セルシスは11月29日、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」に関して、12月6日に公開するVer.1.13.0の無償アップデートでStable Diffusionモデルに基づく画像生成AIを導入した「画像生成AIパレット」を試験的に実装することを発表した。

※12月6日追記：画像生成AIパレットの試験実装は、ユーザーの声を受け中止となりました。

  • CLIP STUDIO PAINT ロゴ

画像生成AIパレットは、2023年3月リリース予定の「CLIP STUDIO PAINT Ver.2」に搭載される機能で、今回のVer.1への搭載は先行試験実装となる。Ver.2がリリースされた後は、Ver.1での機能提供は終了する予定だ。

Ver.1.13.0での実装では、画像生成AI「Stable Diffusion」を利用し、Stability AIが提供している状態で実装する。今回の実装にあたってセルシスは学習のためのユーザーデータを一切提供せず、ユーザーの明確な同意なしにデータを収集・利用することはないとしている。

また、画像生成AIパレットによって生成され編集に使用された画像と、生成の際に入力されたプロンプトは全てアーカイブし、専用ページにおいて個人が特定されない形で公開。アーカイブされるのはAIによって生成された時点の画像のみで、生成された画像に編集を加えたデータや、生成された画像を使用して作成した作品はアーカイブしないという。

  • CLIP STUDIO PAINTのパレット内で、Stable Diffusionによる画像生成が行えるようになる

画像生成AIによって生成された画像およびそれを使用して制作された作品について、セルシスは用途を制限しないとし、画像生成AIを利用して作成された画像や作品が他者の権利を侵害しないことをセルシスは保証できないとのこと。画像生成AIを利用するしないにかかわらず、作品制作にあたっては、他者の権利が侵害されることのないよう、自身で法律／モラルの両面から留意するようセルシスは呼びかけている。

なお、セルシスは画像生成AIについては様々な懸念点があり、社会的コンセンサスの醸成も必要であることにも言及。画像生成AIが創作活動とどのように共存できるのか、どのようにアプローチしていくべきなのか、ユーザーが画像生成AIを自由に使える形で提供した上で、ユーザーとのコミュニケーションを通じて検討を行いたいとしている。

アップデータの公開にあわせ、画像生成AI機能についての匿名アンケートも実施。その結果をレポートとして公開する予定だ。

今回は試験実装であり将来、機能や提供方法などのあらゆることが変更の可能性があるとし、ユーザーの声やアンケートの結果、「画像生成AIパレット」の利用状況をもとに、画像生成AIの創作活動への活用に関する検討を進める。

これと並行し、アートホスティングサイトとの連携も視野に、作品がアーティスト自身による創作であることを示すための支援機能や独自のAIモデルの開発など、アーティストのニーズに応える機能を提供していくとコメントしている。

 

CLIP STUDIO PAINT Ver.1.13.0に「画像生成AIパレット」を試験的に実装