家電好きなら一度は「最新製品を体験してみたい!」と考えたことがあるのでは? そんな望みを叶えてくれるかもしれないのが、パナソニックが11月15日から開始した「Future Star Program」(以下、FSP)です。これは、発売前の製品を限定された人数でモニターし、その後の製品開発やマーケティングなどに生かすというもの。

今回、FSP製品の第1弾として選ばれたのが「自動計量IH炊飯器 SR-AX1-FS」(以下、SR-AX1-FS)。なんとこの製品、本体やスマホアプリで食べたいごはんの量を選ぶと、炊飯器が自動的に最適な量のお米と水を炊飯器に供給。設定時間にあわせてごはんを炊いてくれるという、今までになかった「完全遠隔操作可能」な炊飯器なのです。実機をチェックしつつ、SR-AX1-FSで炊いたごはんを試食してきました。

  • スッキリしたデザインの「自動計量IH炊飯器 SR-AX1-FS」。米と水をセットしておけば、1杯~4杯のごはんを好きなタイミングで炊飯できます

外出先でも炊飯量も炊き上がりも思うがまま!

最近はまだまだ少ないながらもIoT対応の炊飯器が増えており、こうした炊飯器は外出先からスマホアプリを使って炊飯時間をコントロールできるようになりました。とはいえ、外出前に内釜にお米と水をセットする必要があるので、その時点で炊飯する量は決まります。

当たり前ですが、外出先で「やっぱりごはんの量を増やしたい!」と思っても対応できません。SR-AX1-FSは、炊飯時間はもちろん、炊飯量や炊き上がったごはんの固さもリモート設定できるという、完全に遠隔操作可能なIH炊飯器なのです。

  • 炊飯用のおひつをセットしたところ。本体サイズは幅17.6×奥行き33.6×高さ33.6cm。見た目は少し大きめのコーヒーメーカーみたい

SR-AX1-FSで炊飯する準備はとってもシンプル。本体の米びつに無洗米、水タンクに水を補給するだけです。お米は最大2kgまで入れておけますが、洗米機能はないため、使えるのは無洗米のみとなります。なお、洗米したお米を直接釜に入れても炊飯できません。

  • 本体上部のフタを取り外して米を補充

  • 水タンク容量は最大600ml。水が傷まないよう炊飯ごとに補給するため、タンク容量はあえて小さめに設定されています。水の量は、正確にお米の量と合わせる必要はありません

準備ができたら、あとは炊飯量を決めてスタートするだけ。炊飯の操作はSR-AX1-FS本体とスマートフォンの両方から可能です。本体から操作する場合は、本体天面のタッチボタンで炊飯量を決めて「START」ボタンを押すだけ。その場ですぐ炊飯がスタートし、炊飯量に合わせて52分~60分ほどでごはんが炊き上がります。

炊飯できるごはんの量は、0.5合から最大2合まで(0.5合きざみ)。お茶碗1杯分のごはんが約0.5合とされているので、お茶碗1杯から最大4杯までのごはんを一度に炊飯できる計算です。炊飯量からも想像できるように、SR-AX1-FSは一人暮らしや二人暮らしの少人数世帯を想定しています。

  • 炊飯量は「お茶碗」アイコンの数で設定。「1お茶碗=0.5合」なので、写真は1合分の炊飯設定です。スタートボタンを2回押すと早炊きモードになり、約45分で炊飯できるそうです

パナソニックのスマートフォン用調理アプリ「キッチンポケット」と連携すれば、予約をはじめとした細かな設定も可能です。

たとえば、帰宅時間が早くなったらその場(家に帰る前)で炊飯をスタートしたり、一度設定した予約時間を変更したり。ありがたいのは、炊飯予約自体を取り消すこともできること。通常の炊飯器はお米を水に浸した状態で予約するため、「今日はやっぱりごはんはいらなかった」というとき、水浸しになったお米の処理が必要となります。SR-AX1-FSは炊飯開始時刻になるまでお米を水に浸さないので、安心して炊飯予約を取り消せるのです。

家に帰り着く時間から逆算して外から炊飯をスタートすれば、家に帰ってすぐにホカホカ炊きたてのごはんが食べられる――。これはシアワセ! 好きなお惣菜、ちょっと贅沢なお惣菜を買って帰って、時間をかけずに充実した晩ごはんが食べられそうです。片付けもほとんど手間いらずなのもうれしいですね。

  • SR-AX1-FSの炊飯設定画面。炊飯量だけでなく、アプリから炊き上がりごはんの柔らかさも設定できます。炊飯コースは、銀シャリのふつう・かため・やわらか、早炊き、カレー、おかゆから選択。炊き込みごはんはつくれません。アプリからは、0.25合きざみで炊飯量を設定できます

  • 炊飯予約すると、写真のようにアプリに登録されます。帰宅時間などが変わった場合は、この画面から時間を変更したり、予約をキャンセルしたり、さらにすぐ炊飯を始めることも可能です

体験会では、SR-AX1-FSを実際に動かすデモンストレーションも。面白いのは、お米と水を内釜に自動投入するときに、「お米、水、お米、水……」と少量ずつ交互に供給すること。

これは、もし本体の米びつに十分な量のお米が残っていなかったときに、残っているお米の量にあわせて水を供給して炊飯するためです。SR-AX1-FSは重量センサーによって釜に送られた水とお米の重さを自動的に計測するので、たとえば「2合炊飯」にしたのにお米が1合分しか残っていなかったような場合、水の供給量を減らしてベチャベチャの仕上がりにならないように炊飯してくれます。

【動画】デモンストレーション用の半透明な機体を使って、米と水を供給する様子を確認できました

炊飯プログラムがスタートすると、まず送水ポンプが「おひつ」の上に移動、そのあと米びつの底でスクリューのような送米パーツが少しずつお米をかきだして、釜にお米を供給します。あとは、水、お米、水、お米と、重さを量りながら必要量に達するまで交互に水とお米を自動投入します。

便利なのはわかった。で、ごはんの味は?

お米の残量(米びつ内)までチェックして炊いてくれる賢さはすばらしいものですが、炊飯器で気になるのはやっぱりごはんの美味しさ。そんなわけで、SR-AX1-FSで炊き上がったばかりのごはんを試食させてもらいました。

SR-AX1-FSは「食べる杯数を指定して炊飯」するという仕様上、炊飯したごはんを食べきることが前提です。保温機能はありません。ただし、おひつが内鍋と外側の樹脂パーツの二重構造になっているので、比較的ごはんが冷めにくそうです。

  • マイナビニュース・デジタルの林編集長とSR-AX1-FS。炊飯が終わったら「おひつ」部分だけ取り外して食卓に持って行けます。シンプルな見た目は、ちょっと大きめなお弁当箱のよう

  • SR-AX1-FSで炊いたごはん。おひつは内釜と外側の樹脂パーツが分離する構造です

  • 炊飯後に洗う必要があるのは、写真のフタ部分とグレーの内鍋という2つのパーツ。炊飯後の洗い物が少ないのも、SR-AX1-FSの魅力です

SR-AX1-FSで炊いたのは、スーパーで普通に売っている無洗米のコシヒカリ。気になる試食の結果は……、普通に美味しい!

もちろん、パナソニックのプレミアム炊飯器である「可変圧力おどり炊き」と比べれば、圧倒的におどり炊きのほうが食感と香りが強いし、お米の個性が良い方向に際立っています。ですが、SR-AX1-FSも芯まで柔らかく炊き上げているのに、粒感もほどよく感じられました。

口に入れると米の甘みと香りも味わえて、思った以上の完成度。SR-AX1-FSの加熱方式はIHを採用しており(コンパクトな炊飯器は低コストのマイコン式になりがち)、こういった仕様にも味へのこだわりが感じられます。

  • SR-AX1-FSで炊いたごはんを試食する林編集長。「お米の甘みや香りがガツンと来るような炊き上がりではありませんが、まさに『フツーにおいしい』ごはんでした。これは便利だなぁ~」(林)

  • 会場にあった半透明モデル。おひつをのせるプレートの下に、IHコイルが確認できました

SR-AX1-FSはどうやったら手に入る?

これまでにない機能と利便性、シンプルなデザインに使用後のお手入れのしやすさ――。とにかく魅力的なSR-AX1-FSですが、最初に説明したように「量販店で誰でも買える」製品ではありません。

まずは、2022年12月25日までに先行体験応募サイトから応募が必要。先行体験プログラム用の販売台数は200台となり、応募者多数の場合は抽選で当たった人のみ購入できます。販売価格は46,000円で、製品の到着は2023年2月下旬以降を予定しています。

パナソニックによると、応募が多い場合は追加の供給も検討するとのこと。また、あくまでモニターという位置付けであり、この先、製品化されるかどうかも決まっていません。

一般的な家電を買うより少々面倒ですが、正式発売前の製品を試せるのは魅力的ではないでしょうか。しかも、使用後のアンケート結果によっては、自分の要望が次の製品に反映されるかもしれません。製品単体としても、とっても魅力的なので、気になる人はぜひ先行体験プログラムにトライしてほしいと思います。

  • 「Future Star Program」と「SR-AX1-FS」を担当する、パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部 調理機器ビジネスユニット マーケティング総括 酒本俊雄さん(左)、パナソニック くらしアプライアンス社 ビジネスユニット 国内マーケティング部 佐藤ゆき奈さん(中央)、パナソニック コンシューマーマーケティング ジャパン本部 エンゲージメントセンター 戦略企画部 万谷範崇さん(右)