11月26日、GG Shibuya mobile esports café & barにて「東京eスポーツフェスタ2023 PRプレイベント」が開催されました。

「東京eスポーツフェスタ2023」は、2023年1月27日から29日まで、東京ビッグサイト南1・2ホールで開催されるeスポーツイベントです。今回で4回目を数え、初回ぶりのオフライン形式で実施されます。東京の産業振興を目的としており、eスポーツ関連の企業や学校、団体などがブースを出展します。

また、『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』『グランツーリスモ7』『太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル』『パズドラ』『ぷよぷよeスポーツ』『モンスターストライク』の6タイトルで、eスポーツ大会も行われます。

基本的に小学生以上が参加できるオープン大会ですが、『太鼓の達人』と『モンスターストライク』は前回から引き続き、親子部門を用意。『ぷよぷよeスポーツ』はキッズ部門(小学生)、一般部門(中学生以上)、プロ部門の3つです。

親子部門はゲームを通じて家族のコミュニケーションを促進できることが魅力。腕前的に、親が子どもに引っ張られることが多いでしょう。『ぷよぷよeスポーツ』のみプロ部門を用意していますが、ほかのタイトルでは一般部門にプロ選手が参加することもあり、視聴者としてはハイレベルな対戦を楽しめます。

「東京eスポーツフェスタ2023」のオフライン会場は東京ビッグサイトですが、前回、前々回の知見を活かし、YouTube、ニコニコ生放送、OPENREC.tv、Twitchなどでオンライン配信も行うハイブリッド開催です。

  • eスポーツ大会が開催される6タイトル

プレイベントの第1部では、日本eスポーツ連合(JeSU)の岡村秀樹会長による大会概要の説明と、お笑いコンビ「見取り図」のアンバサダー就任発表が行われました。「見取り図」はゲーム実況配信を行っており、漫才でもゲームネタを盛り込むなど、ゲーム好きの芸能人としてお馴染みです。

「東京eスポーツフェスタ2023」で採用されているeスポーツ大会タイトルもほとんどプレイしているうえ、特に盛山晋太郎さんはスマホゲームにかなりの金額を課金するヘビーユーザーとしても知られています。

アンバサダー就任の挨拶のあとには、エキシビションマッチとしてコンビで『ぷよぷよeスポーツ』を対戦。小学生のころ『ぷよぷよ』にハマっていたというリリーさんが6連鎖を決め、見事に勝利を飾りました。

  • 東京eスポーツフェストの開催概要を説明する岡村秀樹会長

  • アンバサダーに就任した「見取り図」

  • 『ぷよぷよeスポーツ』でコンビ対決となった「見取り図」。リリーさんが見事6連鎖を決めて勝利しました。ちなみに、6連鎖以上は「折り返し」や「定番の組み方」を知らないとなかなかできません。腕前の高さがわかります

プレイベントの第2部では「eスポーツ×教育」「eスポーツビジネスの可能性と課題」と題してプレゼンテーションが行われました。

「eスポーツ×教育」では、全日高校でeスポーツ部を立ち上げた朋優学院高校のeスポーツ部「HYeC」の顧問を務める岸波禎人教諭が登壇しました。

  • 朋優学院高校のeスポーツ部顧問の岸波禎人教諭

岸波教諭は、eスポーツ部立ち上げの状況と高校でeスポーツ部を運営することについて、経験をもとに講演。まず、eスポーツ部の立ち上げに対する保護者や学校側からの反発はまったくなかったと話します。部活動を発足する前段階としてサークル設立をするのですが、要項は「部員が5名以上」「顧問がつくこと」の2つのみ。これをクリアしていれば特に問題ありませんでした。

ゲーミングPC購入などの初期投資についても、ゲーミングPCなどを無料で貸し出すサードウェーブの「高校eスポーツ部支援プログラム」によってクリアしています。

そして、2年間のサークル活動中に、高校eスポーツ大会「STAGE:0」の全国大会出場、「全国高校eスポーツ選手権」関東地区での上位入賞といった実績をあげ、eスポーツ部へと昇格。さらに、新校舎完成によるオンライン環境の整備も追い風となりました。

  • 「高校eスポーツ部支援プログラム」を活用することで、eスポーツ部創設の条件をクリアしました

学業がおろそかになるなどの懸念については、そもそも朋優学院高校は、どの部活も学業第一を掲げており、週4日の活動しか認められていません。さらに、学外の活動に関して制限を設けていないものの、定期試験において、赤点をとった生徒はテストの解き直しの参加や一定期間の活動停止の措置をとるようにしています。

実際にペナルティを受けた生徒はおらず、OBの進学先は国立大、有名私大などで、しっかり学業でも成果を残しています。そのため、学業とeスポーツ部の両立は可能だと岸波教諭は力強く語りました。

  • 朋優学院高校は学業第一。生徒への理解も浸透しています

  • eスポーツ部出身の生徒たちの進学先の一部

  • eスポーツ部と学業の両立は十分可能だと示しました

続いて、「eスポーツビジネスの可能性と課題」として、東京都eスポーツ連合会長の筧誠一郎氏が登壇しました。eスポーツのファン数は右肩上がりで増えており、今年は868万人、2025年には1200万人を超えるとみられています。一方、プロ野球やJリーグ、サッカー日本代表のファンはここ10年で減少傾向が見られ、特にサッカー日本代表ではファンが半減しているという調査結果が出ているそう。

eスポーツファンの中心はZ世代のため、今後も増加が予想され、若年層へのリーチを狙う企業の関心も高まっています。

  • 東京都eスポーツ連合の筧誠一郎会長

  • 右肩あがりでファンが増えるeスポーツに対して、ファンの減少傾向がみられる既存の人気スポーツ

  • eスポーツは、2日間で2万6,000人を集客した有料イベントやeスポーツ関連企業の東証グロース上場など、ビジネスとしての成果が目に見えて現れています

ビジネスだけでなく、岸波教諭が講演で語っていたように、教育面でもeスポーツへの関わりが増えています。eスポーツの専門学校、大学の学部設立がここ数年で増えてきました。

さらに、若年層に強いeスポーツながら、シニア層にもフレイルやコミュニケーションの手段として普及し始めており、高齢者にも親和性の高さをみせています。ほかにも、eスポーツ施設の建設や温泉施設とのコラボレーション、DX推進との関わりなど、さまざまなシーンでeスポーツは大きく関わっていくとみられています。

  • eスポーツ関連の企業で働くスキルを得るための学校も増えています

  • フィジカルに依存しないeスポーツは、シニア層にも適しています

  • eスポーツ特化の施設やホテル、ジムなどが続々と開設され、新たなビジネスとして登場しています

もちろん、ビジネスとして成立するには足りない部分、懸念される部分もあります。教育における保護者の理解度の低さや、eスポーツ市場においてスポンサーの割合が高すぎる点などが指摘されました。ほかのスポーツビジネスやエンターテインメントと比較しても、チケット収入やグッズ販売などのマーチャンダイジングなどが弱すぎる点からもビジネスとして脆弱性があるわけです。

今後はこの部分をより強化し、ビジネスとしてのeスポーツのエコシステムを確立していく必要があるでしょう。

  • 現状では、スポンサーからの支援が半分以上を占めるeスポーツ市場。今後は、ファンビジネスとして、ファンから支援されるエコシステムの早期構築が必要です

「東京eスポーツフェスタ」は、東京の産業発展と中小企業支援を目的としています。eスポーツ産業に興味がある人は、eスポーツ大会自体に興味がなくても訪れて損はないでしょう。

また、東京でeスポーツ産業に関わっているのであれば、ブースを出展することで、新たなビジネスチャンスが生まれるきっかけになり得ます。もちろん、親子で参加できるeスポーツ大会も希有な存在なので、大会に参加してみるのもオススメですよ。