今回は秋~冬にかけて楽しめる福島・会津での1泊2日旅をお届け。名峰・磐梯山ふもとにある「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」をはじめとした場所で、どっぷり会津文化につかってきた。
前編では、郷土料理や会津の文化体験をしてきた1日目の様子をご紹介。後編(2日目)では、磐梯山温泉ホテルとJR東日本がコラボレーションした期間限定の特別列車「福がくるくるフルーティア」の激レア体験をお届けする。それでは早速、1日目からみていこう。
■旅の幕開けは満田屋の"田楽"で!
郡山駅に降り立った筆者がはじめに向かったのは、車で1時間ほどの会津若松市にある「満田屋」へ。ここでは会津地方の郷土料理「みそ田楽」を食べられ、さらに味噌や食用油などのお土産も購入できる。
入店すると昼時とあってか多くの人が田楽を食べようと列をなしており、人気店であることがうかがえた。
ここでいただいたのは、6品の田楽が味わえる「みそ田楽コース」(1,700円)。こんにゃくや里芋、おもちなどに秘伝の味噌だれをぬり、店内の囲炉裏で一本ずつ丁寧に焼き上げているものだ。
柚子・じゅうねん・山椒など、味噌と言っても複数の種類の味噌が食材にあわせて使い分けられていた。
■「末廣酒造」で日本酒を学ぶ
風情あふれる通りを歩いて、お次は満田屋から徒歩5分ほどに位置する「末廣酒造 嘉永蔵」へ。
と、その前に伝えたい福島の酒情報が1つ。実は日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会において今年、福島県内の蔵元の17銘柄が金賞に選ばれている。福島の金賞受賞数は都道府県別でみると最多で、今年を含め9回連続で「日本一」に輝いているのだ。そう、福島県は日本でも有数の酒処だということをみなさんに覚えてもらいたい。
そんな酒処・福島でも会津は非常に酒造りがさかんなエリア。「末廣酒造 嘉永蔵」は、この地域では珍しくショップに加えカフェが併設されており、さらに個人は予約不要で酒蔵見学(無料)が可能だ。
見学では、よく耳にする純米酒と吟醸酒の違いといった基本から、最近のトレンドまでを学び、もちろん最後には試飲ができる。印象的だったのが、古酒の保管場所を見せてもらったこと。ワインなんかとは違い、日本酒は寝かせない方がいいと思っている人も少なくないだろうが、「実際は違う」と担当者は話す。保管方法や酒の種類にもよるが、寝かせることで酸味が旨味成分に変わり、よりおいしく感じられると言う。
そんな新しい日本酒の世界を学んだあとは、ショップ限定販売の「大吟醸 末廣」(3,300円)を土産に購入。兵庫県産山田錦を35%まで精米して醸した大吟醸は、華やかでキレのある味わいがたまらない。仕事で疲れた体に染み入るようなうまさを、みなさんにもぜひ堪能していただきたい。
■赤べこキーをもらってチェックイン
風情ある会津の町を堪能したあとは、磐梯山のお膝元にある「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」へ。紅葉真っただ中の磐梯山がなんとも絶景。だが、この景色もわずか数週間で終わりを迎え、雪景色に変わっていくと言うから驚き。
スキーでも有名な磐梯山は、冬季シーズンになるとホテル目の前にある「星野リゾート アルツ磐梯」がオープン。スキーヤーやスノーボーダーをはじめ、休暇を楽しむ家族連れが多くやってくるそうだ。
館内に足を踏み入れると、そこは赤べこに彩られたかわいらしい空間が広がる。木に飾られているのも赤べこ、フォトスポットにも赤べこ。さらに、チェックイン時に受け取るルームキーも赤べこという徹底ぶり。ここまで見せられると、なんだか赤べこが愛おしく思えてきたぞ(笑)。
と、赤べこに愛着をもったところで、2室限定のスイートルーム「会津モダンスイート」に到着。最大5名まで泊まれるこちらは、2階建てのつくりになっており、上の階にはベットが配置されている。1階のリビングルームには日本酒セラーがあり、会津のお酒が季節にあわせて3本用意されている。
そのほか、「モダンツインルーム」など、人数や滞在の目的にあわせて部屋はセレクト可能だ。
■オリジナル赤べこを作る!
ホテル内では、会津玩具への絵付け体験「会津てわっさ」(750円~)ができるということで、筆者もいざ赤べこの絵付けに挑戦!
美術は昔から苦手で、5段階評価で2以上の成績をもらったことがない……。だが、そこら中にいるお手本の赤べこのおかげで、想像以上の出来栄えに! うん、なかなか愛らしいぞ!
そんなこんなで集中したあとは、お待ちかねの夕食へ!
■会津文化に触れる贅沢ビュッフェ
夕食会場「kisse・kisse」では、わっぱ飯や打ち立ての蕎麦など郷土料理をはじめとした数多くの料理がビュッフェスタイルで楽しめる。
そして、ここにも赤べこが! このコーナーは会津地方で昔から伝わる郷土料理を用意している。また、お酒のカウンターでは地酒などのアルコールが注文可能だ。
彩り鮮やかな美食の数々におなかも満たされ、さぁあとは寝るだけ! と思ったら大間違い。このあともイチオシの体験はまだまだ続く。
■大人も子ども楽しむ「あいばせ!踊らんしょ」
ざわざわしているぞ……と、思いロビーの方向へ歩を進めると、そこにはハッピを着た人たちが何やら準備をしている。
聞くところによると、会津民謡「会津磐梯山」を生歌・生演奏で披露してくれるらしい。赤べこに彩られたやぐらを目の前にちょっとした高揚感を抱いていると、会場に響く太鼓の力強い音とともに、演奏がはじまる。
それにあわせて、盆踊りを陽気なスタッフさんがお客さんにレクチャー。簡単な振り付けを覚えて、小学生ぐらいの子どもからご年配の方まで楽しそうに踊る人もちらほら。
近年、祭りに出掛けることもなくなっていたので、華やかな雰囲気に新鮮さすら覚える時間だった。
■熱燗講座で酒の新たな魅力を知る
今日は、とことん会津のお酒を楽しもうではないか! ということで、初日の締めくくりは熱燗講座(1名3,000円)で。「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」では、季節にあわせて日本酒イベントを開催しているそうだが、秋限定で本講座は開かれる!
レクチャーしてくれるのは、「末廣酒造」から認定をうけた「熱燗名人」と呼ばれるホテルのスタッフたちだ。本講座では、用意された3種類の地酒を、1種類ずつ冷酒・常温・お燗と、温度を変えて飲み比べる。ちなみにお酒は温度が変わると呼び名も変わる。35度前後に温めたものは「人肌燗」、40度前後は「ぬる燗」、55度以上は「飛び切り燗」など、日本人らしい感性豊かな呼び名も興味深い。
早速、筆者も温度の異なる日本酒をいただいてみる。すると……同じお酒なのに味わいや香りが、がらっと変化! お酒の種類にもよるが、温度が高くなることで香りが豊かになったり、お酒に丸みが生まれ飲みやすくなったり、旨さがより際立ったりなど、日本酒の奥深さを改めて知ることができた。
こうして、会津文化にどっぷりつかった1日目は終了! おやすみなさい。
このあとは、後編に続く!
■Information
星野リゾート 磐梯山温泉ホテル
【住所】福島県耶麻郡磐梯町更科清水平6838−68