2022年11月18日に発売されるNintendo Switchソフト『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモン S・V)は、『ポケットモンスター ソード・シールド』以来3年ぶりとなる完全新作。物語の舞台である「パルデア地方」最古の学校に入学した主人公は、校長のクラベルから課外授業のテーマとして「宝探し」を言いわたされ、自分だけの「宝探し」の旅へ出る。
10月には、発売に先立ち、メディア向けの試遊会が開催された。すでにポケモン公式YouTubeチャンネルでは、新しく発見されたポケモンや新要素などの情報が公開されているので、繰り返しになる部分もあるが、改めて同作のゲーム内容を整理するとともに、実際にプレイした感想をお伝えする。
自由に冒険できるオープンワールドと3つの物語
『ポケットモンスター ソード・シールド』発売後の2022年1月28日には、「ヒスイ地方」を舞台とするNintendo Switchソフト『Pokémon LEGENDS アルセウス』(以下、ポケモンレジェンズ)が発売されているが、ポケモントレーナーという概念がなく、ポケモン捕獲やバトルに独自のシステムを搭載していたこともあって、「完全新作」という位置づけではなかった。だが、『ポケモンレジェンズ』の自由度の高さは今作『ポケモン S・V』にも引き継がれている。
その1つが、『ポケットモンスター』初のオープンワールド作品である点。エリアを選択して広大なマップを探索する『ポケモンレジェンズ』のシステムが進化し、今作ではパルデア地方全域がオープンワールドになっている。エリアを解放する必要もないので、最初から行きたいところに行けるわけだ。より自由な冒険を楽しめるだろう。
「主人公の家」や「テーブルシティ」と呼ばれる中央の街など、出入りする際に画面が切り替わる場面もあったが、基本的にマップはシームレス。ポケモンが出現する草むらや道路から、町へ入り、ポケモンセンターでポケモンたちを休憩させるまで、画面遷移なく、ひとつづきになっている。
そして、もう1つ、引き継がれた要素として、フリーシナリオシステムが挙げられる。『ポケモンレジェンズ』では、メイン任務とサブ任務が用意されており、好きなタイミングで任務を進められた。
今作では、そのシステムがさらに進化。ポケモンジムをめぐり、チャンピオンランクを目指す「チャンピオンロード」、秘伝スパイスを手に入れる「レジェンドルート」、学校のやんちゃな生徒たちが結成した「スター団」に立ち向かう「スターダスト★ストリート」の3つのメインシナリオを好きな順番に進められる。脇目もふらずポケモンジムに挑戦することもできるし、それぞれのストーリーをバランスよく進めていってもいい。
「チャンピオンロード」だけを進める場合でも、挑戦するジムに決められた順番はない。もちろん、すべてのジムをクリアするには、ポケモンたちを強く育てる必要があるだろう。ただ、最初に選んだパートナーポケモンのタイプ相性などを考慮して、挑戦するジムの順番を選ぶことは可能だ。
そんな自由な冒険をサポートしてくれるのが、移動に特化した2匹の伝説のポケモン。『ポケモン スカーレット』ではコライドン、『ポケモン バイオレット』ではミライドンとともにパルデア地方を旅する。
『ポケモンレジェンズ』では、フィールドを素早く駆ける「アヤシシ」、崖を登る「オオニューラ」、水面を進む「イダイトウ」、大空を飛ぶ「ウォーグル(ヒスイのすがた)」といったように、移動する場所に応じてライドするポケモンが違ったが、コライドンとミライドンは万能型。崖登りから滑空まですべてに対応する。
一方、引き継がれなかった要素もある。パルデア地方のフィールド上には、野生のポケモンがあちこちに生息しているが、今作では、『ポケモンレジェンズ』のように、いきなりモンスターボールを投げて捕まえることはできない。基本的にバトルを経由してゲットする。
野生のポケモンは触れるとバトルに発展。手持ちのポケモンが入っているモンスターボールを野生のポケモンに投げてバトルを始めることもできる。複数のポケモンが近くにいる場合でも、バトルは1対1だ。
野生のポケモンだけでなく、フィールドに戦いに飢えたトレーナーたちがいるのは、従来の『ポケットモンスター』シリーズと同じ。今作では、王道とも呼べるトレーナーとのポケモンバトルを思う存分楽しめるだろう。ただし、パルデア地方の場合、「目が合ったら勝負」ではなく、「話しかけて勝負」するのがマナーだ。
それぞれのシナリオをちょっとだけ体験
試遊では、主人公の家からスタートし、主人公の通うアカデミー(バージョンによって学校の名前や校章、制服などが異なる)のあるテーブルシティを経て、3つのシナリオをそれぞれ少しずつ体験できた。
メインとなる3つのシナリオのうち、まず挑戦したのが「レジェンドルート」。ポケモンを元気にする健康料理を研究しているペパーに協力して、食材を探すストーリーだ。岩場のエリアに潜むと言われている「岩壁のヌシ」を探すことがミッションらしい。
フィールドは広大だが、メインシナリオのイベント発生ポイントはマップに「ビックリマーク」で示されている。迷うことは少ないだろう。コライドンもしくはミライドンで文字通りまっすぐ進めばいいからだ。とはいえ、ポケモンやトレーナー、アイテムなど、フィールドではさまざまな発見があるので、道くさは存分に楽しみたい。
実際、ヌシポケモンは思いのほか簡単に見つかった。マップのビックリマークの近くをウロウロしていたら、やたら大きなポケモンが目に入ってきたのだ。『ポケモンレジェンズ』では、フィールドにオヤブンポケモンが出現することがあったが、それと同じくらい目立つ。ひと目でヌシポケモンだと分かるだろう。
近づいたらいざバトル。しかし、ある程度HPを削ったら、すぐにヌシのガケガ二はどこかに逃げていってしまった。「探してバトル」を何度か繰り返す必要があるのかもしれない。
続いて挑戦したのが、やんちゃな生徒たちの結成した「スター団」のストーリー。パルデア地方にあるいくつものスター団のアジトにカチこんで、それぞれにいるボスを倒していくのが目的だ。
試遊で訪れたのは、スター団のほのお組 チーム・シェダルのアジト。カチこみに行くと、「10分以内にポケモン30匹倒せたらボスが会ってくれるかも」と言われ、「団ラッシュ」という特殊なバトルに発展する。
団ラッシュでは、手持ちのポケモンから3匹選び、「レッツゴー」で敵のポケモンを倒していく。レッツゴーは今作から登場するシステムで、一緒に歩いているポケモンを主人公の見ているほうへ向かわせるアクションだ。
レッツゴーで指示したポケモンは、向かった先に落ちている道具を拾ってきたり、近くの野生のポケモンと自ら戦う「おまかせバトル」をしてくれたりする。おまかせバトルは、レベル差やタイプ相性を考慮して勝敗が決まる自動のバトル。1秒ほどで終わるので、フィールド上で野生のポケモンを倒すのに便利だ。
しかも、パルデア地方では、5匹ほどの群れで行動している野生のポケモンを何度も見かけた。レッツゴーのおまかせバトルに勝利したポケモンは、そのまま近くにいるほかのポケモンにもバトルを挑むため、一度に群れのポケモンを倒せて気持ちがいい。
通常、レッツゴーできるのは1匹のポケモンだけだが、団ラッシュでは3匹のポケモンをかわるがわるレッツゴーさせていく。味方ポケモンのHPが減ってきたら自動販売機で休憩できることもあり、そこまで難しい印象は受けなかった。
制限時間内に指定された数のポケモンを倒すと、ボスのメロコがギラギラに光る車「シェダル・スターモービル」に乗って登場。「……爆ぜろや」というセリフとともにコータスを繰り出してくる。「なるほど、ここからは通常のトレーナーバトルか」と思いきや、「スターモービル」がバトルの邪魔をしてくるやや特殊なものだった。しかも、これがなかなか難しい。手持ちのポケモンのタイプ相性やレベル差などもあったが、かなり苦戦させられた。
ボスの手持ちのポケモンと「スターモービル」を撃破すると、スター団のアジト攻略完了だ。最後にメロコの回想として、過去のワンシーンが映し出される。そこで描かれていたのは、「スター団」のストーリーの続きを知りたくなるような意外な一面だった。
ちなみに、アジトへのカチコミは正面の門から行う。ミライドンに乗って空から奇襲をかけようとしたら、スター団から注意を受け、アジトの外に戻されてしまった。カチコミは正々堂々やらなければならないらしい。
そして、3つのシナリオのうち、最後に挑戦したのは「チャンピオンロード」。従来の『ポケットモンスター』シリーズでもおなじみの、ジムテストを受けて、ジムリーダーとバトルし、バッジを集めていくストーリーだ。
試遊で訪れたのは、くさタイプのジム。受付をすると「町中に散らばっているキマワリを10匹集める」というお題が提示される。ジムリーダーとバトルする前に何かしらのミッションをクリアする必要があるのはシリーズでも一般的だが、ジムの中のギミックを解き明かしてリーダーのいる場所を目指すタイプが多いイメージがあったので、これまでとはやや趣が異なる印象を受けた。
キマワリを集めて受付に戻ると、いざジムリーダーバトルだ。くさポケモン専門の芸術家「コルサ」と対峙する。チュリネなどのくさポケモンに始まり、最後にウソッキーを出すところまではわりと想定の範囲内だったが、出てきたウソッキーに花が咲き、なんと、くさタイプになったではないか。
これは、「テラスタル」と呼ばれているパルデア地方ならではの現象。バトルで使用すると、宝石のように光り輝き、ポケモンごとに持っているテラスタイプに変化する。元のタイプとテラスタイプと技のタイプが一致した場合、技の威力がアップするほか、弱点のタイプを変える戦術としても使える“切り札”的な大技だ。
なんとかバトルには勝利したが、ポケモンのタイプを変えると見せかけて変えないとは、さすがはジムリーダーといったところ。パルデア地方のほかのジムリーダーとのポケモンバトルも、きっとワクワクさせてくれるに違いない。
ポケモンたちと一緒に楽しいピクニック!
新要素「ピクニック」も試してみた。『ポケットモンスター ソード・シールド』をプレイしたことがある人ならば、「キャンプ」に近いと言えばわかりやすいだろう。
フィールドでテーブルを広げたら「ピクニック」開始だ。穏やかな気候のなかでホッと一息つけるピクニックは、冒険のいい気分転換になる。ボールを出してポケモンたちと無邪気に遊ぶ、汚れが目立つポケモンをきれいに洗ってあげる、といったコミュニケーションを通じて、ポケモンたちとの親睦を深めよう。
また、手持ちの食材でサンドウィッチを作るのもピクニックの楽しみの1つ。サンドウィッチ作りには、「ジャムサンド」「ハムサンド」など特定のメニューを選んで作る「レシピモード」と、自由に食材を選んで作る「フリーモード」が用意されている。
どちらも、パンの上に食材を乗せて作るが、一度落とした食材は使えないため、思った以上に難しい。豪華にレタスとトマトとベーコンを乗せてデラックスなサンドウィッチを作ろうと意気込んだら、最後のベーコンを乗せたあとにトマトごとベーコンが落ちてしまい、ただのレタスサンドになってしまった。
なお、サンドウィッチを食べると、「食事パワー」として、タマゴが見つかりやすくなる「タマゴパワー」、特定のタイプのポケモンを捕まえやすくなる「ほかくパワー」、テラレイドバトルの報酬が増える「レイドパワー」など、さまざまな効果が付与される。
また、パルデア地方にはいくつもの飲食店があり、アイスやパエリア、アヒージョなどのグルメを堪能することでも食事パワーを得られる。
テラレイドバトルはターン制じゃなくてリアルタイム!?
最後に、試遊会に出席したメディアと協力してマルチプレイの「テラレイドバトル」にチャレンジ。テラレイドバトルは、『ポケットモンスター ソード・シールド』での「マックスレイドバトル」のようなもので、最大4人まで協力して、オンライン通信やローカル通信によるマルチプレイが可能だ。
「マックスレイドバトル」での「ポケモンの巣」の役割を果たすのが「結晶」。フィールド上にキラキラと光る大きな結晶があり、調べるとテラレイドバトルに挑戦できる。さまざまな色の結晶を見かけたが、どうやらテラスタルのタイプを示唆しているようだった。なお、結晶を調べると、テラレイドバトルに挑戦しなくても、LPと呼ばれるポイントはゲットできる。
テラレイドバトル最大の特徴は、ターン制でなくリアルタイムバトルであること。試遊で挑んだテラレイドバトルでは、制限時間内にテラスタルした相手ポケモンのHPをゼロにすることが勝利条件だった。
そのため、とにかく技をスピーディに撃ちまくる必要がある。また、味方の攻撃・特攻を高める「いけいけドンドン」、防御・特防を高める「がっちりぼうぎょ」、HPや状態異常を回復させる「いやしのエール」といった「おうえん」が3回まで使えるので、まずはバフをかけるのが定跡かと思い、「いけいけドンドン」と「がっちりぼうぎょ」を発動してから技を連発。なかなかしぶとかったが、みごとレイドバトルに勝利し、ポケモンを捕まえることに成功した。
なお、今作ではテラレイドバトル以外でも、ほぼ全域で最大4人のマルチプレイが可能だ。ストーリーを進めることはできないが、パルデア地方のあちこちを一緒に冒険したり、ピクニックを楽しんだりできる。
そのほか、ヘアスタイルやファッションで個性を演出する機能も搭載。ヘアスタイルはコーンロウやスパイラルパーマ、ポニーテールなど、好きな髪型を選べるし、グリーンアッシュやダークデニムなどヘアカラーも豊富だった。
服や靴なども好みに合わせてコーディネートできるので、今からどんなスタイルにしようか、冒険の楽しみは膨らむ。
『ポケモンレジェンズ』の自由さがさらに進化したオープンワールドとフリーシナリオシステムに加え、王道とも呼べる従来のトレーナーバトルを存分に楽しめる『ポケモン S・V』。シリーズの醍醐味はそのままに、完全新作として新たな体験をプレイヤーに提供してくれること間違いなしだ。
©2022 Pokémon. ©1995-2022 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
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