カシオ計算機が耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」の新作発表会を開催。紹介されたのは、1994年に発売された「DW-001」のフォルムを継承し、最新の技術と仕様で復刻と進化を遂げたモデルだ。開発者によるトークセッションの内容をお届けする。

コンセプトは「カプセルトイ」のワクワク感

登壇したのは、G-B001の商品企画を担当したカシオ計算機の井ノ本脩氏と、デザインを担当した濱上朋宙氏。

G-B001のコンセプトについて井ノ本氏は、「元になったモデル(DW-001)の“カプセルのように包み込む形で耐衝撃性を担保する構造”を生かしつつ、新しい遊び心を加えた」と説明。そのイメージは「カプセルトイ」だという。

  • スクリーンに映し出されたこの形! このマスク顔は紛れもなく、あのレジェンドモデル!

「包み込むという構造だけでなく、カプセルを開けるワクワク感や、開けたときの驚きがあるという方向に再解釈しました。そこで、2色成形のベゼルカバーを着脱式にして、外すと中から異質なもの(ステンレス製のベゼル)が出てくるという構造を考えました」(井ノ本氏)

  • カシオ計算機 企画部 第一企画室 井ノ本脩氏

  • 3時位置(または9時位置)を専用工具で外すと……

  • ステンレスベゼルがこんにちは

  • 大人気のレインボーIPを採用。3時-9時のラインがグラデーションの切り替え位置になっている

しかし、そのコンセプトはすぐに社内の賛同を得られたわけではなかったという。

「ベゼルカバーが着脱できるだけでなく、その先に新たな驚きがあるということを伝えたのですが、カプセルトイ? 実現性は? 構造やサイズ感は? といった指摘を受け、製品化の検討に入るまで時間がかかりました。

ですが、G-SHOCKが40年の歴史の中で培ってきたベゼルの着脱をはじめ、レインボーIP、カーボンコアガード構造、バンドの着脱などG-SHOCKの技術を注ぎ込むことでコンセプトを実現。進化したG-B001を形にすることができました」(井ノ本氏)

  • 「DW-001」は2010年にも「G-001」として復刻されたが、そのときは時計機能としての進化にとどまっていた

また、機能についてもBluetoothによるモバイル連携やLEDバックライトを追加、最新の時計としてアップデートされている。

ちなみに元の「DW-001」にはサーモセンサーが搭載されており、左上の液晶窓はその表示用のものだった。G-B001はサーモセンサーを持たないが、同形の液晶窓が付いている。これは井ノ本氏いわく「1秒単位でアニメーション表示が切り替わる」とのこと。なお、ブロックがランダムに積み上がっていくような(センサーの動きを模したような)アニメーションは「これも遊び心」と語る。

「G-B001には、こんな遊び心が随所に込められているんです」(井ノ本氏)

G-SHOCKの「遊び心と進化」を伝えるモデルに

続いて、デザインについて濱上氏が解説。G-B001は「1994年当時も非常に斬新でチャレンジングだった外観を維持しながら、G-SHOCKの進化と驚きを実現するデザイン」と話す。

  • オリジナル(DW-001)のカプセルタフ構造。その形状は、ほぼG-B001に受け継がれている

  • カシオ計算機 第一デザイン部 Gデザイン室 濱上朋宙氏

最大の特長ともいえる「カバーの下のステンレスベゼル」については、円形の輪郭を生かしながら、より近未来的な雰囲気、それもレトロフューチャーを意識したという。

「特にG-SHOCKが生まれた1980年代、DW-001が生まれた1990年代の映画やカルチャーからインスピレーションを得ています。ブラックとシルバーのモデル(G-B001MVA)は、当時流行したSF映画のイメージ。バンドの赤いラインも、地球を守る防衛軍の銃から放たれるレーザーサイトの赤い光線をイメージしたグラフィックとしています」(濱上氏)

  • 「G-B001MVA」のバンドのラインは、地球を守る防衛軍のレーザーサイトの光線をイメージ

「一方、グレーとゴールドのモデル(G-B001MVB)のベゼルはロボットの顔をイメージしています。セットボックスのイエローモデル(G-001MVE)は、ブルーグラデーションスケルトン交換バンドと集光素材を使用したベゼルカバーが交換用として付属。イエローのシグネチャモデルをベースに、豊富なバリエーションを楽しんでいただけたら」(濱上氏)

  • 「G-B001MVA」(左)と「G-B001MVB」(右)のベゼルカバーを外した状態

  • 「G-B001MVE」のセットボックス

なるほど、随所に遊び心があふれている。ところで、数あるG-SHOCKのレジェンドモデルの中で、そもそもなぜDW-001が今回の記念モデルのベースとして選ばれたのだろうか。井ノ本氏が答えた。

「G-SHOCK 40周年ということで、これまで支えてきてくださったお客さまへの感謝につなげたいという思いがありました。そのためには、やはりお客さまから大きな支持をいただいているモデルであることが選定基準のひとつでした。また、DW-001は遊び心を発揮できるモデルだとも思いました。これらを総合的に考え、お客さまへの感謝とG-SHOCKのこれまでの進化を伝えるには、DW-001が最適と判断しました」(井ノ本氏)

  • 「DW-001」開発当時の資料

人気モデルだけに、その復刻には相当のプレッシャーもあったのでは? との問いに対して、井ノ本氏は「プレッシャーはありましたが、企画当初からただの復刻ではなく新しいチャレンジをしたい、いろいろな要素を入れてやりたいと思っていたので、その楽しみのほうが多かったですね」と笑う。

  • DW-001のカプセルタフと「カーボンコアガード構造」「メタルカバード構造」を組み合わせることで、新たな価値を実現

濱上氏も「復刻+進化という形で、お客さまに楽しんでいただくと同時に、G-SHOCKの進化も感じていただくという、このバランスにはプレッシャーを感じました。でも、私もそのチャレンジへの楽しみや、やりがいのほうが大きかったです」と語った。

ちなみに、バンドやベゼルカバーのオプション販売などは予定していないとのこと。記者から「ベゼルカバーを取り外して、もし失くしてしまったらどうしたらいいか」との質問もあったが、回答は「取り外したら、失くさないように大切に保管してください」とのことだった。納得。

  • ベゼルカバーを外して使うのもアリ。ただし紛失にはご注意を

価格は、イエロー×レインボーIPのベゼル、さらに交換用のベゼルカバーとバンドが付属する「G-B001MVE」が44,000円、ブラック×シルバーの「G-B001MVA」が34,100円。グレー×ゴールドIPベゼルの「G-B001MVB」が33,000円。すべて2033年1月27日に発売予定だ。