東京商工リサーチは11月14日、「大手外食チェーン値上げ・価格改定」の調査結果を発表した。調査は、国内の大手外食122社を対象に、2022年1月1日以降に値上げを実施、または実施予定を文書またはウェブ、開示資料等で公表した企業を集計した。
資源価格や原材料価格の高騰で、大手外食チェーンの値上げが相次いでいる。仕入コストの上昇が続き、今年に入り大手外食の約7割がメニュー価格の値上げを実施。前回調査した9月以降も35社(46ブランド)が値上げに踏み切っており、値上げラッシュが止まらないことがわかった。
大手外食チェーン122社のうち、2022年に入りメニュー価格の値上げを公表したのは82社(構成比67.2%)で、全体の67.2%を占めた。そのうち、2回以上の値上げを表明したのは28社(構成比22.9%)で、全体の2割を超え、原材料高のほか、人件費や光熱費も上昇し、大手と言えども外食産業は厳しい状況に置かれているよう。
82社が値上げを公表したのは105ブランドで、業態別では「中華・ラーメン」が18ブランドで最多。次いで、「レストランが」16ブランド、「ステーキ・焼肉」が14ブランド、「ファストフード」が12ブランドと続き、麺類や牛肉など、輸入食材が主力の業態で値上げが目立った。
今回調査の値上げ幅では、「5%以上10%未満」が12ブランド(構成比38.7%)で最多。10%以上の値上げは11ブランド(同35.4%)で、3割以上を占めた。ただ、単価の安いファストフードやコーヒーショップのメニューでは、販売価格が年初から15%以上の値上げもあり、価格転嫁が進むとさらなる値上げが冬場に広がる可能性も。
値上げの理由で最も多かったのは、「原材料」の高騰で89ブランド(構成比84.7%)と8割超を占める結果に。次いで、「物流」53ブランド(同50.4%)、「資源(原油含)」28ブランド(同26. 6%)、「人件費」23ブランド(同21.9%)と続いた。今後、冬場に燃料の最需要期を迎えるが、最低賃金の上昇による人件費の負担増も不可避で、さらに値上げが増える可能性を残している