2022年11月17日、ドイツ・ベルリンにて開催されているタクティカルFPSゲーム『VALORANT』の女性限定世界大会「2022 VALORANT Game Changers Championship」(以下、Game Changers 2022)にて、東アジア代表の日本チーム「FENNEL HOTELAVA」の初戦が行われました。

初戦の相手は、ブラジル代表チーム「Team Liquid」。ブラジル国内で2022年に開催された「Game Changers Brazil」において、すべての大会で優勝を獲得している、ブラジルの絶対王者です。

試合は、お互いに1マップずつを獲得し、3マップ目に突入。3マップ目では接戦が続きましたが、「FENNEL HOTELAVA」は惜しくも敗れ、マップカウント1-2で敗北となりました。本試合の模様と、試合直後の「FENNEL HOTELAVA」KOHAL選手への単独インタビューの内容をお届けします。

■試合結果

FENNEL HOTELAVA [1-2] Team Liquid
1マップ:4-13(アセント)
2マップ:13-8(アイスボックス)
3マップ:9-13(ブリーズ)

  • 「FENNEL HOTELAVA」Curumi選手、Len選手、KOHAL選手、suzu選手、Festival選手

1-2で敗北となるも、ブラジル絶対王者を相手に激戦を展開

試合は1マップ目、「Team Liquid」がピックしたアセントからスタートしました。「FENNEL HOTELAVA」は、今回が初のオフラインという背景もあってか、思うような戦いぶりが発揮できず、6本連取される苦しい立ち上がりに。3-9での折り返しを迎え、後半も「Team Liquid」に圧倒される展開で、4-13で敗北となりました。

2マップ目は、「FENNEL HOTELAVA」がピックしたアイスボックス。「FENNEL HOTELAVA」は、オーメンとヴァイパーを入れた2コントローラー、ノーデュエリストという、今までの大会で見せていない意外性あるエージェント構成でのぞみます。

オーメンをピックしたsuzu選手は、2ラウンド目に今大会初となるエースを獲得。その後も、デュエリストのようなアグレッシブな立ち回りで活躍を見せます。同点の6-6で折り返しとなりますが、後半は2コントローラーの強みを生かした守りで相手の足を止め、13-8での勝利を獲得しました。これによりマップカウントは1-1となり、3マップ目に突入します。

3マップ目のブリーズで「FENNEL HOTELAVA」は、東アジア大会でも見せたジェットとネオンを入れた2デュエリスト構成で挑みました。前半は、お互いにラウンドを取り合う接戦が続き、再び6-6での折り返しへ。後半の守りでは、Festival選手の見事なトリプルキルなど、見せ場をつくりながらラウンドを取得します。

しかし、少しずつラウンド差を広げられ、惜しくも9-13で敗北。マップカウント1-2で、初戦は「Team Liquid」に敗れる結果となりました。敗北したものの、ブラジルの絶対王者チームを相手に激戦を繰り広げた「FENNEL HOTELAVA」。世界の舞台で戦える手応えと、次の試合への期待を感じさせる内容でした。

  • 1マップ目で、終始フィジカルの強さを見せつけた「Team Liquid」nat1選手

  • 2マップ目の序盤、「FENNEL HOTELAVA」suzu選手が今大会で初のエースを獲得

  • 3マップ目では、「FENNEL HOTELAVA」Festival選手が素晴らしいトリプルキルを披露

試合直後の「FENNEL HOTELAVA」KOHAL選手にインタビュー

「Team Liquid」との試合直後に、「FENNEL HOTELAVA」KOHAL選手への単独インタビューを実施。「FENNEL HOTELAVA」にとって初のオフラインとなった初戦での手応えや、次の試合に向けた意気込みなどを聞きました。

  • インタビューに応じてくれたKOHAL選手

――まずは、初めて世界大会の舞台で試合した今の気持ちを教えてください。

KOHAL選手(以下、KOHAL):めちゃめちゃ楽しいです! すごく高い壁に挑んでいる感じがします。

――初戦で「Team Liquid」との試合を戦って、手応えはいかがでしたか?

KOHAL:「いけるな」って感じました。フィジカルや戦略の面で負けているわけではなく、少しのミスなんですが、相手がそのミスを拾うのが上手い。なので、そこを修正すれば、十分戦えるんじゃないかと思います。

――「Team Liquid」のどんなところに強さを感じましたか?

KOHAL:特に強かったのは、撃ち合いと設置後の戦い方ですね。

――実際に撃ち合って、相手のフィジカル面の強さはどう感じましたか? もし印象に残っている選手がいれば教えてください。

KOHAL:フィジカル面は、強いなと感じる選手もいましたし、自分たちと同じくらいのレベルだと感じた選手もいました。印象に残った選手は、特にいないですね。緊張からなのか、相手の撃ち合い方に少し違和感があった部分もあります。うちのチームメンバーが強くて、相手の腰が引けているというか、勝負しづらそうだなと感じた場面も結構ありました。

  • 試合前に円陣を組む「FENNEL HOTELAVA」

初めてのオフラインを経験した「FENNEL HOTELAVA」

――1マップ目では、やや緊張や焦りがあるように感じられた部分もありましたが、実際のチームの雰囲気はどうでしたか?

KOHAL:チームの雰囲気は、いつもと変わったところはなかったです。東アジア大会の1戦目に比べたら、緊張も全然していませんでした。ただ、想定内ではありましたが、やっぱり1戦目だったので、まだ頭がまわっていない感じはあったと思います。

――時差のある海外での試合も、オフラインのステージ上でのプレイも、皆さんにとって初めての経験だったと思います。そういった点で難しさを感じた部分はありましたか?

KOHAL:普段からみんな夜型なので、時差ボケについてはすぐに解消できていました。オフラインの会場では、たくさんのカメラがまわっていて、観客の方々にも見られながらなので、やりづらい環境ではあったのですが、例えば「カメラを気にせずにいこう」とか、緊張しないための策をメンバーそれぞれ自分なりに考えていましたね。

試合の日に初めて会場に来たわけではなく、試合前にも何度か来ていたので、「ここで戦うんだ」という実感を持ってから挑むことができていました。なので、それほど緊張は大きくなかったですが、オフライン経験を重ねるほど、もっともっと緊張がなくなるんだろうなと思います。

――音の聞こえ方など、プレイ環境で何かオフラインの影響を感じた部分はありましたか?

KOHAL:試合では指定されたイヤホンやヘッドセットを使う必要があって、それが普段使っているものとは違うので、個人的にはそこに少しやりづらさがありました。

あと、練習部屋からステージへ来て、短い時間で自分たちのセッティングをしなければいけなくて、それもオフライン慣れが関わってくる部分だと感じました。慣れていたら、もっとデバイスを手早くセッティングできたり、自分の定位置を再現できたりするんだろうなと。そこは初めてなので仕方がないかなと思いつつ、そのなかで全力を尽くしています。

  • 試合中のKOHAL選手

2コントローラーで相手を翻弄したアイスボックスでの戦い

――2マップ目のアイスボックスでは、オーメンとヴァイパーをピックした2コントローラーという意外性のある構成でした。この構成の狙いについて教えていただけますか?

KOHAL:これはコーチが一番好きな構成で、本来はもう1人エージェントが違って、少し違った形で完成形になるので、今の完成度は8割くらいです。2コントローラーにすることによって、攻め側のアビリティをスモークで抑えられるというメリットがあります。

アイスボックスのAサイトは、アビリティが飛び交ってなかなかラッシュを止めるのが難しいのですが、スモークがあることで、ラッシュに使うような1段階目のアビリティを止めることができます。「どのアビリティよりも、スモークが一番強い」というコンセプトの構成です。

――なかでもsuzu選手のオーメンがすごく活躍されていましたが、オーメンでありながら、まるでデュエリストのような動きが印象的でした。

KOHAL:それを意識した構成です。オーメンとチェンバーが前に出て、ほぼデュエリストのような動きをする構成で、オーメンは「追加でスモークがある」くらいの感覚ですね。簡単に表すなら、オーメンがジェットです。

――その狙いがうまく刺さって、見事アイスボックスでの勝利につながったということですね。

KOHAL:そうですね。この構成に変更したのは、東アジア大会が終わったあとのブートキャンプ中で、ベルリンに出発する3~4日前くらいだったので、本当に直前でした。そのなかで、suzuがこの構成に上手く対応してくれて、チームで慣れさせていきました。

――3マップ目は接戦が続いたなか惜しい結果となりましたが、どんなところが難しかったでしょうか?

KOHAL:相手のラッシュに対して、リテイクで使えるアビリティを持っていなかったことと、相手の1回目のアクションに対して上手く返せなかったこと。それで取られてしまったラウンドが結構ありました。

――次は「Guild X」との対戦が決まっています。次の試合に向けた意気込みと、応援しているファンへのメッセージをお願いします。

KOHAL:次に対戦する「Guild X」は、試合を見ていて強さを感じましたが、それ以上に自分たちの力を出したいと思います。日本のファンの皆さん、そして世界のファンの皆さん、応援ありがとうございます。初めてのオフライン大会で慣れないこともたくさんありますが、全力を尽くして頑張ります。応援よろしくお願いします!

  • 次戦への意気込みを語ってくれたKOHAL選手

11月18日午前5時より、EMEA代表「Guild X」との対戦へ

本大会は、ダブルエリミネーション形式で実施されており、初戦で敗北した「FENNEL HOTELAVA」はロワーブラケットへと移ります。ロワーブラケットでは、負ければ大会敗退となります。

次の対戦相手は、EMEA代表チームの「Guild X」に決定しました。なお、本来DAY3は2試合のみ実施される予定でしたが、DAY2の3試合目「Shopify Rebellion」対「Team Liquid」がDAY3に繰り越されたことにより、DAY3のスケジュールが変更されています。

「FENNEL HOTELAVA」が出場するのは、DAY3の3試合目。試合は、日本時間11月18日(金)午前5時ごろよりスタート予定です。

  • DAY2終了時点で決定した対戦スケジュール(DAY3が2試合から3試合に変更)

  • DAY2終了時点のトーナメント表