おにぎり、パスタ、BBQ、天ぷらなど、かなり広範囲をカバーしているようだ。

せっかくなので、こちらも焼肉でいただいてみたところ……

あっ、本当に味噌だ。ウマっ。でも、普通の味噌を直接漬ける直接つけるのとは全然違う。本当に「味噌のパウダー」で、この粒感も面白いし、乾燥させているからか、最初はさっぱりとした口当たりで、噛んでいくうちに徐々に味噌の旨みや甘みが顔を出してくるイメージである。芳醇な味噌の香りもいいし、無化調で味わいも優しげだ。

素朴ながら味噌の深い味わいが表現されているので、手軽に味噌風味に味付けできる調味料としても優秀である。これからの季節は鍋料理のアクセントとしてふりかけてもよさそうだし、クリーム系のパスタなどに隠し味として入れてみても面白そうだ。

▼OGAWA FARM「トマトXO醤」「トマト香みそ」

最後に、パウダータイプから趣向を変えて、トマトをベースにした調味料「トマトXO醤」「トマト香みそ」を紹介したい。

製造元は宮崎県小林市で2008年に新規就農した「OGAWA FARM」。夫婦二人で年間約9トン(約55万個)ものミニトマトを栽培から販売まで一貫して手がけている。彼らが「トマトの香トマトを知り尽くした私たちが、最も生きる配合を考えて辿り着いた」と自信を持って作り出したのが、この「トマトXO醤」と「トマト香みそ」である。

「トマトXO醤」はトマトにニンニク、米味噌、米麹、唐辛子、ごま油、ごま、アーモンド、松の実、海塩などで作られた調味料だ。これはチーズ料理などにも合いそうなので、カプレーゼに合わせてみたところ……

革命的にウマい……。トマト料理なので合わないわけがないが、やはりチーズとの相性は抜群。「トマトXO醤」はトマトの酸味や甘みが際立っており、米味噌、米麹、ごま油のコクや旨みも濃厚で、後からかなりしっかりした唐辛子のスパイシーさも襲いかかってくる。感情の流れとしては「甘酸っぱい!」「でも辛い!」「だけどウマい!」の3ステップだ。

たまごかけご飯にも合うという情報を発見したので試してみたところ、こちらも間違いない仕上がり。「トマトXO醤」の酸味、旨み、スパイシーさと、まろやかなたまごのマリアージュは斬新だが癖になる味わいである。

「トマト香みそ」は、トマトと味噌、それに季節で変わる調味料(柚子、山椒、シソ等)を合わせた調味料で、他にもアーモンドやごま、香味野菜、柑橘類、唐辛子、塩などが使われているという。

軽く舐めてみたところ、淡白な肉料理に合うように思えたので、さっそく豚肉と合わせてみることに。実際に食べてみると……

完璧……! まず感じるのは、やはりトマトの酸味と甘み、濃厚な味噌の風味、そしてシソの爽やかな香りである。トマトと味噌の甘みが肉の旨みを一層引き出し、トマトの酸味とシソの爽快な風味が豚の油っぽさを見事に打ち消してくれている。

生産者さんは、「豚肉に一番合う調味料です」と言い切ってもいいのではないだろうか。そう思えるくらい、ベストマッチしているように思う。もちろん、鶏の胸肉やササミにも絶対に合うはずだ。

美味しいスパイス&調味料がズラリと揃う宮崎県。いつからスパイスや調味料の名産地と呼ばれるほどに成長したのかはわからないが、今からでも襲いなどということはないので、ぜひ、その素晴らしいクオリティを一度味わってみてほしい。きっと、食卓がいつもより楽しくなるに違いない。