創業79年、東京・白金台にて、400年以上の歴史を重ねる「八芳園」。この敷地内にある老舗料亭「壺中庵」から、同料亭の歴史や文化、四季の風情をイメージしたオリジナル手土産ブランド「壺中庵」が誕生した。12月7日より「銀座三越」内のポップアップストアにて販売されるのに先立ち、商品の全貌を紹介する。

  • VIP御用達! 八芳園の老舗料亭「壺中庵」から手土産ブランドが誕生! 繊細なお菓子を先取りレポート

■政治家や財界人も多く訪れる老舗料亭「壺中庵」

実業家であり、日立製作所をはじめとする企業の礎を築いた久原房之助の私邸として1950年まで使われていた「壺中庵」。敷地の北~南にかけて3棟の建物を連ね、それぞれから望む景観を大きく変化させるよう建てられている。

  • 大家東山一郎による趣深い表札が掲げられている「壺中庵」

1994年、若くしてこの地を訪れた作家・遠藤周作がその秀逸な眺望から中国故事「壺中の天」を連想し、「壺中庵」と命名。

政財界の重鎮として活躍した久原の東京別邸であるこの場所には、国内外の政治家や財界人の多くが訪れており、その中の一人が、中国革命の父・孫文。さらに2022年5月には、岸田首相とバイデン米国大統領による、「日米首脳非公式夕食会」の会場として利用されたことで話題となった。

  • 数寄屋造りの室内からは四季折々の風情ある庭園を眺めることができる

■特別なひとときを提案するお菓子5種

今回発売する5つのオリジナルスイーツは、それぞれ「壺中庵」の歴史と文化、日本の四季や風情あふれる庭園をイメージして開発。ブランドロゴは「壺」の字をピクトグラムにしたもので、真ん中の●は満月を意味する。

日本の四季を愛した「八芳園」創始者たちは、月を愛でるために自邸(のちの壺中庵)に月見台を設えさせていたというほど。それに由来し「ひと月に一度、満月の夜だけは月を眺めながらこのお菓子で特別なひとときを過ごしてほしい」との想いが込められている。

商品は和素材の味わいを贅沢に生かした伝統の品に加え、日本らしい食材に新しい素材を組み合わせた全5種類がラインナップ。伝統とモダンの巧みな調和を感じることができる逸品を、大切な人への手土産や自分へのご褒美など、"とっておきのお菓子"として提案する。

どら焼き「十五夜の月」

ブランドロゴが刻印されたどら焼き「十五夜の月」。北海道産の小豆を丁寧に炊き上げており、オーソドックスな「小倉餡」に加え、黒糖の名産地・沖縄県波照間島の黒糖を贅沢に使用した「黒糖餡」の2種類がお目見え。

  • どら焼き「十五夜の月」各454円

ふんわり・しっとり食感の皮で包んでおり、まん丸などら焼きには、これを見て「美しい月を思い、日本の風景の美しさ、明るさを思い出してほしい」との想いが込められている。

こちらには煎茶を合わせるのがおすすめということで、この日は星野製茶園が手がける福岡県八女の幻のホワイトリーフ「白姫」をペアリングした。

最中「時の重ね」

同じく沖縄県波照間島の黒糖を贅沢に使用した黒糖餡のコクが、しっかりと感じられるのが最中の「時の重ね」。

  • 最中「時の重ね」各486円

長い間たくさんの人が訪れ、多くの時を重ねてきた「壺中庵」に思いを馳せながら、種と餡を重ねた味わい深い最中を楽しんでほしいと、この名がつけられている。

香ばしい最中の種は、黒糖餡の味わいに負けないものを厳選して使用。黒糖餡も種との相性を考え、どら焼きで使用していたものとは異なり水気が少なめで、ホロホロほどけるような食感に仕上げている。こちらの最中にも煎茶のペアリングがおすすめとのことだ。

琥珀糖「天の静寂(しじま)」

桐箱に入れられ、まるでジュエリーのように美しく輝く琥珀糖の「天の静寂(しじま)」。着色料・香料を一切使用していない、素材本来の風味と色を生かした琥珀糖で天の星を薄く切り落としたような、繊細で優しい色合いだ。

  • 琥珀糖「天の静寂」10枚木箱入り(各5種×2枚) 3,240円/25枚木箱入り(各5種×5枚) 6,480円

琥珀糖は「酒粕」、「ペパーミント」、「日向夏」、「酢橘(すだち)」、「ブルーベリー」の5種類を取りそろえている。3cm四方で厚さ7mmという繊細な作りの琥珀糖は、外はカリッと、中はゼリーのようにトロッとしており、食感のコントラストも楽しい一品だ。「天の静寂」という名の通り、静寂の中でそっとこの繊細な琥珀糖の香りを堪能したい。

こちらには手摘みの茶葉を使った玉露「出品玉露八女伝統本玉露」のような、しっかりとうま味のあるお茶のペアリングがおすすめだという。

羊羹ショコラ「秘密の四更(しこう)」

お茶だけでなく、ウイスキーやワインと合わせたい大人な味わいのお菓子が、羊羹とチョコレートを融合した羊羹ショコラの「秘密の四更(しこう)」。

独自の製法で炊き上げた羊羹は、素材の芳醇な香りと深みのある濃厚なテイスト。甘さを控えめに仕上げたチョコレートを一粒ひと粒丁寧にコーティングすることで、和洋折衷を感じることができる新しいお菓子だ。こちらは3種類のフレーバーが揃う。

  • 羊羹ショコラ「秘密の四更」全3種各1,944円

「赤ワイン無花果」は、無花果を赤ワインとスパイスでコンポートし、ピュレにしたものをふんだんに練り込んだ羊羹を、チョコレートで一粒ずつ丁寧にコーティング。プチプチとした無花果の食感が小気味良い。

静岡県産の焙じ茶葉とブルーベリーを、独自の製法で炊き上げた羊羹に練り込んだ「焙じ茶ブルーベリー」は、焙じ茶の香ばしさと、果肉も入ったブルーベリーの甘酸っぱさとみずみずしさが印象的。

70%カカオチョコレートを独自の製法で炊き上げて羊羹に練り込み、ラム酒に漬け込んだ干し葡萄を入れた「ラム干し葡萄」。素材ごとの芳醇な香りと深みのある濃厚なテイストを感じることができる。

ちなみに四更とは一夜を5つに分けた五更のひとつで、現在の深夜1時~3時頃のことを指す。夜な夜なお酒やお茶などと共に、ひっそりとした魅惑の夜へ誘ってくれる大人のお菓子だ。

お茶であれば抹茶「池の白」などの抹茶とも相性がいい。ちなみにどれも加工の過程でアルコール分は飛ばしてあるので、お酒が苦手な人でも安心して食べられる。

パウンドテリーヌ「刻の⼀刻(ときのいっこく)」

発酵バターと徳島県産和三盆を贅沢に使用した、しっとり&濃厚な味わいが特徴的。パウンドケーキとテリーヌを合わせたような"パウンドテリーヌ"という新感覚なお菓子に仕上がっている。

  • パウンドテリーヌ「刻の⼀刻」各756円

こちらも2種類を展開。「山の木葡萄と渋皮栗」は、小さな山の木葡萄をピュレにして生地に練り込み、渋皮栗を贅沢に丸ごと入れている。チーズのようなうま味と山の木葡萄の酸味が、ワインや紅茶とぴったり。香り豊かな金柑を千切りにして焙じ茶を練り込み、生地に混ぜた「金柑と焙じ茶」は、豊かなお茶の香りが上品な余韻を残す。

「刻の一刻」という名の通り、ひと口食べたこの一刻をまた何度も楽しみたくなるようなお菓子。こちらには日本の製法で作られた和紅茶「星の紅茶」などを合わせるのがおすすめだという。


なお、紹介したお菓子は、それぞれお好みで木箱に入れた詰め合わせとして用意してもらうこともできる。

  • 木箱【L】:一段 880円/二段 1,320円、木箱【M】:550円

歴史と伝統に違わぬ上品さと新鮮な驚きを兼ね備えた「壺中庵」初となる手土産ブランド。日本人だけでなく、海外の人の舌にも合うよう作り込まれていると感じた。なお、本手土産はポップアップストアだけでなく、「壺中庵」にて予約販売も行っており、電話かメールで予約が可能となっている。

■Information
〈壺中庵〉手土産ブランド ポップアップストア販売詳細
【販売期間】2022 年12月7日~2023年4月4日
【場所】銀座三越 本館地下2階 スイーツパークⅢ (東京都中央区銀座4-6-16)