妊娠中、避けた方がいいと言われる「生もの」。生卵やレア肉などさまざまですが、とくにその中でも多くの人がお寿司が安心して食べられないことにストレスを感じるようです。たった10カ月、されど10カ月。食べられないと思えば思うほど食べたくなるという経験をした人も多いのではないでしょうか。
そんな多くの妊婦さんの願いを叶えるべく、ある女性が一念発起して開発したのが「加熱寿司」です。昨年実施したクラウドファンディングではなんと目標額1,113%を達成し話題になりましたが、今回ついに商品化が決定したということで、一足早く味わってきました。
加熱寿司とは
加熱寿司とは、文字通り“火を通したお寿司”です。妊娠中は免疫低下による食中毒のリスクから、生ものを控えるよう推奨されています。このお寿司は、厚生労働省が提唱する食中毒予防のための加熱基準「中心部分の温度が75°C以上」で加熱されているため、妊娠中でも安心して口にすることができるのだとか。ちなみに、より安全面を重視し、産婦人科医・湯澤憲子医師も監修しています。
しかし、新鮮な生のお魚をいただくことこそがお寿司の醍醐味のひとつ。「加熱したお寿司なんて美味しくないのでは? 」と思う人も多いでしょう。
実はこの加熱寿司、味へのこだわりもすごいのです。ネタは寿司職人が市場から直接目利きして仕入れ。そしてテクニカン社の液体急速凍結機「凍眠(とうみん)」によって、ネタを原型のまま急速冷凍することで、細胞を壊すことなくお寿司の鮮度や味を保つのだとか。
この加熱寿司を企画・開発したのは、渡邊愛さん。自身の妊娠中、食べたいものを食べられなかった経験をきっかけに、加熱したお寿司を企画。今回の試食会会場にもなった清澄白河の「やよい寿司」の協力のもと試作品販売までこぎつけました。
そして、先述のクラウドファンディングで多くの支援が集まったことをきっかけに、勤めていた食品会社を退職して独立し、加熱寿司の商品化を目指してきました。
渡邊さんによると、ネタごとの最適な味付けや加熱具合を見つけるべく重ねた試作は100回以上。ネタには細かく切れ目を入れて火を通しやすい状態にするなど、より美味しくなるよう工夫が施されています。
見た目にもこだわった全9貫のネタ
11月22日に販売開始を予定しているのは、海老、カンパチ、のどぐろ&ウニ、穴子、イカ、真鯛、玉子焼き、ホタテ、サーモンの全9貫セット。ひとつずつのお寿司を採寸して設計した専用トレーに入って届きます。
外装を外し、袋のままレンジで3分20秒(500Wの場合)解凍後、常温で10分待ちます。シャリが人肌の温かさになったら食べごろのサイン。今回の試食会では、ホタテと海老をいただきました。
口に入れてみると、お寿司で食べるホタテのプリプリ食感はそのままに、風味もしっかりと感じられます。一度冷凍されてカチコチに固まったとは思えない……! シャリもパラパラしておらず、しっかりと握った状態でネタと一体化しています。
そのほか、ウニがドンと乗った贅沢感たっぷりなのどぐろや芽ネギが添えられた真鯛など、味にも見た目にもこだわったネタが用意されているのもうれしいポイント。
お値段は1人前6,900円、2人前12,800円(送料込み)。一般販売開始を記念して、キッコーマン食品の飲むお出汁「YOHAKU」がセットになっています。
購入方法はshopifyにて、販売開始は「いい夫婦の日」にちなんだ11月22日。妊娠中のパートナーへのプレゼントにも良さそうですね。
また渡邊さんによると、免疫力が低下する抗がん剤治療中の人や小さい子ども、お寿司を食べてみたいけれど生魚が苦手な外国人の人など、妊婦さんだけでなく幅広い人からも支持されているのだそう。
さまざまな人の「お寿司が食べたい! 」を叶える加熱寿司、今後も注目です。