「保険業界への就職を希望しているけれど、志望動機をうまく伝える自信がない」という悩みはないでしょうか。保険業界は就活生からの人気が高く、非常に多くの応募がありますので、その中で埋もれないような志望動機を考えたいですよね。

そこでこの記事では、保険業界の志望動機はどう書けばいいのか、書き方のポイントをご紹介します。例文もあわせて記載しましたので、こちらを参考にしながらご自身の志望動機を作成してみましょう。

■保険業界の概要や求められる人物像

志望動機に自信がないのは、保険業界やその仕事内容をよく理解していないからかもしれません。まずは、保険業界の概要を確認し、業界で求められる人物像も知っておきましょう。

<保険業界とは>

・保険業界の特徴

保険業界は、非常に大きな規模を誇る業界です。世界的な再保険会社であるSwiss Re社発行の「sigma No.3/2021」によると、2020年の損害保険の日本の市場規模は約13兆円で世界第4位、生命保険の日本の市場規模は約32兆円で世界第3位となっています。

また、保険業界は平均年収も高く、大手企業であれば、年収1,000万円以上稼ぐ人も珍しくはありません。収入が高く働きやすい環境にあることから、平均勤続年数は15年と比較的長い傾向にあるようです。

・保険と保険会社の種類

保険は「生命保険(第一分野保険)」「損害保険(第二分野保険)」「第三分野保険」の3つに分けられ、保険会社によって扱える保険が異なります。

第一分野である生命保険は「人の生死に関して一定額を支払う保険」のことで、生命保険会社が取り扱います。たとえば、定期保険や終身保険、収入保障保険、養老保険などが当てはまります。

一方、第二分野である損害保険は「偶然の事故によって生じた損害をカバーする保険」のことで、損害保険会社が取り扱います。たとえば、火災保険、自動車保険、賠償責任保険などが当てはまります。

そして、第三分野は「傷害や疾病、介護などに関して一定額を支払う、またはかかった費用を補てんする保険」で、医療保険や傷害保険、ガン保険、介護保険などが当てはまります。第三分野の保険に関しては、生命保険会社と損害保険会社どちらでも販売することができます。

・保険業界の仕事内容

保険業界には他の業界と同様にさまざまな職種がありますが、ここでは主な職種として営業職、事務職、開発企画の仕事を簡単にご紹介しましょう。

営業職は、顧客に対し、自社の保険商品を売り込む職種です。契約後のフォローや更新時の保険見直しも業務に含まれますので、顧客とコミュニケーションを取るだけでなく、継続した信頼関係の構築も必要となります。

事務職は、申込書類の作成や確認、保険料の領収、保険給付金の手続きなど多岐にわたる業務を行います。顧客の大切なお金を扱うため、責任感を問われることはもちろん、作業の正確さ、素早さも求められる仕事です。

開発企画は、新たな保険商品を生み出す仕事です。社会情勢や構造の変化、市場のトレンドなどさまざまな要因を考慮したうえで、商品の開発や企画を進める必要があります。そのため、常にアンテナを張り、普段から情報収集を怠らない姿勢が大切になる職種です。

<求められる人物像>

・誠実で責任感がある

保険は、病気やケガ、事故など人生の中で起こり得る「もしも」に備えるものです。また、一般的に、保険にかかる金額は決して小さなものではありませんし、生命保険の場合は特に、保険の加入が人生を左右することもあるでしょう。そのため、保険業界では、顧客の人生に寄り添えるような、誠実かつ責任感のある人材が求められています。

・問題解決力がある

保険業界の中でも特に営業職は、顧客へのヒアリングによって顧客が気づいていない課題を見つけたり、人生のリスクについてアドバイスしたりと、課題を見つけ解決する能力が求められます。

また、急速に変わりゆく世の中に対応するため、保険業界もさらなるグローバル展開などこれまでの枠組みにとらわれない変化が急務となっています。そのような中では、日ごろから常に問題意識を持ち、自ら課題に気づいて解決まで導ける人材が歓迎されています。

■志望動機を書く際のポイント

<業界や企業を研究し、保険への理解を深める>

保険業界の志望動機では、「なぜ他の業界ではなく保険業界なのか」を明確に書く必要があります。また、「保険業界の中でもなぜこの会社なのか」という点も欠かせない要素でしょう。そのためには、保険業界や希望する会社について詳しく研究しておくことが必須となります。

さらには、保険の種類や役割についても基本的な知識を身に付けておきましょう。保険会社は、生命保険会社と損害保険会社の2種類に分けられます。「なぜ損害保険会社ではなく生命保険会社を志望するのか」という問いにもはっきりと答えられるようにしておく必要がありますし、顧客や世の中にどう貢献したいかを述べるには、保険の役割を知らないと難しいからです。

保険については入社後に詳しく勉強しますが、志望動機を述べるのに困らない程度はあらかじめ学んでおきましょう。

<自己分析をする>

志望動機で特に重要なのは、希望する企業と自分自身がどのような点で結びつきがあるのかを示すことです。これが明確であるほどオリジナルの志望動機として目を引き、他の応募者との差別化が可能になります。

そこで、自己分析を深め、自分の強みや価値観、経験などを洗い出してみましょう。自己分析をしっかりしておくと、「入社後、自分の強みを仕事の中でどう再現できるか、どう役立てられるか」をスムーズに伝えられます。

また、企業と自分の結びつき、共通点を見つけるためには、自己分析だけでなく前述した企業研究を忘れずに行っておきましょう。

<志望動機に盛り込むべき3点をおさえる>

これらを踏まえ、保険業界の志望動機には以下の3点を盛り込み構成していきます。

1.保険業界や商材を選んだ理由

まず、数ある業界の中でなぜ保険業界を志望し、保険業界の中でもなぜその商材(生命保険、損害保険)を選んだのか、結論を端的に伝えましょう。先に具体的なエピソードを話してしまうと結論にたどり着くまでが長くなり、最も伝えたいことが曖昧になってしまいます。そこで、はじめに、保険業界(生命保険会社、損害保険会社)を選んだ理由を述べておくことが重要です。

次に、保険業界を志した具体的な理由やエピソードを述べましょう。きっかけとなった出来事やビジョン、他の業界との比較など、自己分析や業界研究から得た要素、情報を元に作成していきます。特に、自身の経験を織り交ぜられると、印象に残る志望動機に仕上がるでしょう。

「親戚が震災で被害に遭ったが、加入していた保険に救われ、生活を守る保険の大切さを実感した」など、志望したきっかけやエピソードが具体的であるほど、保険業界でなければならない理由に説得力が増します。

2.保険業界の中でもその企業を選んだ理由

次に、保険業界の中でもなぜその企業を選んだのか、なぜその企業でなければならないのか、その理由について述べていきます。採用側の企業は、学生の「志望度の高さ」をとても気にしています。それは、いくら優秀な人材に内定を出しても、最終的に入社してくれなければ費用や手間をかけて採用活動をした意味がないからです。

そこで、その企業の強みや取り扱う商品、企業規模などをよく調べて志望動機に盛り込み、「本気でこの企業に入社したい」という姿勢を見せることが重要になります。

自分のキャリアビジョン、他社と比較した時の優位性などを述べながら、「その企業でなければならない理由」を明確に伝えましょう。

3.入社後に成し遂げたいこと、活躍できる人材であることをアピールする

志望動機の最後には、入社後に成し遂げたいことを伝えたり、自分は入社後に活躍できる人材であることをアピールしたりして、締めくくりましょう。採用担当者が入社後の活躍の様子を具体的にイメージできるよう、将来のビジョンや自分の強み、能力をよく理解しておくことが必要です。

入社後に何を成し遂げ、どう貢献できるのかを今から真剣に考えておきましょう。

■保険業界の志望動機の一例

最後に、保険業界の志望動機の例文を1つご紹介します。また、注意点もあわせて解説しましたので、志望動機作成の参考にしてください。

<保険業界の志望動機サンプル>

私は保険を通じて安心して暮らせる日常を人々に届けたいと思い、保険業界を志望しました。また、その中でも損害保険会社で活躍し、世の中に貢献していきたいと考えています。子どもの頃、父が車で事故を起こしたことがあるのですが、金銭面だけでなく精神的な不安を少しでも解消してくれた保険の存在がとても心強かったことを、今でもよく覚えています。それ以来保険に興味を持ち、将来は保険業界で働きたいと考えるようになりました。

特に、貴社は保険商品の取り扱い数が多く、お客様に合わせた柔軟な保険の提案が可能になると考えています。私は大学時代にアパレルで接客のアルバイトをしていて、相手のニーズに合わせた提案ができるという自負があります。入社後は、営業職として保険の販売を通じてお客様に安心を届け、保険によって救われる人を一人でも増やしたいです。

<志望動機を作成する際の注意点>

保険業界の志望動機を書く時には、保険や業界のビジネスモデル、仕事内容について理解していることを伝えるようにしましょう。業界や仕事内容への理解が足りないと、入社後にミスマッチが起こって早期退職されてしまうと懸念され、マイナス評価につながることがあるからです。

また、自分を採用するメリットも具体的に伝えましょう。保険業界は人気がありますので、その他大勢として紛れてしまうようなアピールでは採用を勝ち取ることはできません。「自分でなければできないこと」を自身のエピソードから必ず盛り込みましょう。

■入社後の活躍をアピールできる志望動機を作ろう

志望動機が漠然としたものでは、選考を通過することは難しいです。具体的で説得力のある志望動機を作成するため、入念な自己分析や業界・企業研究を欠かさないようにしましょう。

入社後の活躍を期待してもらえるような志望動機を作り、希望する企業への就職をぜひ成功させてください。