京都市交通局は、地下鉄烏丸線20系の第3編成を導入し、11月18日から営業運転を開始すると発表した。第3編成も標記銘板や釘隠しに新たなデザインを採用。「おもいやりエリア」の展示スペースに京都の伝統産業品を飾り付ける。2022年度グッドデザイン賞の受賞を記念し、「北山丸太」の記念プレートを車内に掲出する。

  • 京都市営地地下鉄烏丸線の新型車両20系(写真は第1編成)

地下鉄烏丸線で活躍する全20編成のうち、開業から40年間にわたって使用し、老朽化した9編成について、2021~2025年度にかけて新型車両20系への更新を進めており、これまでに2編成導入された。新たに導入される第3編成は、11月18日の竹田駅15時17分発、国際会館行の列車から営業運転を開始する予定。以降の運行ダイヤは特設サイトに公開され、烏丸線内での運行に加え、新田辺・近鉄奈良方面への運行も予定されている。

新型車両20系では、伝統産業をより身近にして業界全体の振興につなげたいという伝統産業関係者と、京都らしい地下鉄車両にしたいという交通局の思いが一致したことから、伝統産業の活用を図っている。標記銘板(車号・事業者)は「京象嵌(きょうぞうがん)」の技法を活用し、伝統文様である「幸菱(さいわいびし)」の基本的な柄はそのままに、編成ごとにデザインを変更。第3編成では、幸菱文様をはっきりと目立たせる安定感あるデザインとなった。

  • 第3編成の標記銘板デザイン

  • 2233号車の釘隠し「青龍」

  • 2333号車の釘隠し「白虎」

  • 2633号車の釘隠し「朱雀」

  • 2733号車の釘隠し「玄武」

  • 「おもいやりエリア」に飾り付ける「京扇子」のデザイン(イメージ)

釘隠し(くぎかくし)は「金属工芸」の技法を活用し、編成ごとにデザインを変更。第3編成では「京の方位(四神)」をテーマとして、「青龍(せいりゅう)」(東)、「白虎(びゃっこ)」(西)、「朱雀(すざく)」(南)、「玄武(げんぶ)」(北)をモチーフとしている。

「おもいやりエリア」に展示する伝統産業品も編成ごとに変更。第3編成では「京扇子」と「京漆器」を飾り付ける。「京扇子」は四季をテーマに、表裏で異なるデザインの飾扇子(かざりせんす)を4本(計8種類のデザイン)飾り付けた。「京漆器」は技術・技法等について、おもな工程ごとの説明パネルと蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)などの実物を飾り付けている。

  • 「北山丸太」を活用したグッドデザイン賞受賞記念プレート(イメージ)

新型車両20系が2022年度グッドデザイン賞を受賞したことを受け、両端車両の車内に「北山丸太」を活用した受賞記念プレートを掲出する。第1~3編成では1編成あたり2カ所、両端車両の運転室と客室の仕切り壁(事業者銘板の横)にプレートを取り付ける。第4編成以降は営業運転開始時からプレートを設置する。