JTBは12月6日、「年末年始(12月23日~1月3日)の旅行動向調査」の結果を発表した。調査は11月11日~17日、年末年始に国内旅行に行く(予定)の15歳〜79歳の男女1,319名を対象にインターネットで行われた。
今年の年末年始の一般的な休暇は、12月28日を仕事納めとすると、1月3日までの6連休に。その前後の平日がそれぞれ3日間続くため休みが取りにくく、例年に比べ長期休暇になりづらい日並びとなっている。そんな今年の年末年始期間中、旅行に「行く」「たぶん行く」という人は16.3%。出発日のピークは30日だという。
各種経済指標、交通機関各社の動き、宿泊施設の予約状況、各種定点意識調査などをもとに、年末年始期間(2022年12月23日~2023年1月3日)の国内の旅行動向について算出したところ、国内旅行人数は2,100万人(対前年116.7%、対2019年71.8%)と推計。また、国内旅行の平均費用は3万7,000円(対前年112.1%、対2019年115.6%)、総額7,770億円となった。
旅行日数については、「1泊2日」(35.6%)が最多だったものの、前年より0.8ポイント減少。一方「2泊3日」(28.6%、前年比+2.3ポイント)や「3泊4日」(15.5%、同+0.3ポイント)は増加傾向に。同行者は「家族づれ」(60.0%)が6割を占め、昨年からは3.2ポイント増加した。
旅行先は「関東」(22.6%、同+0.4ポイント)、「近畿」(17.4%、同-0.1ポイント)が多かったほか、コロナ禍で減少傾向にあった「北海道」(6.7%、同+1.1ポイント)、「沖縄」(3.1%、同+1.0ポイント)は増加。また、居住地別に旅行先を見ると、「中部」以外のすべての地域で居住地域外への旅行需要が増えていることがわかった。
一人当たりの旅行費用は「1万円~2万円未満」(23.0%、同-2.5ポイント)、「2万円~3万円未満」(18.7%、同+0.6ポイント)、「1万円未満」(16.4%、同-5.3ポイント)が多く、宿泊施設は「ホテル」が43.1%と、昨年から8.5ポイント増加。一方で「実家・親族の家」(34.5%、同-2.4ポイント)や「旅館」(11.8%、同-6.9ポイント)は減少傾向となった。
次に、秋ごろから第8波を迎えている現状を踏まえて、「年末年始の旅行において特別に考慮すること」を尋ねたところ、「公共交通機関を使わずに、自家用車やレンタカーを使う」(24.6%、同-3.2ポイント)、「家族・親族や親しい友人以外には会わない」(24.3%、同-5.2ポイント)、「少人数の旅行にとどめる」(20.4%、同-3.3ポイント)が上位に。また、ほとんどの項目で昨年よりポイントを下げる結果に。
同様に、「懸念していること」についても聞くと、「日本国内における新型コロナの再拡大」(49.5%)、「物価高の影響」(34.3%)、「ガソリン代の燃料費高騰」(32.7%)が上位となったが、第7波(2022年夏ごろ)と同規模に拡大した場合でも、64.7%が「予定通り出かける」と回答した。
年末年始期間の海外旅行人数は、15万人(対前年750%、対2019年18.1%)、一人当たりの海外旅行費用は26万円と推計。ウクライナ情勢による世界的な物価急上昇、円安、さらに航空運賃の値上がりに加え、原油高が燃油サーチャージの高騰などが影響し、費用は2000年以降の同社調査で過去最高を記録した。
今の海外旅行の実施時期についての考え方については、「国際情勢や感染症がまだ不安なので、今年度は旅行しない」(22.3%)や「円安や物価が上がっているので、今年度は旅行しない」(21.8%)など、消極的な意見が上位に。しかしながら、世界の多くの国々では、経済の正常化に向けすでに水際対策が緩和されており、オーストラリア・ニュージーランドや東南アジア各国などが日本に先駆け緩和を進め、交流が回復すると同時に、航空座席供給数も回復しつつあるという。
このような背景から、同社は、「今年の年末年始の海外旅行は、比較的経済的に余裕がある層や明確な目的を持った層が、新型コロナ対策の緩和が先行している地域に行く」と予測。JTBの海外企画商品では、ハワイ、グアム、韓国、タイなどの売れ行きが好調となっている。