ソニーは、主にボーカルやボイス録音に適したクリエイター向けコンデンサマイク「C-80」を12月9日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は60,000円前後を見込む。
商用音楽制作を手がけるユーザーだけでなく、ボイスコンテンツを自宅で録音し配信するクリエイター(自主制作系の音楽制作者)もターゲットにした、ボーカル・ボイスコンテンツ制作向けのスタジオマイク。
業務用の真空管式コンデンサーマイクロホン「C-800G」(1992年発売、生産完了)や、コンデンサー型+エレクトレットコンデンサー型「C-100」(直販17万2,568円)で培った技術やノウハウを活かし、それらのサウンドシグネチャーを踏襲。「ホームスタジオにプロのクオリティを届ける」とアピールしている。
音の特徴については「クリアで豊かな中域、芯のある音、ボーカル/声の存在感が出せる」と説明。ボーカルやアコースティックギター、ピアノといったアコースティック楽器の音を録音するといった音楽制作用途のほか、ポッドキャストや実況動画などのボイスコンテンツ制作にも適するという。
音の存在感を際立たせる、25mm径マイクカプセルを実装。高音質で定評のある現行のC-100用マイクカプセルを踏襲し、新たにC-80用の25mm径マイクカプセルを開発。広がりのある高域と豊かな中低域を両立しており、「芯の通った、存在感のある収音」を追求した。
C-100との違いとして、C-100のマイクカプセルは高域用17mm径と中低域用25mm径(単一/全/両指向性)の2ウェイ構成でハイレゾ収録(最高50kHzまで)も可能だが、C-80用では25mm径のみ搭載し、単一指向性となっている。C-80用マイクカプセルの振動膜の素材は最上位機のC-800Gと同じ。
単一指向性マイクに音源を近づけて使うと、周波数特性上の低域特性が上昇する(低音域が強調されてしまう)「近接効果」を抑制し、安定した録音・配信を可能にするデュアルダイアフラム構造を採用。前面の振動膜だけでなく、近接効果を抑制するための振動膜を背面に配置した構造で、C-100の背面側マイクカプセルと同等の音響構造となるよう「音響移相回路」も採用している。
本体構造は、クリアな音を実現する「防鳴筐体構造」を採用。これはC-800GやC-100から継承したもので、マイク本体のケースとスリーブに比重の高い亜鉛ダイキャストを採用し、メッシュやリフレクタ、ショックダンパーにも工夫をこらすして、ボディの“鳴き”を低減して濁り音を抑えるという。このほか、不要な低周波ノイズを除去するローカットフィルターや、過大な入力音による歪みを最小限に抑えるPADスイッチ(0dB/-10dB)も設ける。
周波数帯域は20Hz〜20kHz。正面感度は-30dB(偏度±3 dB、0dB=1V/Pa、1kHz)、ダイナミックレンジは125.5dB以上、出力インピーダンスは90Ω±15% 平衡型。出力コネクタはXLR-3-12Cタイプ。
本体サイズと重さは40×158mm(最大径×全長)、約215g。クレードルサスペンションやキャリングケースなどが付属する。なお、C-80の生産は、ソニーグループの中でプロスタジオ用マイクを長年作りつづけてきたソニー・太陽で行われる。