「牡蠣はRのつく月に食べろ」という格言はつとに有名だ。
「Rのつく月」とは、9月(September)から4月(April)までの期間のこと。もちろん、今では養殖や輸送の技術も上がり、季節問わず美味しい牡蠣が食べられるが、それでも旬が今であることに変わりはない。今はすでに11月(November)も下旬なので、あと1カ月もすれば牡蠣の旬は折り返しを迎えてしまう。
美味しい牡蠣は食べられるうちに食べておくのが吉! ということで、今回はめちゃウマな牡蠣フライが食べられるマル秘スポットをご紹介しよう。その名も「かつ庵」である。チェーン店だと思って侮るとホントに大損こくのでご注意を。
超デカくて超ジューシー! 「牡蠣とじ丼」のウマさに驚き
冒頭から無駄に偉そうに牡蠣愛を語ってしまった気がするが、筆者自身まだあまり頭を“牡蠣モード”に切り替えられていなかったのが正直なところだ。だって、牡蠣は冬のイメージがあるし、まだそこまで寒くないし……しょうがないよね。
しかし、である。
この「大粒牡蠣フライフェア」のノボリを見た瞬間、背筋がザワついた。「やばっ。もう牡蠣の季節やん。出遅れてるやん……」と。
そして同時に思い出したのである。「あれっ。かつ庵の牡蠣って、確かめちゃくちゃ美味いんじゃなかったっけ」と。
しかも、ノボリに書いてある「牡蠣とじ丼」は、確か昨年は販売されていなかったはず。一昨年食べて「めちゃくちゃ美味いぞ、これ……」と腰を抜かしたことを昨日のように覚えているが、今回が2年ぶりの再会になるわけだ。さっそく入店しよう。お邪魔します!
あったあった、これこれ。
「牡蠣とじ丼」(690円)の他に、「牡蠣フライ定食」(890円)と「牡蠣フライと熟成ロースかつ定食」(960円)、「牡蠣フライとミックスフライ定食」(890円)というメニューも用意されているようだ。「牡蠣フライ」単品(180円)もあるし、タルタルソース(20円)も別途注文できるらしい。
ちなみに、かつ庵のタルタルソースは何度も食べたことがあるけど、これがマジでウマいのよ。ここのタルタルソースはかつ庵のオリジナルで、まろやかでクリーミーなコクがありながら、ピクルスなんかの酸味もほどよく効いていて、フライ料理がググッとレベルアップするし、飽きずにサッパリ食べられるのだ。
「牡蠣とじ丼」を食べようと思って入店したけど、タルタルソースが食べられるなら「牡蠣フライ定食」や「牡蠣フライと熟成ロースかつ定食」もいいな……。
う~ん……。
う~~ん………。
う~~~ん…………。
やっぱり初志貫徹で「牡蠣とじ丼」をオーダー!
ってゆーか……
デケェ! 牡蠣フライがめちゃくちゃデカイ!
「大粒」なんてレベルじゃない。一瞬、カニクリームコロッケが出てきたのかと勘違いするレベルのサイズ感である。ぎゅうぎゅうじゃん。加熱すると牡蠣って多少なりとも縮むと思うけど、揚げたあとでもこんなにデカイってすごくない? 仮にこれが生牡蠣だとしてもデカイ部類に入るぞ。
いや、待てよ。身が大きいぶん、味は大味ってこともあり得る。よし、一度心を落ち着けて、クレバーになって一口目を食べよう。
ふーっ。よし、いただきます!
うっ、ウマーーーーーっ! なんだこれ……めちゃくちゃウマい!
サクッとした衣とふっくらやわらかい牡蠣の身の食感的なコントラストも最高だし、トロトロの半熟玉子に出汁の風味が効いた甘じょっぱいタレも素晴らしく好相性である。スライスされた玉ねぎもシャキシャキ食感が残っていてかなりいいアクセントになっている。この丼、一杯の完成度がめちゃくちゃ高いぞ。
そして、なんといっても牡蠣の味がめちゃくちゃ濃い! 誰だ? 「身が大きいぶん、味は大味ってこともあり得る」なんて逆張りしていたやつは。全然そんなことないぞ! めちゃくちゃジューシーで、噛めば噛むほど牡蠣エキスがじゅわ~っと溢れてくるかのようだ。
でも、こんな大きいのに味もしっかりしているって……、一体どういう仕掛けが?
……と思って調べてみたところ、かつ庵の牡蠣は広島県産の「抑制牡蠣」という種類を使用しているのだそうだ。抑制牡蠣は海中の植物プランクトンを豊富に取り込んで成長するようで、結果、牡蠣本来の旨味や甘味がたっぷり味わえる美味しい牡蠣に育つのだとか。そして、その中からさらに大粒の牡蠣のみを厳選しているのが、このかつ庵というわけだ。
牡蠣自体がめちゃくちゃ大きいのと、とにかくご飯が進む味付けになっているので、牡蠣が3粒でも丼メシ一杯は余裕で完食できる。ただ、もしもっとたくさん牡蠣を味わいたいという人は、牡蠣フライ単品とタルタルソースを追加注文するのがおすすめだ。
ということで、近くにかつ庵がある人は、ぜひ足を運んでみてほしい。ビッグでジューシーな牡蠣が、この冬を美味しく彩ってくれるはずだ。