世に出回る製品やサービスは、ちょっとしたメモ書きのアイデアから生まれるものも少なくありません。実際、プロダクトデザインを手がけるデザイナーも、ふだんiPadだけでアイデア出しからプレゼンまでこなしているといいます。ビジネスにつながるアイデアをiPadで生み出して形にするまでのテクニックを、世界を舞台に活躍する現役デザイナーがToday at Appleのセッションで惜しげもなく披露しました。
iPadと標準アプリだけで見栄えのするプレゼン資料を仕上げる
10月下旬、JR東京駅近くのApple 丸の内で開かれた「ビジネスに活かせるデザインコンセプト」のセッションに登壇したのは、the design labo代表取締役の板坂諭さん。ふだん、建築設計やプロダクトデザイン、アートなど、幅広い分野で創作活動を行っているデザイナーです。
今回のセッションは「ビジネスに創造性を」をテーマに、iPadでビジネスにつながるアイデアを生み出す方法を板坂さんが解説しつつ、会場に集まった参加者が実践するという内容でした。
参加者には11インチiPad ProとApple Pencilが無料で貸し出されましたが、色とりどりのケースが装着された愛用のiPadを持参した人の姿も見られ、iPadが多くの家庭に浸透していることを感じさせました。ちなみに、貸し出されたiPad Proは、販売が始まったばかりのApple M2チップ搭載の最新モデルでした!
板坂さんは、これまでさまざまな椅子のデザインを手がけてきたこともあり、今回のセッションでも自分が考える理想の椅子をデザインすることに決定。iPadのメモアプリでアイデア出しをしながらデザインをまとめ、完成したものをスクリーンショットしてPagesに転送し、解説文などを付け加えながら企画書として仕上げていく流れです。
冒頭、板坂さんがiPadとApple Pencilの使い方を軽くおさらい。Apple Pencilを用いたフリーハンドでは、直線や円などを描いた際にペン先をホールドするときれいなシェイプに補正できることを解説すると、一部の参加者から「おお、これは便利!」との声が上がりました。
デザインの時間は10分ほどと短かったのですが、参加者は理想の椅子のスケッチをしっかり仕上げていました。デザインが仕上がると、板坂さんは参加者を3~4名のグループに分け、自分のアイデアをほかの参加者に説明するプレゼンの時間を用意。初対面の人へのプレゼンで当初は戸惑う人もいたようですが、これがきっかけで参加者の一体感がグッと高まったように感じます。
デザインのプレゼンが終わると、Pagesでの仕上げに取りかかります。板坂さんが参加者の仕上げの様子を見て回り、いいなと感じた作品を仕上げていた数人を指名し、作品を店内のウォール(大型ディスプレイ)に映し出したうえで全員に説明してもらいました。
11月15日にはオンラインでのセッションを実施
今回のセッションは1時間半ほどの限られた時間でしたが、参加者はふだんの仕事に役立つちょっとしたテクニックを手に入れたようでした。板坂さんのApple 丸の内でのToday at Appleセッションはこの1回限りでしたが、11月15日(火)には同様の内容のセッションを18時30分からオンラインで実施します。興味を持った人は、ぜひ参加してみてください。