この記事では、世界で愛されるクリスマスはもちろん、お歳暮や冬至、大晦日など、12月に行われる行事やイベント、記念日、風物詩について、代表的なものを紹介しています。行事食や、由来などの雑学についても触れているので、参考にしてみてください。
12月の年中行事やイベント、風物詩の一覧
12月に行われる年中行事、イベントの中で代表的なものをカレンダー順にご紹介します。日本に古くから伝わる行事もあれば、海外から伝わり日本に浸透しているものもあります。
赤い羽根共同募金(10月1日~翌3月31日)
赤い羽根共同募金は、赤い羽根をシンボルマークとした募金活動です。戦後まもないころ、戦後復興の一助として、民間で社会福祉施設のための支援金を集めるところから始まりました。
赤い羽根の由来は、アメリカで水鳥の羽根を赤く染めて使っていたことから、「たすけあい」「思いやり」のシンボルとして日本でも使われています。
お歳暮(11月下旬~12月20日ごろ)
お歳暮とは日頃からお世話になっている人に対し、お礼の気持ちを込めた品を、一年の締めくくりに贈るものです。
江戸時代から続いている風習で、もともとは長屋の大家さんや取引先に対して「日頃からお世話になっております。これからもよろしくお願いします」という気持ちを込めて贈り物をする習慣だったのが、商習慣と結びついたといわれています。同じように夏に贈り物をする習慣が「お中元」です。
贈る時期は東日本と西日本で異なっており、東日本は11月下旬~12月20日ごろ、西日本は12月13日~20日ごろです。いずれも年末年始より前に届くよう手配するのが主流で、内容も年末年始の帰省の際に家族で囲めるよう、大人数向けの食材が好まれているようです。できれば相手の好みや家族構成を事前に把握した上で、何にするか選べると理想的ですね。
歳の市/年の市(日付は市により異なる)
歳の市(年の市/としのいち)は、年神祭で使われる用具や正月の飾り物、衣類などを社寺などで売るイベントです。
日付や内容は社寺によって異なります。例えば東京浅草の浅草寺では毎年12月17~19日に歳の市が行われ、ここでは羽子板が有名で、現在、浅草寺の歳の市は「羽子板市」とも呼ばれるほどになっています。
なぜ羽子板なのかというと、もともと羽子板は江戸時代より、邪気除けや縁起物として、正月に贈る風習がありました。それに目を付け、年末商戦である歳の市における主要商品として、明治時代に売り出したのがはじめといわれています。
大雪(毎年12月7日・8日ごろ) - 2022年は12月7日
大雪は二十四節気の一つで、太陽暦をもとにしているため、日にちは毎年12月7日~8日あたりで変動しますが、2022年の大雪は12月7日です。
現在では最初の一日のみを大雪ということが多いですが、本来は太陽の黄経が255度に達したときから270度に達するまで、つまり次の二十四節気である冬至までの約15日間を指します。
平野にも雪が降り、本格的な冬の訪れが感じられるころで、「たいせつ」「だいせつ」と読みます。
針供養(12月8日・2月8日)
針供養(はりくよう)は針仕事を休め、折れたり古くなったりした針を供養する行事です。
もともとは2月8日と併せて事八日(ことようか)と呼ばれており、事八日とは怪物や疫病が来るために仕事を休んで家で謹慎しているように、という言い伝えがもとになっているようです。
そこから針供養に至ったのには諸説ありますが、江戸時代から明治時代にかけて裁縫学校の技術向上を願って始まったともいわれています。折れたり古くなったりした針を豆腐やこんにゃく、餅などに刺して、近くの社寺で供養する、川に流すなどするのが一般的です。
針供養は、地域によって12月8日と2月8日の2回行うところ、どちらか1回だけのところがあります。
成道会(12月8日)
成道会(じょうどうえ)は、釈迦(しゃか)が悟りを開いたことを記念して行われます。「成道」とは悟りを開くことです。
釈迦の誕生を祝う4月8日の花まつり/灌仏会(かんぶつえ)、釈迦の命日に勤める2月15日の涅槃会(ねはんえ)と並ぶ、釈尊三大法要の一つです。
王家に生まれ裕福な環境で育った釈迦が、出家から6年を経て、悟りを開いた日が12月8日とされています。釈迦の苦行があってこそ今日の仏教があるとされることから、釈迦への感謝の意を込めながら、釈迦と阿弥陀の名を唱えて勤めるのが成道会です。
正月事始め・煤払い(12月13日)
正月事始め(しょうがつことはじめ)は、新しい年に神様を迎えるための諸準備を始める最初の日です。この日から大晦日(おおみそか)までにお正月の準備を整えます。
本来12月13日は正月事始めとして、家の竈(かまど)や囲炉裏(いろり)の掃除をして「煤払い(すすはらい)」を行う日でした。また、煤払いのあとには門松などのために山から木をとってくる松迎えをしたり、雑煮やおせち料理、鏡餅などの準備をしたりするのが一般的でした。
しかし現代の家には竈や囲炉裏はないので煤払いはせず、おせち料理などもお店で購入できるようになったので、数日かけて準備をする必要がなくなりました。そのため正月事始めはそれほど重視されなくなってきていますが、特に花柳界や芸能界など一部では今も行事として残っています。
赤穂義士祭(12月14日)
赤穂義士祭(あこうぎしさい)は赤穂義士が討ち入りを果たした12月14日に行われる祭りです。事件の舞台となった兵庫県赤穂市の最大のイベントであり、2022年には119回を迎えます。
当日は露店などでにぎわい、四十七士に扮(ふん)した人々が泉岳寺へと意気揚々と向かう「義士行列」など、赤穂義士の偉業をたたえるプログラムで盛り上がります。
赤穂義士が討ち入りを果たすまでの物語を表現するパレードには、著名人が出演することもあります。
大掃除(12月中旬ごろ~下旬ごろ)
大掃除は、12月の大体中旬から下旬にかけて行う年中行事です。もともとの由来は正月事始めでも触れた煤払いだといわれています。煤払いは平安時代の宮中で行われていた行事で、12月に一年の煤を払って、お正月の神様である歳神様(としがみさま)をお迎えするために行われます。
煤払いがなくなった現代、部屋をきれいにしてから歳神様をお迎えしようという習慣だけが大掃除として浸透しました。
大掃除は年明けまでに部屋をきれいにするイメージがありますが、実は12月29日と31日は大掃除をしてはいけない日とされています。29日は「9」を含むため「苦」を連想させ、31日の大晦日は、お迎えの直前にバタバタと掃除すると神様に失礼だ、という理由から避けるべきといわれているのです。大掃除は余裕を持って進めたいですね。
冬至(毎年12月21日・22日ごろ) - 2022年は12月22日
冬至(とうじ)は前述の大雪と同じく二十四節気の一つで、北半球では一年のうち最も昼が短く夜が長い日です。黄道上で最も南にある冬至点を太陽の中心が通過するころで、暦の上では立冬と立春の中間ではあるものの、実際にはこの日から寒さが厳しくなる傾向にあります。
冬至には行事食としてかぼちゃやこんにゃく、小豆粥(あずきがゆ)を食べたり、また、ゆず湯につかったりするといいといわれます。これらの風習の由来は諸説ありますが、寒さが厳しくなる冬至だからこそ体調を崩さないように、という意味が込められているようです。
上皇陛下のお誕生日(12月23日)
12月23日は現上皇陛下のお誕生日です。上皇が平成天皇に在位していたときは「天皇誕生日」として祝日だったので、認識している人も多いのではないでしょうか。この日は報道を通じて、上皇のお元気な様子を知ることができるでしょう。
明治天皇の誕生日は「文化の日」、昭和天皇の誕生日は「昭和の日」となっていることから、この日も将来的に祝日として日本のカレンダーに記載されるのではないかといわれています。
クリスマス(12月25日)
クリスマスは、イエス・キリストの降誕祭、つまり生まれてきたことを祝うイベントです。数あるイベントの中でも、宗教問わず全世界で認知されている珍しいイベントといえるでしょう。12月24日もクリスマスイブとしてよく知られていますね。
クリスマス(Christmas)の表記の由来は「Christ(キリスト)」の「mass(ミサ、礼拝)」からきているとされています。
またイエス・キリストの誕生日は明らかでないにも関わらず12月25日になったのは、ヨーロッパの各地で行われていた冬至祭やミトラス教の祭日などが合わさってこの日になったといわれています。
クリスマスといえば、サンタクロースが子どもたちにプレゼントを配ってまわるのが特徴です。他にもクリスマスのシンボルであるクリスマスツリーは古代ゲルマン民族の祭りが由来ともいわれているなど、今日のクリスマスはさまざまな要素が組み合わさってできています。
大晦日(12月31日)
大晦日(おおみそか)は一年最後の日で、「おおつごもり」ともいいます。そもそも「晦日(つごもり)」とは毎月の月末のことです。月が隠れて見えないという意味の「月隠(つきごもり)」から、「つごもり」と音が変化したといわれています。
大晦日には年越しそばを食べ、その日の夜は寝ずに新年を迎える人が大半ですね。年越しにそばを食べる理由は諸説あり、自分の命や人との絆がそばのように長く続くように、との想いが込められているというものや、そばは切れやすいため今年の厄をすべて断ち切るという意味合いのものもあります。
紅白歌合戦(12月31日)
紅白歌合戦は毎年大晦日に放映される歌番組で、正式名称を「NHK紅白歌合戦」といいます。
この紅白歌合戦の第1回は1951年1月3日にラジオで放送され、その後、大晦日の番組として現在のような形の番組になりました。
除夜の鐘(12月31日)
除夜の鐘は、大晦日から新年にかけて鐘を鳴らす風習のことです。
煩悩の数は108個あるといわれているので、煩悩を祓うために108回鐘をつくといわれています。大晦日のうちに107回、年が明けたら1回、というのが正しい鐘のつき方です。
お坊さんが鐘をつくことが大半ですが、お寺によっては一般の人でも鐘をつけるようにしているので、近隣のお寺に問い合わせてみるといいでしょう。希望者が多い場合は、108回以上つくこともあるようです。
12月の記念日の一覧
次に、12月の代表的な記念日をご紹介します。
映画の日(12月1日)
12月1日は映画の日です。映画を劇場で観ることの魅力を伝えるため、映画を割安な料金で観られるようなキャンペーンが多く行われます。
映画の日は1956年(昭和31年)に制定されました。エジソンが開発したキネトスコープ(映画の前身のようなもの)が輸入上映されてからちょうど60年目であり、日本で初めての有料公開、映画産業発祥を記念する日となりました。
ワッフルの日(12月1日)
12月1日は、ワッフルの日でもあります。ワッフルケーキ専門店R.L(エール・エル)の創業日であり、「1」=「ワン」、「2」=「フル」、「1」=「の日(ひ)」という語呂合わせもあって制定されました。
エール・エルではこれにちなみ、毎月1日をワッフルの日としてお得なキャンペーンなどを行っています。
世界人権デー(12月10日)
12月10日は世界人権デーです。国際連合によって定められた、世界共通の記念日です。
第二次世界大戦で多くの人権が損なわれたことを省み、国際連合は1948年12月10日の国連第3回総会において世界人権宣言を採択しました。これを記念し、第5回総会において12月10日を世界人権デーに定めています。
国連加盟国は、世界人権デーに人権思想の啓発のための行事を行うよう求められています。日本も12月4日~12月10日までの1週間を人権週間とし、人権尊重思想を深めるための啓発活動を行っています。
いつでもニットの日(12月10日)
ニット産業が盛んな山形県の山辺町が掲げた記念日です。2017年に制定されたばかりで、山辺町の基幹産業であるニット産業の活性化を願って制定されました。「いつでもニット」としているのは山辺町がサマーニット誕生の地であることに加え、「1」=いつでも、「210」=ニットと読ませる語呂合わせで決まったようです。
毎年12月10日前後には、山辺町でニットフェアが開催されています。
電話創業の日(12月16日)
1890年(明治23年)12月16日、日本で初めて電話が開通したため、電話創業の日と制定されました。開設当時の電話の範囲は東京と横浜のみで、交換手によって手動で回線をつなぐというアナログな仕組みでした。
トロの日(毎月16日)
12月に限らず、毎月16日はトロの日です。こちらも語呂合わせから16日が選ばれました。かっぱ寿司を経営するカッパ・クリエイトが申請し、2016年に認定された記念日で、業界の活性化につなげる目的があったようです。
12月といえばボーナスが出る人もいるでしょう。一年頑張った自分へのご褒美に、豪華にトロのお寿司を食べるのもいいかもしれませんね。
遠距離恋愛の日(12月21日)
12月21日は遠距離恋愛の日です。「1221」と数字を並べたときに、両端の1が1人でいる人を表し、中間の2つの2は、お互いが思いの中で歩み寄り2人で並んでいる、という様子を表しています。遠く離れている恋愛中の2人にエールを送る日として制定されました。
12月は年末にかけて行事・イベントがたくさん! 由来など雑学も知って楽しもう
代表的な12月の年中行事やイベント、記念日、風物詩についてまとめました。
12月は年末年始に向けて、行事やイベントが集中する時期です。ただなんとなく行うのではなく、その歴史や由来、雑学なども知ると、より楽しめるかもしれません。