多数の豪華特典を備えたクレジットカードとして知られる「ラグジュアリーカード」では、会員限定のイベントも不定期で行われており、この11月には上野の森美術館と東京国立近代美術館で、閉館後の美術館を貸し切り、会員だけで鑑賞できるナイトミュージアムが開催された。

参加できたのは2会場合わせて22組44名のみ。ここでは11月9日に東京国立近代美術館で行われたナイトミュージアムの様子をレポートする。

  • 東京国立近代美術館

ゴールド以上の会員は国立美術館の対象展が無料

「ラグジュアリーカード」にはチタン(年会費5万5,000円)、ブラック(年会費11万円)、ゴールド(年会費22万円)、そして招待制のブラックダイヤモンド(年会費非公表)の4種類があり、ゴールド以上の会員は国立美術館の対象展が同伴者1名まで、いつでも無料となる特典を付帯。ブラック会員も毎週金曜日は同伴者1名まで無料となっている。

今回のナイトミュージアムはブラック以上の会員が参加できるイベント。申し込みは先着順で、ブラックダイヤモンド会員は他会員より1日早く申し込みが可能となっていた。

貸し切りならではの贅沢な体験

この日は11月1日から2023年2月5日まで開催中の企画展「大竹伸朗展」を東京国立近代美術館主任研究員の成相肇氏の解説付きで鑑賞するというスペシャルな内容。通常は17時(金・土曜は20時)に閉館となるが、ナイトミュージアムは18時45分から20時まで、参加者の12組24名だけで展示を独占できる贅沢な空間となった。

  • (左)当日は入口に「ラグジュアリーカード」のタペストリーが飾られていた。(右) 「大竹伸朗展」は2023年2月5日まで開催。

前半の約40分は成相氏の解説を聞きながら館内をひと通り巡回。この「大竹伸朗展」は7つのテーマで約500点にもおよぶ作品が展示されており、すべてを解説してもらうことは物理的に不可能だったが、先に各テーマの意味や代表的な作品など要点を聞くことで、膨大な数の展示を効率よく見ることができた。

  • (左)成相氏の解説に耳を傾ける参加者たち。(右)新作「残景 0」<2022年>を解説する成相氏。

また、絵画だけでなく立体的な作品も多いことから、作品の見方についても成相氏からアドバイスがあり、作品を後ろから眺めてみたり、近づいて細部に注目してみたり、貸し切りだからこそ自由な視点で作品を眺めることもできた。

  • こうした立体的な作品は後ろからも見てほしいと作品の見方にもアドバイスがあった

後半は自由時間。展示を最初からまわり直す人もいれば、マンツーマンで成相氏に質問する人もいるなど、参加者それぞれが思うままのスタイルで楽しむ様子が印象的だった。特に、一つの作品を自分たちだけで独占し、じっくり時間をかけて鑑賞するという行為は、通常の開館時間中ではなかなかできない特別な体験だったのではないだろうか。ほとんどの参加者が閉館ギリギリまで展示を楽しみ、ナイトミュージアムは終了した。

  • (左)約500点の展示のなかでも、ひときわ巨大な作品「モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像」<2012年 / Commissioned by dOCUMENTA(13)>。(右)遠隔操作で無人のステージが楽器を演奏する「ダブ平&ニューシャネル」<1999年 / 公益財団法人 福武財団>。通常は展示のみで演奏の様子はビデオでの紹介となるが、サプライズで大竹伸朗本人が来場して実際に操作することもあるそうだ。

ちなみに「ラグジュアリーカード」には、三國清三シェフがプロデュースする東京国立近代美術館内のレストラン「ラー・エ・ミクニ」が10%割引になる優待もある。鑑賞後の過ごし方まで考えて優待が用意されている点は、さすが最上級クラスのカードと言えるだろう。

  • レストラン「ラー・エ・ミクニ」

誰でも気軽に持てるカードとは言えないが、使い方次第で年会費の元が取れる優待は多数あるので、ぜひ公式サイトなどで一度サービス内容をチェックしてみてほしい。