JR東海は25日、東海道新幹線の車両床下に付着した雪を取り除く作業を自動化する「自動消雪装置」の試作機を名古屋駅に設置し、性能確認試験を実施すると発表した。

  • 列車が停止したタイミングと位置を検知し、装置が自動で作動する(JR東海提供)

東海道新幹線では、冬季期間中の雪を原因とする床下機器の破損を防ぐため、雪の舞い上がり対策や雪の付きにくい車両の開発、付着した雪の除去などさまざまな対策を実施してきた。車両床下に付着した雪を取り除く作業に関して、この作業を行う頻度が最も高い名古屋駅において、以前はホーム下で作業員が雪落とし棒で作業を行っていたという。その後、高圧洗浄機を活用するなど、より効率的に雪を取り除けるように、順次改善を重ねてきた。

雪を取り除く作業は、寒冷期の厳しい環境下で、作業員を配置して行われるため、これを人手に頼らず自動化することをめざし、小牧の研究施設で「自動消雪装置」の開発を推進。実用化に向け、試作機を名古屋駅に設置し、性能確認試験を行うこととなった。

「自動消雪装置」は温水を用いて雪を落とす装置で、線路内に設置される。具体的には、車両の床下機器を覆う板(フサギ板)などに付着した雪を落とすため、雪の付着面を狙って温水を噴射し、フサギ板を温め、雪の一部を溶かすことで、雪を自重で落下させられる。この装置の導入により、冬の早朝など気候条件が厳しい状況における雪落とし作業の自動化、省力化が可能となる。

  • 線路内に設置された「自動消雪装置」(JR東海提供)

名古屋駅の上り14番線、16号車(先頭号車)付近に「自動消雪装置」を設置し、2022年12月から2023年3月まで性能等の確認を行う予定。性能確認試験の結果を踏まえ、現在の高圧洗浄機を用いた多数の作業員による雪落としの作業体制の改善と効率化を検討する。