オフィスや自宅、出先や遠方など、従業員の所在を問わず、必要に応じて出社やリモートワークを選択するハイブリッドワークが広がっている。ここには課題が残っており、それは従業員同士のコミュニケーション醸成だ。コロナ禍以前は雑談から生まれるビジネスアイデアもあったが、ハイブリッドワーク環境では難しい。
例えば、チャットは相手の返事を即時求めない非同期コミュニケーションであり、雑談が生まれるか否かは対人の関係性やグループの雰囲気による。同期コミュニケーションのビデオオンライン会議を従業員に強いるのは、個人の判断で作業時間を選べるリモートワークの利点を消してしまう。ここにMicrosoftが出した一つの答えがゲームだった。
公式ブログが引用したBrigham Young University(ブリガム・ヤング大学)の調査によれば、45分間の共同ゲームプレイによって、続く作業の生産性が20%向上したと報告している。ただし、BYUの発表は2019年1月であり、ハイブリッドワーク環境を考慮したものではない。プレイ中にコミュニケーションが生まれるのはオフラインを前提にしているようだが、リモートワーク環境でも同様の傾向なのかは分からない。
Microsoft Teams用の「Games for Work」アプリはすでに使用可能。インストールすると、法人向けMicrosoft Teamsが起動し、開催中の会議へアプリを追加できる。ソリティア(Microsoft Solitaire Collection)やマインスイーパーは説明するまでもないが、Wordament(ワードメント)やIceBreakers(アイスブレーカー)など見慣れないタイトルが並んでいる。前者は最大250名でプレイ可能な単語ゲーム、後者は会議前の雑談テーマを提案して参加者は質問に回答していく。本来なら一連のタイトルを紹介したかったのだが、筆者の環境ではIceBreakers以外は起動しなかった。
ポイントはGames for Workが日本のオフィスワーカーになじむかどうか。まず、事前に内容を従業員に告知してから、管理職などがMicrosoft Teamsで会議を主催し、Games for Workを起動。仮に最大参加人数の8名でマインスイーパーをプレイして、その後の生産性向上につなげるのであれば、お昼時が理想的に思える。ただ職種や各個人によって昼食を取る時間がまちまちなことはあるだろうし、忙しいときはコンビニのおにぎりを頬張りながら移動することがあるかもしれない。オンライン会議とはいえ、関係者全員のスケジュール調整に苦労している環境も多いはずだ。
個人的には「日本人にGames for Workは不向きだろう」が正直なところ。何十年も個人事業主として働いている筆者なので的外れかもしれないが、Microsoftの「やらないよりやる」の姿勢は高く評価したい。Microsoft自身も「Games for Workが生産性を刺激して、職場のつながりを促進させるか楽しみだ」と述べている。Games for Workは法人用Microsoft 365向けアプリだが、ユニークな取り組みであり、ゲームを取り込んだことを踏まえて今回紹介した。組織のテナントに展開された企業のIT担当者は一度試してみてはいかがだろうか。