時計事業が業績ををけん引
カシオ計算機は11月9日、2023年3月期第2四半期の決算発表をライブ配信した。実績は、売上高720億円、営業利益は52億円。利益率は7.3%となり、売上高は対前年同期比で108%となった。
一方で営業利益・経常利益・当期純利益は前年同期を下回った。が、上期では公表値を達成しており、カシオとしてはこの状況は織り込み済みだったともいえる。
カシオ計算機 執行役員 広報・IR担当 田村誠治氏は、この状況を「(普段からの対策により)円安でも、相対的に為替がすべての通貨で同じように動いている限りはそのメリットを享受できるが、今般は円安ドル高が極端に進んだことで、営業利益で円安メリットを発揮できなかった」と説明。この状況から、時計セグメントでは以下の修正が発表された。
・中国市場の下期販売計画を見直し:売上▲60億円、営業利益▲25億円 ・時計事業全体の通期為替影響:売上+100億円、営業利益+10億円
なお、全体合計では売上高2,750億円(+50億円の修正)、営業利益240億円(▲30億円の修正)となった。時計事業においては、世界的な市場を以下のように分析した。
- 中国ゼロコロナ政策継続による各種規制の影響で需要回復に遅れ
- 欧州/北米はインフレによる消費マインド低下の影響はあるものの、G-SHOCKがけん引し堅調に推移
- 利益率の前年同期比低下は原材料・物流費高騰の影響、および相対的に利益率の高い中国の売上構成比の低下影響による(第1四半期との対比では改善)
田村氏によれば、依然として中国ゼロコロナ政策継続の影響を受けているとのこと。ただし、他の地域で挽回することで、トータルではほぼ計画通りとなったという。その上で、下期計画では、G-SHOCKのラインナップ強化と売価適正化を図り、さらなる収益改善に臨むとした。
中国市場のリ・オープニングとG-SHOCKの40周年プロモーションへの道筋
ジャンル別では、メタルのG-SHOCK、特に2100シリーズとそのフルメタルモデル「GM-B2100」が非常に好調だ。
また「G-SHOCKはプレミアム市場や女性ジャンル市場でも新たなユーザーの取り込みに成功している」(田村氏)という。
ちなみに、G-SHOCKがジェンダーレスモデルを発売するなど世界観を拡張する中、BABY-Gとユーザー層がバッティングすると思われるモデル(例:G-SHOCK「GMA-S110」とBABY-G「BA-110」)も出てきていることについて、今後はG-SHOCKに集約されるのか質問してみたところ、「(G-SHOCKとBABY-Gの)プロダクトブランドにおける位置付けは独自の世界観に基づいたユーザー層を持っており、現時点でのバッティングはないと考えています」(田村氏)とのことだった。
中国市場のリ・オープニングに向けての意気込みも十分。カシオは「非常に強固な顧客資産あるいは取引先との関係といった財産を持っている」と田村氏は語る。実際、中国における二大プラットフォームでのブランドランキングも、「天猫」で1位、「京東」で2位と、トップクラスを維持している。
新興プラットフォームの「ティックトック(TikTok)」でもブランドランキング1位を獲得。ティックトック独自の「ブランド熱度」という指標でも、時計ブランドの中で「CASIO」が1位、「G-SHOCK」は3位にランクインした。
これら高いブランド力をもとに、12月の「天猫スーパーブランドDAYイベント」が決定。カシオブランドのみのイベントであることから、極めて効果的なマーケティングを期待しているという。もちろん、G-SHOCKの40周年プロモーションとも連動、プレミアムユーザー獲得を目指す。
日本国内も含め、G-SHOCK 40周年プロジェクトでは記念モデルを順次展開、G-SHOCKの開発ストーリーなどを訴求し、若者女性など新規ユーザーの獲得に注力する。また、自社EC比率の拡大に向け、先行販売や抽選販売などを通じて自社ECへのアクセスを増やす計画だ。