日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)は、パワータイプや軽量タイプなど多彩なコードレススティッククリーナーを発売しています。これまではコードレスクリーナーの集塵方式にサイクロンを採用していましたが、2022年12月に発売予定の新製品「かるパックスティック PKV-BK3K」(以下、PKV-BK3K)は、コードレススティッククリーナーとしては珍しい紙パック式です。

しかも、重さは標準ヘッド装着時で1.1kgと超軽量。紙パック式は「吸引力が持続しない」というイメージがありましたが、新製品はどうか? プレス向けの体験会で実際にチェックしてきました。

  • 注目の紙パック式軽量コードレス掃除機「かるパックスティック PKV-BK3K」。本体サイズはスティック時で幅230×奥行き205×高さ1,082mm。価格はオープン、推定市場価格は82,000円前後

紙パックなのに「吸引力が長く続く」理由とは?

一時期は高機能クリーナーといえばサイクロン方式が全盛でしたが、今はあえて紙パック式を選択するユーザーも増えています。

サイクロン式は「ゴミが溜まっても吸引力が続く」「ランニングコストがかからない」といった点がメリット。一方の紙パック式にも、「ゴミ捨てが簡単」「ホコリが舞わない」「ダストビンの掃除が不必要」など、複数のメリットがあります。新製品のPKV-BK3Kは、この紙パック式のメリットと、日立のコードレススティッククリーナー「ラクかるスティック」シリーズの軽さと機能性を合わせた製品です。

  • 0.4L容量の専用「抗菌3層パックフィルター GP-S120FS(6枚入り)」価格は1,210円。1枚の使用目安は約2カ月なので、6枚入りで約1年間の計算です

  • 青い箱に入ったゴミの量が、家庭の掃除機で吸う約2カ月分(約60g)の目安。かなりコンパクトにみえる紙パックですが、PKV-BK3Kはゴミを風圧で圧縮するため、見た目より多くのゴミを集められます

紙パック式の掃除機で気になるのは、「ゴミが溜まると空気の通り道がふさがれて、吸引力が落ちる」というデメリット。今回、日立は紙パックをセットする空間に風が流れる複数の通り道「パワー長持ち流路」を作ることで、吸引力が持続する工夫をしています。

一般的な紙パック式の掃除機は、ゴミが紙パックの底に溜まっていき、紙パック底から風が抜けなくなって吸引力が落ちます。PKV-BK3Kのパワー長持ち流路は、紙パック底から空気が抜けにくくなると、ゴミが溜まっていないパックの上部側面から空気が抜け、「パワー長持ち流路」から風が排気口まで通り抜ける仕組み。このため、紙パックがゴミで満タンになるまで、常に一定以上の吸引力を確保できるといいます。

  • 「パワー長持ち流路」の概要。紙パックがゴミでふくらんで来ても、ヘッドから吸い込んだ空気がスムーズに排気口へと通り抜けます

【動画】どれくらい吸引力が持続するかを実際に確認。前述した「2カ月分のゴミ」が入ったパンパンの紙パックをPKV-BK3Kにセットした状態で、6ポンド(約2.7kg)のボーリング玉を吸引力で持ち上げています
(音声が流れます。ご注意ください)

日立は紙パック式のキャニスター掃除機も多く発売しており、今回のPKV-BK3Kにもキャニスター掃除機で好評の機能を取り入れています。そのひとつは、満タンになった紙パックを取り出しやすくする「紙パックするりん構造」です。一般的に、紙パックが満タンになると、紙パックがふくらんで掃除機本体から取り出しにくくなります。PKV-BK3Kの場合、紙パックを取り出すときに、紙パック底部のフィルターが一緒にスライドし、本体から簡単に引き抜けます。

さらに純正紙パックは、引き出すときに吸引口を自動的にシール状のフタで密閉できる構造。満タンになった紙パックを取り出すとき、中のゴミやホコリがこぼれ落ちにくい「こぼさんパック」を採用しています。

  • 紙パック底部にある水色のフィルターが上下にスライド。膨らんだ紙パックを取り外すときにスルッと引き抜けます

【動画】純正紙パックを取り外すところ。黄色いパック本体を引き出すと、本体に引っかけた剥離紙がはがれて、シール状のフタが吸引口をふさぎます。紙パックを捨てるときに、紙パック内のホコリなどが舞う心配がない「こぼさんパック」という仕組みです
(音声が流れます。ご注意ください)

便利機能も継続して搭載、ほぼ同スペックのサイクロン式も

PKV-BK3Kは軽量タイプのクリーナーながら、日立ならではのさまざまな便利機能を備えています。たとえば、ヘッド前面には白と緑のLEDライトを配置し、床の上で見えにくいゴミを見えやすくする「ごみくっきりライト」を搭載。

緑色LEDの明かりは人間がもっとも明るく感じる波長に近いため、ゴミと床の明暗が大きくなります。暗い場所はもちろん、明るい場所で見えにくかったゴミも、しっかり浮かび上がるように見えます。たとえばソファの下などを掃除しようとすると、LEDで照らされて「こんなにホコリが!?」とビックリすることもあります……。

【動画】一見きれいなフローリングですが、緑のLEDライトを当てると細かなゴミがくっきりと浮かびます
(音声が流れます。ご注意ください)

このほか、髪の毛といった糸状のゴミがヘッドブラシに絡まりにくい「からまんブラシ」、ヘッド裏のフラップ開閉によって押すときも引くときもゴミを吸う「シンクロフラップ」など、掃除に便利な機能を搭載しています。

【動画】ブラシ先がループ形状になっているため、糸状のゴミがブラシの毛隙間に入り込みにくく、絡まりにくい「からまんブラシ」。動画では黄色い5本の糸を吸い込んでいますが、掃除後のブラシに糸が絡まっていません
(音声が流れます。ご注意ください)

【動画】ヘッドの動きに合わせて可動する「シンクロフラップ」。ヘッドを押して掃除するときは、青いフラップが立った状態でヘッド内を密閉して吸引力をアップ。ヘッドを引いて掃除するときはフラップが倒れて後方のゴミをヘッド内に引き込んでしっかり掃除します
(音声が流れます。ご注意ください)

なお、2022年12月中旬にPKV-BK3Kと同じく重さ1.1kgの新製品「ラクかるスティック PV-BL1K」も発売する予定です。こちらは集塵方式にサイクロンを採用しています。推定市場価格は71,000円前後で、PKV-BK3K(82,000円前後)よりも少し低価格ですが、PKV-BK3Kと同じモーターを採用しており吸引力はほぼ同等。ただし、スタンドなどの付属品が一部ないほか、ヘッドにごみくっきりライト機能とシンクロフラップ機能を搭載しない「自走コンパクトヘッド」となります。

  • PKV-BK3K(写真左)と同じく、2022年12月発売予定の新製品「ラクかるスティック PV-BL1K」(写真右)も1.1kgの軽量タイプ。マイナビニュース・デジタルの林編集長「どっちも指一本でも持ち上げられる軽さ。カーテンレールなんかの高い場所の掃除も楽そう」