幼少のころからクラシックバレエを習っていました。夢見るバレエ少女は、学生になるとバイト代でせっせと劇場に通い、ダンス公演を楽しむようになりました。
コンテンポラリーダンス、クラシックバレエ、ときどき演劇。バックパッカーで世界中を旅していたときも、各国で必ず劇場に立ち寄ったものです。ベトナムで観た人形劇は、現地の言葉がわからずストーリーがちんぷんかんぷん。北京では京劇を観るとホテルに戻ってさっそく京劇風メイクを試し、ロシアでは名高いバレエ団の舞台を観ました。いつも一番安いチケットで、天井桟敷から見えるのは演者の頭ばかり。それでも至福の時間でした。
新卒で勤めたレコード会社では、晴れてダンス・バレエの映像担当に。仕事で毎月のように舞台を観られるようになり、憧れのダンサーと仕事でご一緒したり、楽屋や舞台袖などの舞台裏や“ゲネプロ”と呼ばれるリハーサルにもアクセスする機会もいただいたりと(これぞ役得!)、ますます舞台に浸る日々を送りました。
ところが、27才で息子を産み、母親になった途端に大好きな劇場がぐうんと遠くなったような気がしたのです。大抵の演目は未就学児の入場NG。有料の託児サービスがある公演もありますが、新米ママだった私には赤ちゃんを預けて長時間の演目を観るのはハードルが高く感じられました。