日本コカ・コーラは11月10日、公式アプリ「Coke ON」の新機能「Coke ON Wallet」を発表しました。11月下旬から、独自のプリペイド電子マネー「Coke ON マネー」と「Coke ON ポイント」が始まります。

  • コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」に電子マネーとポイントの新機能が加わる

    コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」に電子マネーとポイントの新機能が加わる

自販機のキャッシュレス化に「銀行口座からチャージ」のシンプルな新スタイル

2016年に登場したCoke ONは、対応自販機でのドリンク購入や1週間の目標歩数のクリアなど、さまざまな行動で「スタンプ」を貯める過程を楽しみつつ、15個のスタンプが集まればドリンクチケットがもらえるという、ゲーミフィケーションを取り入れたお得なアプリです。

2018年からは各種決済サービスと接続して自販機利用時にCoke ONアプリ経由でキャッシュレス決済ができる「Coke ON Pay」が始まり、現在ではPayPay、d払い、au PAYなどの主要キャッシュレス決済サービスと連携しています、さらに、2021年4月からは定額制でよりお得にドリンクを買えるサブスクリプションサービス「Coke ON Pass」、2022年9月には「Coke ONドリンクチケット回数券」も導入されました。

アプリの累計ダウンロード数は4,000万を超え、Coke ON対応自販機の数も全国のコカ・コーラ自販機の約6割にあたる44万台ほどに達し、順調に成長しているサービスです。ゲーム感覚でスタンプ集めを楽しんだり、サブスクで賢く自販機を利用したりとどっぷりハマったヘビーユーザーも増える一方、多機能化によってやや全体像をつかみづらい面も出てきていました。特に、決済機能の「○○PayとCoke ON Payを連携させて、自販機とCoke ONアプリを接続して払う」という流れはやや複雑だった部分です。

  • Coke ONのスタンプカード画面。ドリンクをお得に買えるだけではなく、ゲーム感覚で楽しめるスタンプ収集の要素も人気の秘訣だ

    Coke ONのスタンプカード画面。ドリンクをお得に買えるだけではなく、ゲーム感覚で楽しめるスタンプ収集の要素も人気の秘訣だ

今回発表された「Coke ON マネー」では、ついにCoke ON自体に独自の電子マネー機能が組み込まれます。これにより、銀行口座からCoke ONに残高を直接チャージして自販機で使うというシンプルな仕組みになります。

なお、裏側の仕組みとしては大手スーパー/コンビニのハウス電子マネーも多数手掛けるインフキュリオンという会社がバックアップしています。独自の電子マネーを新たに展開するには、資金決済法で定められた前払式支払手段発行者としての届出や供託金など、エンドユーザーが想像する以上に多大な手間や負担があります。その部分をまとめて請け負う専門業者が介在することで、このようなサービスを迅速に展開できるというわけです。口座連携には日本電子決済推進機構の「Bank Pay」を採用しており、メガバンクに限らず100行以上の銀行口座に対応します。

  • プリペイド型電子マネーの部分はインフキュリオンが担当。口座連携には「Bank Pay」を採用し、100行以上の金融機関に対応する

    プリペイド型電子マネーの部分はインフキュリオンが担当。口座連携には「Bank Pay」を採用し、100行以上の金融機関に対応する

2023年3月までは「Coke ON マネー」チャージで10%還元、その後も5%還元

独自プリペイドのCoke ON マネーを使うメリットがあるのは、クレジットカードや他のキャッシュレス決済サービスをあまり利用していない方だけではありません。Coke ONのヘビーユーザーにも、これまで以上にお得になるメリットがあります。

サービス開始を記念し、2023年3月31日までは1,000円以上のチャージで10%分のCoke ON ポイントが付与されます。Coke ON ポイントは残高と合わせてドリンク購入に利用できます。開始記念キャンペーンが終了した後も、通常特典として常時5%のポイント付与が続く予定です。

チャージ時に付与されるCoke ON ポイントとは別に、購入時のスタンプ配布やスタンプが貯まった時のドリンクチケット配布、更に場合によっては購入商品などに応じたポイント付与もあり、二重、三重にサービスを受けられるチャンスがあります。

  • ウォレット画面(※開発中)。チャージ残高と保有ポイントがあわせて表示される

    ウォレット画面(※開発中)。チャージ残高と保有ポイントがあわせて表示される

ポイント制度導入で、これまで以上に柔軟なキャンペーン展開にも期待

これまでのCoke ONでは、お好きな飲料1本と交換できるドリンクチケット、その1/15の価値を持つスタンプという2種類のインセンティブツールがありましたが、そこに1円単位で設定できるCoke ON ポイントというツールが加わったことで、より柔軟なキャンペーン展開も期待できます。

現時点で実施が決定しているものではありませんが、仕組み上は商品ごと、ユーザーごとにきめ細かくポイント付与の設定を行うこともでき、例えばしばらくCoke ONを使っていないユーザーのポイント還元率を高めてもう一度使ってみてもらうような施策も可能だといいます。

また、自販機以外の販路で購入された商品のラベルから参加できるキャンペーンを行う際、その賞品としてCoke ONポイントを配布することで新規ユーザーを取り込むこともあり得ます。単なる決済手段の拡充に留まらず、Coke ONサービスの発展、ひいては業界全体としては減少傾向にある自販機事業の再活性化の可能性も秘めたギミックと言えるでしょう。

  • チャージ時に限らず、購入時にもスタンプに加えてポイントも付与するパターンもあり得る。なお、画面はテスト環境のものであり、実際の還元率とは異なる

    チャージ時に限らず、購入時にもスタンプに加えてポイントも付与するパターンもあり得る。なお、画面はテスト環境のものであり、実際の還元率とは異なる

  • 商品ごと、ユーザーごとなど、柔軟なポイント設定が可能となっている

    商品ごと、ユーザーごとなど、柔軟なポイント設定が可能となっている

一石二鳥?自販機で小銭を処理できる新機能も計画

最後に、2023年内対応予定と少し先の話にはなりますが、今後「Coke ON Wallet」に追加される新機能をご紹介します。その名も、「つり銭チャージ」「自販機チャージ」です。

どんな機能かというと、「つり銭チャージ」では自販機に現金を入れてドリンクを買った後に発生するお釣り、「自販機チャージ」では自販機に投入した小銭をCoke ON マネーにチャージできます。

  • 2023年内に実装予定の新機能。いたるところにある自販機で小銭を電子マネーに変えられるのは便利そうだ

    2023年内に実装予定の新機能。いたるところにある自販機で小銭を電子マネーに変えられるのは便利そうだ

キャッシュレス化の進行で、人によっては「ラーメン屋や自販機ぐらいでしか現金は使わない」なんて話も耳にします。どうしても現金決済しかできない場所用に最低限の現金のみを持ち歩き、コンパクトな財布やマネークリップなどを利用していて小銭を増やしたくない……などといったキャッシュレス意識の高い層の存在を考えると、新しい小銭の処理方法として歓迎されそうな機能です。

一方で、Coke ON対応機であっても自販機はやはり現金・小銭と縁が深く、まだまだ現金比率は高いそう。販売される商品の価格設定を考えても大量のつり銭の準備が必要なビジネスモデルでもあり、街中でつり銭切れのランプが点いた自販機を見かけることもそう珍しくありません。Coke ON Walletのつり銭チャージ/自販機チャージが実現すれば、小銭を減らしたい利用者とつり銭補充の人的コストを削減したい設置者にとってwin-winの関係が築けるサービスでもあるでしょう。

  • Coke ON対応自販機。新規導入の自販機に関しては、特殊環境(スマートフォン持込不可の施設内など)設置場所の意向がある場合を除き、原則としてアプリ連携に対応した機種を設置しているという

    Coke ON対応自販機。新規導入の自販機に関しては、特殊環境(スマートフォン持込不可の施設内など)で設置場所の意向がある場合を除き、原則としてアプリ連携に対応した機種を設置しているという