米Qualcommは11月15日(現地時間)、モバイル向けSoCのフラッグシップ「Snapdragon 8 Gen 2」を発表した。システム全体へのAIの統合と強化によって、AI処理を活用した様々な利用体験向上の可能性を広げる。CPUとGPUも強化されており、パフォーマンスと電力効率が向上、リアルタイムレイトレーシングに対応する。搭載製品は2022年末までに登場し始める予定で、同社によると、ASUS Republic of Gamers、HONOR、iQOO、Motorola、nubia、OnePlus、OPPO、REDMAGIC、Redmi、シャープ、ソニー、vivo、Xiaomi、XINGJI/MEIZU、ZTEなどが採用を進めている。
Snapdragon 8 Gen 2は主要なテクノロジーブロック全体でAIを強化しており、自然言語処理(NLP)のようなモデルにおいて前モデルから最大4.35倍の高速化を実現した。搭載するAIエンジンHexagonは、Snapdragonシリーズで初めてINT4をサポートする。前モデルと比較してワットあたりのパフォーマンスが60%向上。複雑なニューラルネットワークをより効率的に処理できるようになり、例えば音声アシスタントの応答や画像の一括分類といった処理の高速化が期待できる。
ISP(Image Signal Processor)のSpectraは、AIモデルを実行できるCognitive ISP(Image Signal Processor)を搭載。写真や動画のフレームの各アスペクト(顔、髪、服、背景)をリアルタイムで認識し、個別に最適化することで、写真や動画の入力映像をリアルタイムに補正できるセマンティックセグメンテーションに対応する。Sony Semiconductorが開発したクアッド・デジタル・オーバーラップHDR、Samsungの2億画素のイメージセンサー「ISOCELL HP3」などに最適化されており、新しいイメージセンサーを採用したカメラを可能にする。
CPUのKryoは、プライムコアと呼ばれるArm Cortex-X3で最大3.2GHz動作のハイパフォーマンスコアを1基、最大2.8GHzのパフォーマンスコアを4基、最大2.0GHzの高効率コアが3基という構成。パフォーマンスが最大35%向上し、新しいマイクロアーキテクチャによって電力効率が最大40%向上した。GPUのAdrenoもパフォーマンスが最大25%、電力効率が最大45%向上している。ハードウェアレイトレーシング・エンジンを内蔵し、リアルタイムの反射、影、イルミネーションを得られる没入感のあるゲーム体験をスマートフォンで実現する。また、AV1コーデックのハードウェアデコードに対応する。
通信モデムは、RFシステムに5G AIプロセッサーを搭載する「Snapdragon X70 Modem-RF System」。Wi-Fi/Bluetoothシステムは、HBS(High Band Simultaneous)技術によって5GHzと6GHzの帯域を同時に利用できるWi-Fi 7対応の「FastConnect 7800」をサポートする。