中小・ベンチャー、スタートアップ企業の広報担当者が自社のサービス・商品、業界の動向について紹介する「第一回 ゼロイチ広報主催 記者発表会」が開催された。
主催の「ゼロイチ広報」は現在80人ほどの会員が在籍する、ベンチャー企業やスタートアップの広報担当者のためのオンラインサロン。本イベントでは同オンラインサロンの会員である27社の広報担当者がプレゼン。一部企業を紹介しよう。
■SNSで話題の「猫壱」新商品
2008年から猫との暮らしを豊かにする事業を展開する猫壱は、猫のダヤン限定デザインの猫用食器「ハッピーダイニングシリーズと、猫用玩具「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン2」を11月下旬に新発売すると紹介した。
従業員9名ほどの同社だが、日本、アメリカ、韓国、中国、台湾とグローバルに事業を展開しており、特に近年はコロナ禍の巣ごもり需要で売上を急成長させた。同社のInstagramアカウントは現在9万弱のフォロワーを抱え、ファンと交流をしながら商品開発などを行うなど、SNSマーケティングに強みを持つ。
累計220万個の販売実績のある「ハッピーダイニング」シリーズ、YouTuberのヒカキンさんなどにも取り上げられた猫用玩具「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 2」などが主力商品となっている。
「今回こうした人気商品を猫のダヤンとコラボし、限定商品として販売することは決まりました。猫のダヤンは人気絵本作家の池田あきこさんが創作した絵本の主人公で、累計発行部数320万部を記録する大人気の絵本と、弊社商品のコラボが実現したかたちになります。猫のダヤンの世界観をあしらい、ハッピーダイニングシリーズからはフードボウルとウォーターボウルの2アイテムを今月から発売開始する予定です。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン2』も含め、販売チャネルはAmazonや楽天などのオンラインショップがメインとなります」
■商品デザインを評価・生成するAIを開発したデザイン会社
プラグからは小川亮社長が登壇した。従業員70人を抱えるデザイン会社の同社だが、パッケージデザイン業だけでなく、消費者に好まれる商品デザインを行うAIソフトウェアの開発・提供を行なっているという。
「評価と生成を繰り返し、消費者に好まれるデザインをつくる世界初のAIサービスを開発しましたが、まず我々が開発に取り組んだのはデザインを評価する部分です。1,020万人にデザイン調査した東京大学との共同研究により完成したAIで、サービスリリースから3年経った現在、約860社のメーカー企業様にご利用いただいており、カルビー『クランチポテト』の事例では売上がリニューアル前に比べて1.3倍になりました」
昨年10月からデザインを生成するAI開発にも挑戦しており、来年2月に「AIを使ってプロのデザイナーがデザインを本気でしてみた展」を開催する予定。
「AIがパーツを組み替えてデザインをつくるというもので、生成と評価を繰り返しながら、1時間に1,000案のデザインを作成します。作成したデザインを『おいしそう』『かわいい』『シンプル』など消費者がどう思うかをAI予測してランキング化することもできます。この秋には文字から画像を生み出す技術が次々と公開され、大きな話題になるなど、現在デザイン業界は『デザイナーの仕事なくなるんじゃないか』とも言われています。来年2月の個展ではAIがデザイン業界にどのようなインパクトを与えるのかといったテーマで、発表・展示を行いたいと思います」
■買って後悔をなくす家電サブスク
レンティオは2015年創業のスタートアップ。現在130名の従業員を抱え、大井町に本社、品川シーサイドに物流拠点を置き、家電のサブスクレンタルサービスの「レンティオ」と家電の総合情報サイト「レンティオプレス」を運営している。
メインサービスの「レンティオ」は3,200種類以上のカメラや家電を買わずに使えるサービス。現在在庫保有数は16万9000点以上、月間利用者11万人以上のサービスで、サブスク型の月額制プランと、ワンタイムと呼ばれる短期間のレンタルという2つの提供プランがある。
「旅行や子供の運動会の時だけビデオカメラを借りたり、コンサートのために手ブレをしない高い防震双眼鏡を借りたりといった利用イメージになっています。加湿器や暖房器具をシーズンのみレンタルして使わないシーズンに返せば、置き場所に困らず、かつきちんとメンテナンスされたものが毎年利用できるため、リピートするお客様が多いです。また、ルンバなど高額だけど一度は試してみたい家電を数千円からお試しできます」
購入前に実際の使用環境で試すことで買い物の失敗や後悔をなくし、プランを問わず気に入った家電はそのまま購入も可能だ。
コロナ前はカメラのレンタルサービスとして運用していたそうだが、コロナ禍で旅行やイベントが軒並み中止となってしまい利用が激減。カメラ以外のジャンルのラインナップを拡充し、家電を自宅で試すというサービスに転換したことが、事業規模の成長につながったという。
「これまでレンタルやサブスクは家電を購入する機会を損失していると懸念されてきましたが、家電メーカーの新たな販促やマーケティングのパートナーとなることで、今では200社以上の家電メーカーさんと取り組みをさせていただいております。また、成長要因としては家電の月額制プランの変更もあります。2020年11月にレンタル料金の総額が当社の定める商品金額を超えた人のお支払いを自動的に終了することになりました」
従来のサブスクにつきまとう払い過ぎ問題を解決し、結果的に買ったほうが安かったのではないかという懸念を払拭することで、リピート率は年間20%以上の伸びを記録したという。
「払い過ぎている金額は、弊社にとって年間数千万円の純利益になっていましたが、顧客満足度を高めるための意思決定をいたしました。結果的に新規利用者数も急増しています。今後もレンティオは商品数やジャンルの拡充はもちろん、メーカー連携の強化に伴うプラットフォーム化、またWebだけに留まらないオフラインへの展開など、買わずに試すという新しい購買行動を提唱してまいります」