三省堂は11月30日、「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』選考発表会」を実施。応募総数1,041通(異なり673語)の投稿などをもとに、「今年の新語2022」ベスト10を選定した。

  • 三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』ベスト10

    三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』ベスト10

「今年の新語2022」大賞は、「かけた時間に対しての効果や満足度」「時間的な効率」などの意味で使われる「タイパ」だった。数年前から、「タイムパフォーマンス」の略として見られるようになった語だが、特に、「倍速視聴」や「ファスト動画」など動画の分野で時間を節約する傾向が顕著となった今年に、用例が多く見られるようになった。

続いて2位に入ったのは「○○構文」。「おじさん構文」「ちいかわ構文」「進次郎構文」「メフィラス構文」など一見関連のないジャンルの中で出現する語が「○○構文」という形で共通性をもっていることは、新たな「構文」の用法と、このことばに託された時代の雰囲気を感じ取ることができる。

3位には、形容詞「気まずい」の語幹を感動詞として使う「きまず」がランクイン。若い世代がたいして気まずくなくても、相づちのように使うように。

4位には、オンラインによるコミュニケーションが一気に加速した中で、ネットワーク上に構築される三次元グラフィックの仮想空間「メタバース」がランクイン。5位は「○○くない」で、「できるんじゃない?」を「できるくない?」、「行ったんじゃない?」を「行ったくない?」という新しい言い方。日常の話しことばを大きく変える可能性が感じられる語と言える。

6位「ガクチカ」は就活用語として10年以上前からある語だが、コロナ禍で学生生活が制限されるため「ガクチカ」として語れるものが少なくて困っている、ということで話題になった。今後も就活が続いて行く中で、この語の動静が注目される。

7位「一生」は、新しく生まれた用法で、現在や過去のことについてまで長い時間「ずっと」という意味で使われる。「今日は休日なので一生寝てた」「昨日は友だちの家でお菓子を一生食べてた」など。

8位「酷暑日」は、気候変動が生み出した新語のひとつ。以前から最高気温が35度以上の日を言うマスコミ用語としては存在していたが、この35度以上の日を2007年に気象庁が「猛暑日」と呼ぶようになった。しかしながら、近年はさらに40度以上の日も多くなったことから、今年2022年になって日本気象協会が40度以上の日を「酷暑日」とし、再び注目されることとななった。気候との関わりで重要な語。

9位は「闇落ち」。善良な人が何かのきっかけで邪悪な側に行ったり、怖い人になったりすることを指して言う。10年以上前から存在しているが、本年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で北条義時の性格の急変に対して使われるなど、広く普及してきていることが感じられる。

10位「リスキリング」は、社会人が新たな職に就く際に必要とされる技能や、現在の職で新しく求められる技能を身につけるための学び直しを言う語として、本年になって特に広がりを見せている。岸田首相が国会でリスキリングなどの支援のため5年間で1兆円を投じるという趣旨の発言をしたことも記憶に新しい。

これら10語以外に、投稿も多く寄せられ、いずれも過去を懐かしむリバイバルブームに関連した「平成レトロ」「Y2K」の2語が「選外」として選ばれた。