トヨタ自動車の電気自動車(EV)「bZ4X」が販売再開となった。売り方はKINTOを通じたリース(サブスクリプション)だけなので、正確にいえば申し込みの受け付けを再開したわけだが、このクルマに興味を持っているのはどういう人たちなのだろうか。KINTOが開催している大規模な試乗会に行ってみた。

  • トヨタのEV「bZ4X」

    トヨタのEV「bZ4X」が販売再開! どんな人が試乗している?

法人契約開始が奏功?

bZ4Xはトヨタにとって初めての本格EV。2022年5月に発売となったのだが6月にはトヨタがリコールを届け、KINTOでの申し込み受け付けは停止となっていた。受け付けが再開したのは10月26日のことだ。

販売再開にあたり、KINTOではサブスクの料金を改定。月額利用料(10年のうち最初の4年間)は改定前の10.78万円を10.67万円に、契約時の申し込み金は同77万円を38.5万円に引き下げた。政府の補助金を使えば料金はもっと抑えられる。金額には「自動車税」「自動車保険」「車検代」「メンテナンス、故障修理、代車」「消耗品」「バッテリー保証」などが含まれる。

  • トヨタ「bZ4X」の概要
FWD 4WD
全長/全幅/全高 4,690mm/1,860mm/1,650mm
ホイールベース 2,850mm
車両重量 1,920kg 2,010kg
一充電走行距離(WLTCモード) 559km 540km
最高出力 150kW 160kW
最大トルク 266Nm 337Nm
駆動用バッテリーの総電力 71.4kWh
0-100加速 7.5秒 6.9秒

リコール前は個人客のみが対象だったが、販売再開後は法人客からの申し込み受け付けも開始。現状、新規の申し込みのうち半分くらいは法人からとなっているそうだ。ちなみに、リコール前に契約を結んでいた顧客についても、9割くらいは再契約に前向きな姿勢を示しているとのこと。

  • トヨタのEV「bZ4X」

    「bZ4X」にはリコール前から「法人契約はできないの?」という問い合わせが入っていたという

KINTOでは販売再開を機にbZ4Xの大規模な試乗会を開催している。場所と日時は11月14~19日:愛知県「星が丘テラス」、11月23~28日:東京都「二子玉川 蔦屋家電」、12月2~7日:大阪府「枚方T-SITE」。全体の試乗枠は500枠程度で、愛知では100枠超が埋まり、二子玉川でも11月23日午前中の時点で100件以上の予約が入っていた。

今回は二子玉川の試乗会場を訪ねて、試乗を終えた方に話を聞いた。

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    二子玉川の蔦屋家電に「bZ4X」が!

50代男性2人の評価は?

1人目のAさんは「もうすぐ60歳」という男性。世田谷区の一戸建てに住んでいて、自宅にはEVの普通充電設備が整っているそうだ。乗っているクルマはマツダ「MAZDA3」のディーゼルエンジン車。トヨタ「ランドクルーザー」を注文済みで絶賛納車待ちの状況だという。

EVはすでに何車種も試乗した経験があるとのこと。bZ4Xに乗ってみた感想としては「航続距離の長さやボディのがっしりした感じ、あと、車内の広さ」に好感を持ったそうだ。ただし、ご自身のライフスタイルとして「東京から京都、大阪あたりまではノンストップで」走れることがクルマ選びの条件になるので、EV購入は「もう少し先かな」とのことだ。

KINTOのみという販売方法については「補助金込みで月額8万円は少し割高かな」としつつも、「(クルマを所有する場合は)リセールバリューを気にしなければならないし、車検の手間もある。それに比べればKINTOはすっきりとしていてシンプル」と抵抗がない様子だった。

  • トヨタのEV「bZ4X」

    クルマ好きらしきAさんも「bZ4X」の走りには好感を持ったようだ

2人目のBさんは都内の一戸建てにお住いの50代男性。これまでにスバル「フォレスター」、フォルクスワーゲン「ゴルフ」「ポロ」、ボルボなどに乗ってきた人で、現在はスズキ「ハスラー」を所有している。bZ4Xの試乗会にはウェブで見たのをきっかけに来場した。

試乗した理由は「トヨタのEVがいよいよ登場したので、本気具合を知りたかった」から。EVはこれまで、日産自動車の初代「リーフ」に乗ったことがあるそうだが、bZ4Xの感想としては「アクセルを踏んだ時の加速が段違いで抜群によかった。レベルが違う感じ」と好感触を得たようだ。

ただ、アウトドアを趣味とするBさんの場合、bZ4Xでも航続距離は足りないそうだ。「片道120~130kmでドキドキするような感じだとすれば、東京からだと出かけられるのはせいぜい山梨くらいまで。自分の行動範囲がクルマの航続距離によって制限されてしまうのは本末転倒」との言葉には深くうなづけた。

KINTOのみの販売方法に抵抗はないが、価格については小声で「少し高い」とのコメントが。「ただ、そのうちバッテリーの価格は下がっていくと思うし、距離を含めもう少し使い勝手のいいEVが登場すれば、喜んで買う」とのことだった。

今後は日産のEV「アリア」にも試乗してみたいそうだが、輸入車のEVには「興味がない」し、むしろ「絶対に嫌」とのこと。理由を聞くと、バッテリーの安全性に不安があるという。日本車のバッテリーなら安心感があるし、何か起こっても「日本メーカーなりの対応をしてくれるはず」というのがBさんの考えだ。

ちなみに、bZ4X試乗会参加者の傾向としては男性が多く、年代は50代あたりがメインとなっている。若年層の反応としては、愛知県の開催実績で20代が8%、30代が15%だった。