この写真、何かわかりますか。水道管ではありません。パスタの切り口でもありません。チョコを詰め込む前の棒状スナックでもありません。そう、シャーペンの芯のパイプ状の穴をあけたものを拡大してみました。いったい、こんなに小さくて細い場所に穴を開けちゃった、とんでもない人は誰?!
シャーペンの芯に穴あけたった!! #HENKOF2022
穴をあけちゃったのは 日本電産マシンツールのエンジニアたち。日本電産マシンツールは滋賀県栗東市に本社を置く工作機械メーカーです。発電機の超大型部品の加工に用いられる門型加工機では世界最大級規模を誇り、超精度加工機ではサブミクロン単位まで加工してしまう…そんなデカいものから微細なものまで加工してしまう日本電産マシンツールさんですが、今回挑戦したのは微細な方。ちょっと筆圧を強めるとポキッと折れてしまうシャーペンの芯をくり抜くとは?! この凄技にはフォロワーたちもザワザワとどよめきました。
「すげぇ...」「日本の技術力」「やだ…シャー芯に穴開けてる…惚れちゃう…」「穴の中が綺麗すぎる…!! 」「ごめんちょっと理解が追いつかない」「前にもコメントしましたが凄い! で、変態技術(褒め言葉です)」「芯じらんなーい」などなど。日本電産マシンツールの広報担当さんにお話をお聞きしました。
■広報担当さんに聞く
……なぜシャーペンの芯に穴を開けようと考えたのでしょうか。
弊社製品の微細レーザ加工機「ABLASER」の特長である極小の穴を綺麗に開けられることを示すためのサンプルとして作成しました。
……これって貫通しているのですか?
画像はかなり拡大しているので奥深くまで穴があいているように見えますが、実際は深さ2mm程度の穴で、貫通はしていません。それでも直径0.5mm・HBのシャープペンシルの芯に薄肉を残して2mmの穴をあけるのは簡単なことではありません。
……もっとも苦労した点は?
細くて脆いシャーペンの芯に、いかにレーザ光を制御して狙ったとおりに加工するか 、です。
……やはりレーザ光を自由に制御するのは難しいですか。
難しいですね。1回では成功しませんでした。スターウォーズのライトセイバーみたいにフォースの力をコントロールできればまだ簡単に加工できると思うのですが、地球上にあるレーザ光は素直なやつなので、まっすぐはいくらでも進むのですが、曲げようと思うとなかなか言うことを聞いてくれず、思ったように制御するのが難しいのです。それを制御できるようにしたのが弊社のレーザ加工機「ABLASER」です。
……精密加工は日本の得意分野なのでしょうか。
工作機械にはミクロン単位の加工精度が求められます。日本に工作機械メーカが沢山あるということは、精密加工が得意と言って良いと思います。
……精密加工の面白さはどこにあるでしょうか。
技術を追究すると、想像を超えた新しい事実や現象に出会えるところですかね。
……今後挑戦したみたい穴あけはありますか。
「ABLASER」の特徴の一つとして、微細な穴を超高品質に加工できる点があります。その優位性を生かして、半導体分野や医療分野で活躍できるのではないかと考えています。また、技術的には世界一固いダイヤモンドの加工にも挑戦したいと思っています。
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— 日本電産マシンツール【公式】 (@nidec_mt) November 23, 2022