鉄道・運輸機構と相模鉄道、東急電鉄は24日、相鉄・東急直通線の新駅として開業する新横浜駅の見学会を実施した。2023年3月の開業(予定)に向け、すでに習熟運転を開始しており、相互直通運転を行う各社の車両がホームに入線する場面も見られた。
相鉄・東急直通線の新横浜駅は、東海道新幹線およびJR横浜線、横浜市営地下鉄ブルーラインと乗換え可能な駅として新設される。これまで、東急線沿線の利用者が新横浜駅へ向かう場合は菊名駅でJR線に乗り換え、相鉄線沿線の利用者が新横浜駅へ向かう場合は横浜駅でJR線またはブルーラインに乗り換える必要があったが、相鉄・東急直通線の開業で利便性が向上する。
■南改札を相模鉄道、北改札を東急電鉄が運営
東海道新幹線の駅と並行する形で建設された相鉄・東急直通線の新横浜駅は、延長約330m、深さ約35mという大規模な地下駅に。地下で交差するブルーラインの駅よりさらに深い場所にホームを設けた。最下層の地下4階をホーム階としており、2面3線の島式ホームで、1番線ホームを相鉄線の西谷・二俣川方面、4番線ホームを東急線の日吉・渋谷・目黒方面として使用。2つの島式ホームに挟まれた1線は2・3番線ホームとし、相鉄線・東急線各方面の列車が使用する予定となっている。
巨大な地下駅を建設するにあたり、地下にいったん壁をつくり、そこから地面を掘り、躯体をつくるという工法で、地上への影響を最小限に抑えたという。鉄道・運輸機構東京支社副支社長の弘中知之氏は、駅のコンセプトを「未来に続けて発展を続けていく」というものであると説明する。
これをもとに、新綱島駅寄りの北改札は、新横浜駅および渋谷方面の先進性を「ライン証明+白色基調のデザイン」で表現。一方、羽沢横浜国大駅寄りの南改札は、相鉄の「デザインブランドアッププロジェクト」に合わせ、横浜を想起させるレンガやダークグレーで表現した。南北それぞれの改札内で共通の壁面デザインも採用。新横浜の歴史の積み重ねを地層で表すものとなっている。
なお、相鉄・東急直通線の新横浜駅は、相模鉄道と東急電鉄が共同で管理・運営を行う駅となる。改札口を2カ所設置し、南改札を相模鉄道、北改札を東急電鉄が運営する。
■動線を意識した改札周りの構造
相鉄・東急直通線の駅建設にあたり、東海道新幹線やブルーラインとの行き来のしやすさも考慮されている様子。東海道新幹線の駅前には、大きな円形の歩道橋ができた。この歩道橋を降りると、相鉄・東急直通線の駅へ行けるようになっている。もちろん地下においても、東海道新幹線と相鉄・東急直通線、ブルーラインのアクセスができるようになっている。
相鉄・東急直通線のホームは地下深くに設置されたが、改札階(地下1階)からホーム階(地下4階)までエスカレーターとエレベーターを完備しており、スムーズに乗り換えられる。相鉄・東急直通線の改札口と同じフロアにブルーラインの改札口もある。ブルーラインの新横浜駅では、従来からあった日産スタジアム方面の改札口とJR線方面の改札口に加え、相鉄・東急直通線との乗換えに便利な位置にも改札口が新設された。
相鉄が管理する南改札からは、東海道新幹線へ乗り換える際、距離が短くなるような場所にエスカレーターが設置されていた。地下深くにあるホームからの移動時間をできるだけ短くしようと、さまざまな工夫がなされている。
■東急電鉄や相鉄などの車両が行き交うホーム
11月24日に行われた新横浜駅の見学会では、ホームにやって来る習熟運転中の列車も紹介された。10時50分頃、日吉方面から到着した列車は、東急電鉄の5050系4000番台「Shibuya Hikarie号」。この列車が日吉方面へ戻っていくと、続いて11時17分、東急目黒線の3000系が到着した。もともと6両編成だった車両に2両増結して8両編成化しており、増結した車両は座席の色が他の車両と異なる。3000系もその後、日吉方面へ戻っていった。
最後は羽沢横浜国大方面から列車が現れた。車両は相鉄の20000系。相鉄・東急直通線から都心へ乗り入れることを前提とした車両で、10両編成の20000系は東急東横線(渋谷方面)へ直通する列車に使用されることになる。新横浜駅に到着した相鉄20000系は、折り返すことなくそのまま日吉方面へ向かった。その他、東京メトロ9000系などの車両が習熟運転を行っている様子も見られた。
発展を続ける新横浜エリアに来春、相鉄・東急直通線の駅が開業することで、各方面との一大結節点となる。地下深い駅ではあるものの、不便さを感じさせないように考慮されたつくりとなっており、動線もわかりやすくなっているように感じられる。相鉄線・東急線の各駅から、多くの人と多彩な車両が行き交う駅になる未来を予感させた。