中小・ベンチャー、スタートアップ企業の広報担当者が自社のサービス・商品、業界の動向について紹介する「第一回 ゼロイチ広報主催 記者発表会」が開催された。

主催の「ゼロイチ広報」は現在80人ほどの会員が在籍する、ベンチャー企業やスタートアップの広報担当者のためのオンラインサロン。本イベントでは同オンラインサロンの会員である27社の広報担当者がプレゼン。一部企業を紹介しよう。

■ウェルビーイング経営を支援

創業10年目のラフールは「“ウェルビーイング”を企業経営として実現させるためには」と題し、プレゼンを行った。主にメンタルヘルスの領域にまつわるサービスの展開しており、日本が抱えると労働市場における三つの課題を紹介した。

  • ラフールサイトトップより引用

「働き手となる生産年齢人口が年々低下傾向にある中で、1人1人の労働生産性が求められていくこと。二つ目は職場のメンタルヘルス対策が世界各国に比べて、日本かなり劣っているような現状があり、日本では10人に一人がうつ病と診断されています。また、3点目として直近でウェルビーイングというキーワードが多く取り上げられていますが、日本は各国に比べてまだまだ幸福度などの数字が非常に低い状況です」

同社ではこれらの課題を解決するためにウェルビーイング経営を支援できるツールやサービスを展開しているという。

「ウェルビーイング経営には大きく二つ要素があります。ひとつは会社ができる人的資本経営で、人材にちゃんと投資をして企業経営を安定させ、持続的な企業価値を上げること。もう1点は個人のウェルビーイングを高めるため、1人1人の働く人のセルフケア意識や行動促進ができるような仕組みを整えることです」

  • 「ラフ―ルサーベイ」イメージ(※ラフールサイトより引用)

同社は大きくこの両面からウェルビーイング経営における離職の抑制と生産性向上の両方の観点から支援できるサービスを提供していることが大きな特徴だそうだ。

「当社が提供させていただいてる組織改善ツールの『ラフールサーベイ』です。組織と働く個人の状態を可視化し、その後の行動変容を促す組織改善サーベイで、業種・規模問わず導入企業様が多くいらっしゃいます。事例として明治安田生命様では全社的に導入いただきまして離職の抑制がかなり進み、採用コストを年間1億円ほど抑えられたといった実績もあります」

■高卒第二新卒をIT人材に

ジンジブは、「高卒第二新卒・既卒生就職サポートサービス」について発表した。グループ創業は1998年で同社は主力事業「ジョブドラフト」のサービスを2015年に開始し、高校生の就職活動やキャリア教育、就職後の支援などを行っている。

  • ジョブドラフトNavi(※ジンジブサイトより引用)

「高校生の就活の社会課題と現状について、よく指摘される課題が早期離職です。大卒者との大きな違いは3年離職より1年離職の割合が高く、高卒者の1年以内の離職率は大卒者と比較すると5%ほど高い約16%という状況で、毎年2万~2万5000人ほどが1年以内に退職しています。また、注目されにくいポイントですが、進路未決定者が毎年約6万人いると言われており、約5%の高校生が将来を決めず高校を卒業している実態もあります」

続いて、こうした離職者39%が非正規・無就業に陥る背景として、高卒者が自分に合った就職活動が難しい実態を紹介。高卒で就職する割合は2割ほどだそうだが、「高卒」「未経験」の条件の求人票はリクナビネクストで12%、dodaでは2%に留まる現状のほか、高校生の就活に特有の仕組みである学校斡旋について説明した。

「高校生は学校の先生を介して就職活動を行い、求人紹介や応募などを行います。高校生にとって効率的な就職活動を進められる面はありますが、自分自身で就職活動を切り開いている感覚には乏しい。併願を禁止する一人一社制という戦後70年変わらない慣行ルールがあり、非常に短いスケジュールで最初のキャリアを決めなくてはいけない現状もあります」

2030年までにIT人材は45万人~79万人不足するという予測なども踏まえ、同社ではIT人材育成に注力。高卒第二新卒や既卒生の就職・転職を支援するサービス「ジョブドラフトNext」をこの10月に立ち上げた。

「高卒でIT・情報通信業の仕事に就く割合は1.2%と、大卒11.2%に比べるとごくわずか。高校とも連携しながら卒業生などの支援を進めていくところが本サービスの大きな特徴となっています」

■営業DXツールで属人的な営業から脱却

SaaS事業を展開するスタートアップ企業RevCommは、「営業リスキリング」というテーマでプレゼンを行った。

  • RevCommの取り組み(※RevComm公式サイトより引用)

「注目を集めるリスキリングですが、営業もリスキリングの時代に差し掛かっていると言われています。総務省の統計調査によると営業職は全就業人口の12%超、842万人もの就業人口がいます。コロナ禍を経て『インサイドセールス』『カスタマーサクセス』といったオンラインを通じた新しい営業職の求人数が3年間で12倍に急増しているという調査結果もあり、労働移動に向けリスキリングが求められています」

従来の営業は勘や経験に基づく属人的な部分も多くあったが、「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」といった新しい営業は分業が基本で、データに基づく科学的な活動となるという。

「米国のセールスフォース社で活用されてきた『THE MODEL』型の新しい営業が少しずつ広がっています。これはマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスが分業で業務を効率化しながら、顧客を成功に導くという営業です。チームで活動するため、情報共有や役割間の協力が不可欠で、その成功には営業DXが大きな役割を果たします」

同社は音声解析AI電話「MiiTel」、AI搭載オンライン商談ツール「MiiTel for Zoom」を提供。顧客との通話を全て文字起こしして社内ですぐに一元管理できるほか、話速やトーク比率、感情などを分析し、定量的にフィードバックしながら100点満点で採点するサービスを展開している。

こうしたツールを活用することで、属人的な営業からデータに基づき、チームで協力する営業体制を実現できるそうだ。また、「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」はオンライン面談やデータ分析などのスキルを要する一方、DXツールを利用することで営業初心者でも取り組みやすく、リモートで働けることも利点のようだ。

「いま多くの事業会社さんや営業代行会社さんで、地方に在住している人や子育て・介護中の人など多様な人材が、インサイドセールスやカスタムサクセスとして活躍し始めています。当社では営業DXツールの提供を通じて日本の生産性向上に貢献し、多くの人が活躍できる社会を目指していきます」