歌手の中島美嘉が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、27日(通常と異なり13:40~ ※関東ローカル)に放送される『あの日 妹を殺されて2 ~たとえ裏切られても~』。最愛の妹が殺された犯罪被害者の遺族でありながら、刑務所や少年院から出てきた元犯罪者の身元を引き受け、仕事と住居を提供して“親代わり”になっている草刈健太郎さんを追った作品だ。
草刈さんに密着したドキュメンタリーは『ザ・ノンフィクション』で2年前にも放送され、そのときもナレーションを読んだ中島。続編となる今回も、変わらず活動を続ける姿を見て、改めてそのすごさを感じたようだ――。
■怒りをぶつけず、プラスにしていく考え方
前回の放送から、「人生で悲しいことが起きることは誰にでもありますが、怒りをそのままぶつけるのではなく、プラスにしていこうという考え方は、自分もそうありたいと思っていても、実際には難しいですよね。でも、それをやっている草刈さんを見て、『こういう人になりたい』と思うようになって、影響はすごく受けました」という中島。
今回の映像を見て、「妹さんが殺されたということで、普通なら怒りの方向にいくところを、加害者を減らして被害者を減らすという思いを持って活動を変わらずに続けている草刈さんの姿は、やっぱりすごいなと思いました」と、改めて感じたという。
また、前作から2年という期間を経て、「コロナ禍でどうしても何かを諦めたり、辞めたりする人が多くなってしまっていると思うのですが、その中でも支援を続けて、結果を出し続けてらっしゃることに感動しました」と、“継続”する力に大きな感銘を受けた。
■周りが見たら裏切られたということかもしれないけど…
今回、草刈さんが新たに迎え入れるのは、薬物所持や窃盗などで繰り返し逮捕され、3年を刑務所で過ごしたショウタさん(仮名・25)。逮捕をきっかけに妻と子どもたちとも離ればなれになっていた。しかし、草刈さんの元で働き始めて3カ月、「社長を裏切ることは絶対にしない」と誓っていたショウタさんが、寮から消えてしまう…。
時には支援した人に裏切られることもあるが、それでも諦めないで活動する草刈さんを見て、「私はやり始めるまで時間をかけてすごく考える性格なのですが、一度やり始めると止めるタイミングが分からなくなって続けてしまうんです。だから、自分で決めたことに熱中して続けるというのは、もしかしたら共通する部分かもしれませんね」と共感し、それは音楽の活動にも生きているのだそう。
さらに、「私は、仲間になる人だったら100%信じるんです。きっと、周りから見たら裏切られたということもあったかもしれないんですけど、人を大嫌いになることができなくて。だから、草刈さんみたいに同じような考え方を持っている方がまっすぐに生きているのを見て、私もこのままでいいのかなと思ったりもしました」と、背中を押された気持ちになったようだ。
■娘のナレーションに気づかなかった母
前回の放送には様々な反響があったが、「うちの母がその放送を見ながら『すごくいい番組があるよ』と言ってきて、私は『いいよね』とだけ返したんですけど、そのうち私がナレーションをやっていることに気づいて、『なんで言わないの!?』『なんで娘だって気づかないの!?』ってなりました(笑)」という親子のやり取りがあったそう。
今回、再び草刈さんの密着にナレーションをすることに、「前回よりもっとちゃんと伝えたいという気持ちが強くて、スタッフの皆さんにお任せしながら、何度か録り直しもお願いしました」と、少しでも納得できる語りを目指して挑んでいる。
●中島美嘉
1983年生まれ、鹿児島県出身。01年、ドラマ『傷だらけのラブソング』にヒロインとして抜てきされ、その主題歌「STARS」で歌手デビュー。その後、「雪の華」の大ヒットや、映画『NANA』で主演を務めるなど、歌手・女優・ファッションリーダーとして、アジア各国でも注目される。11月2日にニューシングル「Wish」がリリースされた。