アイドルグループ・BEYOOOOONDSが出演する演劇女子部の舞台公演『ビヨサイユ宮殿』が11日、東京・こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロで初日を迎えた。

  • 『ビヨサイユ宮殿』より

本作は現実とは別に存在する“パラレルワールド”で、歴史上の人物・マリーアントワネット(山崎夢羽)が現代日本へとタイムトリップし、そこでアイドルグループ「BURBOOOOONS(ブルボーンズ)」のメンバーとして活躍していく物語。マリーは侍女のリーナ(里吉うたの)と共に時代も国も全く異なる2つの世界を行き来しつつ、鳥籠の鳥のように不自由な境遇から、人々に愛される王妃・アイドルへとしなやかな成長を遂げていく。史実ではマリー・アントワネットは最後にフランス革命で処刑されるが、この物語は“パラレルワールド”。成長の先にマリーがどんな結末を掴むのか、最後まで目が離せないストーリーとなっている。

作中ではキャスト陣の衣装も見どころ。クラシカルなシルエットに気品と贅沢な華やかさを感じさせる貴族階級の衣装、そして“君のお姫様”をコンセプトにした BURBOOOOONSがまとうアイドル衣装は、日頃のBEYOOOOONDSの活動ではなかなか見られないテイストのものも。

18世紀のフランス側に登場するデュバリ(高瀬くるみ)、ドミニク(島倉りか)はマリーのファッション改革に直面して変身していく。一方で男役として脇を固めるルイ16世(江口紗耶)も、はじめは頑なながらマリーの改革に心を動かされ変わる人間のひとり。ストーリーテラーとして軽やかな口上で立ち回るルソー(平井美葉)も魅力的なキャラクターだ。現代日本側に登場するBURBOOOOONSはパラレルワールドならではの「どこかにいたかもしれないアイドルグループ」の内側を見せていく。メンバーのカメリア(西田汐里)、マグリット(前田こころ)、イリス(清野桃々姫)、リラ(一岡伶奈)、コクリコ(岡村美波)と、フランスの花から名付けられた5人はアイドルデビューという同じ目標を達成するまではまとまっていたものの、そのあとの思いは1人ひとりバラバラ。日々の密接な関わりを避けられない女の子たちの内輪だけの場が、18世紀のフランス貴族社会に重なる部分も。

事務所の社長としてBURBOOOOONSを売り出していく桜木香奈(小林萌花)はそんなところに飛び込んできたマリーとリーナに可能性を見出し、2人をBURBOOOOONSへ加入させる。マリーはここでも1つずつ壁を乗り越えて改革を起こしていき、やがて物語はクライマックスへ。

18世紀フランスをはじめとした貴族社会とアイドルには「彼女たちを見つめる大衆の存在なしには成り立たない」という共通点が。貴族社会では「民衆」、現代アイドルグループにとっては「ファン」と呼び名が変わっても、両世界を貫くテーマが、マリーの民を想う言葉に真の説得力を持たせる。

『ビヨサイユ宮殿』公演は20日まで全15公演を上演予定。