Palitから、NVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用するグラフィックスカード「GeForce RTX 4080 GameRock The Midnight Kaleidoscope」の投入が発表されました。前世代のモデルでは超ド派手だったファンカバーは黒をベースにした“真夜中の万華鏡(The Midnight Kaleidoscope)”へと刷新され、さらに冷却機構もリニューアル。今回正式発売前に試用できたので、動作する様子を実際に眺めてみました。
光あれ、グラフィックスカード
Palitの「GameRock」シリーズといえば、業界でも屈指のド派手さを誇るグラフィックスカード製品です。ファンカバー全面をカバーするクリスタルパーツは他メーカーでは類を見ないもので、「ゲーミングPCパーツは光ってナンボや!」という圧倒的な主張を感じます。
しかし、NVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用する今世代モデルでは一転して“ダーク”な雰囲気に。クリアパーツのカラーが白から黒へと変更されており、同社いわく「煌めく星をブラッククリスタルの中に散りばめた」とのこと。RGB LEDを点灯することで光り輝き、これによって真夜中の万華鏡、つまり“The Midnight Kaleidoscope”を表現するとしています。早速外観からチェックしていきましょう。
今回やってきたパッケージにはサポートステイのマニュアルが同梱されておらず、パッと見ただけでは使い方がわかりませんでした。しかしYouTubeでは、Palit公式キャラクター「虹野リトナ」さんがアテレコを行った日本語解説動画が公開されています。グラフィックスカード側面にあるネジ穴と組み合わせるというもので、しっかりと荷重を支えられそう。組み立て前にチェックしておきましょう。
黒いクリアパーツの採用でかなり引き締まった印象になり、個人的には前モデルよりかなり好感触。ファンカバーのフレームはすべて金属製でしっかりした剛性を備えており、シルバーのバックプレートはどんなPCパーツと組み合わせても馴染みそう。
冷却機構はRTX 40シリーズの搭載にあわせて刷新されており、「Gale Talon」ファンブレードと「Winglet」ファンテールを組み合わせた「Gale Hunter」ファンを新搭載。ヒートシンクには角度をつけて成形した「Yフォーミュラフィン」をあしらって放熱面積を高めつつ、エアフローを最適化。「Composite Heat Pipes」と幅広いベイパーチャンバーを組み合わせたことで、優れた熱移動を実現したとあります。
電源投入! 性能の高さはもはや別次元
3DMarkを用いてかんたんに性能をチェックしつつ、高負荷時の動作を確認してみました。GeForce RTX 4080自体の仕様についておさらいしておくと、TSMC 4N(4nm)プロセスで製造されたAD103を搭載。CUDAコアは9,728個、Tensorコアは304個、RTコアは76個で、トランジスタは約450億個を集積。VRAMはGDDR6X 16GBで、メモリインタフェースは256bit、メモリ帯域は716GB/s。初出時は12GBモデルもありましたが、現在では16GBモデルのみとなっています。ちなみに上位モデルのGeForce RTX 4090はCUDAコアを16,384個も搭載しているので、性能にはしっかり差別化が行われています。
今回のベンチマークテストからCPUを第13世代Coreシリーズに更新してしまったため、前回紹介した「GeForce RTX 3090 Ti」のベンチマーク結果と直接並べることはしていませんが、圧倒的な高性能。相当重たい「Port Royal」ですらさらりと平均150fps以上でクリアしていきます。
なかでも興味深かったのが、GeForce RTX 40シリーズでのみ使える新機能「DLSS 3.0」の性能です。3DMarkでは「NVIDIA DLSS feature test」モードでDLSS 1、DLSS 2、DLSS 3の各バージョンを選択して性能を評価可能。「パフォーマンス」と「クオリティ」から選択し、実際のユースケースに近づけられる実用的なモードになっています。
今回は4K解像度(3,840×2,160ドット)、DLSS 3に設定してパフォーマンスとクオリティでそれぞれテストを実施。結果はDLSSがオフの状態では39.76fpsだったところ、パフォーマンス設定では169.35fps、クオリティ設定では114.20fpsというスコアになりました。ざっくりパフォーマンス設定では4倍、クオリティ設定でも3倍近い性能向上を実現しており、いよいよどんなゲームでも4Kで遊べる時代がやってきたような気がします。
また、動作音は至って静か。ファンが回転しても耳障りな高周波成分はほとんど聞こえず、「フオーーー」という穏やかな風切り音のみ。OCCTで強烈な負荷をかけてもあまり熱くならず、GeForce RTX 4090よりかなり扱いやすいように感じます。
ちなみに、エンコード速度含むさらに詳細なベンチマークを『「GeForce RTX 4080」はRTX 3080より性能2倍以上で消費電力は同等! 全ゲーマーにオススメの完成度』で掲載中。4090や3080 Tiとの比較含め、消費電力についてもより詳しく知れるようになっています。
新世代の幕開けを“真夜中の万華鏡”で
今回GeForce RTX 4080搭載グラフィックスカードを試用してみて感じたのは、850W電源でも普通に動作させられる取り回しの良さでした。給電用ケーブルには変換が必要ですが、それでも容量的には全然問題なし。最大450Wも消費するGeForce RTX 4090とは異なり、320Wで済むGeForce RTX 4080なら現行システムへの導入も相対的に容易だと思います。