また、過去に観測が行われた3つの母銀河と合わせて、合計6つの母銀河サンプルを用いて、分子ガスの性質を探ることにしたという。母銀河の分子ガス質量と星形成率(星がどれだけ多く作られているかという指標)の比較が行われたところ、一般的な星形成銀河との違いが確認されたとする。一般的な星形成銀河では、分子ガス質量と星形成率の間には相関関係があるが、FRB母銀河はそれとは異なり、広い範囲に渡って分布していることが確認された。

  • 高速電波バーストFRB 20180924B母銀河から検出された一酸化炭素分子輝線のスペクトル

    (左)高速電波バーストFRB 20180924B母銀河から検出された一酸化炭素分子輝線のスペクトル。速度分解能は秒速50km。(右)さまざまな銀河における分子ガス質量と星形成率との比較(縦軸横軸とも対数スケール) (出所:東大Webサイト)

続いて、分子ガスの割合や消費時間についての調査が行われたところ、こちらもまたFRB母銀河は一般的な星形成銀河とは異なる分布を示すことが明らかにされたほか、大質量星の終末に起因すると考えられるガンマ線バーストや重力崩壊型超新星の母銀河とも異なる傾向が示されており、FRBの起源天体はこれらの起源天体とは異なることが示唆されるとした。

今回の研究により、FRBの起源天体を研究する新たな手法が提示されたが、現状では母銀河のサンプルが6天体と限られているため、統計的な議論を行うためには、サンプルの拡張が必要だと研究チームでは説明している。そこで現在は、分子ガス雲の速度構造を含め、アルマ望遠鏡を用いた新たな観測の解析が進行中としているほか、今後も母銀河の観測を進めることで、FRBの起源天体について迫っていくとしている。