帝国データバンクは11月30日、「人手不足に対する企業の動向調査(2022年10月)」の結果を発表した。それによると、正社員・非正社員の不足感はともに、2020年4月以降でそれぞれ最も高くなった。
人手不足感の上昇に歯止めがかからない。特に、直近では上昇傾向が顕著で、正社員では6カ月連続、非正社員では5カ月連続で上昇している。
2022年10月時点で、正社員について「不足」と感じている企業は51.1%。前年同月から7.3ポイント上昇、2年前と比較すると17.1ポイントの大幅上昇となり、国内で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した2020年4月以降で最も高くなった。また、人手を「適正」と感じている企業は40.2%、一方で「過剰」は8.7%となった。
業種別では、「情報サービス」(69.1%)が最も高く、7割に迫る水準まで上昇。昨今の旺盛なDX需要を受け、景況感も他業種と比較して活況であるものの、慢性的なIT人材不足がより顕著なものに。次いで「旅館・ホテル」(65.4%)、「飲食店」(64.9%)といったBtoC業種が続いたほか、「建設」(64.5%)や「運輸・倉庫」(63.8%)など8業種が6割を超えた。
非正社員について「不足」と感じている企業は31.0%。正社員の傾向と同様にこちらも前年同月から大幅に上昇し(5.9ポイント増)、国内で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した2020年4月以降で最高値に。非正社員の人手が「適正」とした割合は61.6%、「過剰」は7.4%だった。
業種別にみると、「飲食店」(76.3%)が最も高く、次点は僅差で「旅館・ホテル」(75.0%)が続き、特に前年同月からの上昇幅は39.1ポイントと大幅な上昇を記録。さらに「人材派遣・紹介」(57.5%)、「娯楽サービス」(55.3%)、「各種商品小売」(51.2%)など3業種が5割台となった。
正社員・非正社員それぞれ不足感が顕著となっているのが「旅館・ホテル」および「飲食店」。「旅館・ホテル」は、2回目の緊急事態宣言が発出された2021年1月には5.3%まで低下。そこから再び増加し続け、2022年後半は正社員・非正社員それぞれ6割以上で推移している。
一方「飲食店」は、特に非正社員で人手不足が目立ち、2020年以前から7割を上回る水準で推移。コロナ禍直後は大きく減少したものの、「ウィズコロナ」の定着が進んできた2021年の後半から従来の水準へと戻った。さらに正社員でも10月時点で64.9%と高水準になっている。
さらに前年同月と比較した時間外労働の増減について尋ねたところ、「増加」とした企業は「旅館・ホテル」が66.7%と最も高かった。10月11日より46道府県で開始した全国旅行支援や水際対策緩和によって需要が高まるなかで、時間外労働が急増。次いで「飲食店」でも40.6%と、人手不足が顕著な2業種で時間外労働の増加も目立った。