何か特別なことがなくても、将来に漠然とした不安を抱えていませんか。特に最近は、新型コロナウイルスの影響で世の中が急激に変わり、不安を感じることが増えているかもしれません。

出口の見えない将来への不安は、どうすればいいのでしょうか。今回は、将来への不安を抱えてしまう原因やその対処法、不安を和らげるためのコツをご紹介します。まずは不安の原因を知り、少しでも穏やかに過ごせるよう行動してみましょう。

■将来に不安を感じる原因5つ

人は誰でも、多かれ少なかれ、予測不可能なことに対しては不安を持つものです。将来に不安を感じるのはごく当たり前のことですので、「自分は弱いのではないか」とご自身を責める必要は全くありません。

しかし、できることなら心のモヤモヤを解消し、少しでも楽な気持ちで過ごしたいものです。そこでまずは、「漠然とした不安の正体」を突き止めてみましょう。

1.お金に関する悩みを持っている

収入が少ない、貯金ができないなど、お金に関する悩みを抱えていると、「この状態がこの先も続くのだろうか」という将来への不安につながることがあります。

漠然とお金がなくて不安というだけでなく、「少ない給料でこの先結婚できるのか」「貯金がないのに、将来家を買うことができるのか」など、希望するライフプランが叶わないのではないかという恐れを抱く人もいるでしょう。

また、お金が少ないと、旅行や留学など、自分のやりたいことができない息苦しさを感じることもあります。

このように、お金の不安はただ単に「お金がない、足りない」という不便さだけでなく、生活や人生そのものへの不安になりやすいものです。

2.仕事の悩み、不満がある

社会人になると、人生の中で仕事が大きなウェイトを占めるようになります。仕事と生活は切っても切り離せないものであるため、仕事の悩みや不満が将来への不安につながるケースも多くあるでしょう。

たとえば、「頑張って働いているのに、全然収入が増えない」というお金にまつわる悩みもありますし、職場の人間関係や仕事内容への不満、キャリア、転職、家庭や子育てとの両立など、仕事の悩みは多岐にわたります。

また、「人生100年時代」と言われる時代が到来し、リタイアの時期は、年々後ろ倒しになる傾向にあります。それゆえ、長く働くことに対してネガティブな気持ちが沸いたり、老後を迎えるまで無事に働けるか心配になったりすることもあるでしょう。

忙しい日々の中では、自分と向き合う時間が取れず、生活のため仕事の悩みにフタをしてしまう人も多いですが、それが余計に悩みを長引かせ、不安を大きくする要因の一つになっているのかもしれません。

3.老後のために何もしていない

最近は、若い世代からも、老後に対する不安の声が聞こえてきます。「公的年金だけでは老後生活は送れない」と多くの人が知っていますし、以前と比べて「老後のお金は自分で何とかしなければいけない」という意識を持つ人が増えています。

しかし、何かしなければならないことはわかっていても、頭の片隅に「まだ先のこと」という考えがあると、つい目の前の生活を優先してしまうものです。こうして何もしないまま時が過ぎてしまい、ふと「働けるうちは何とか生活できても、充分なお金を貯めないまま老後を迎えたらどうなるのか」と考え、急に大きな不安に襲われる人は少なくありません。

また、老後は働いて得る収入がなくなるのはもちろん、生活リズムや健康状態など、現役時代とはさまざまなことが変わります。介護が必要になるかもしれませんし、若い頃よりも病院にかかる機会が増え、医療費がかさむようにもなるでしょう。

しかし、家族を見て、「老後生活はこんな感じ」という何となくのイメージはあっても、若い人が、何十年も先の自分の老後を想像するのは難しいものです。そのため、老後のために何かしなければと思っていても、実際には何もしていない人は多く、それが将来への漠然とした不安になっていることがあります。

4.病気になることへの恐れがある

若い世代であっても、病気が不安な人もいるでしょう。病気そのものへの恐れだけでなく、「病気で働けなくなったらどうしよう」「治療費で生活が苦しくなるかもしれない」という、仕事やお金の潜在的な不安が正体の場合もあるかもしれません。

特に、うつ病など心の病を心配する人は多いです。また、平均寿命が延びているからこそ、心臓病や糖尿病など、生活習慣病にかかるリスクとも長く向き合わなければなりません。健康なままいつまで生きられるのかという漠然とした不安は、誰もが抱えているのではないでしょうか。

5.世の中の変化に対応しきれない

この他にも、世の中が大きく変わることで、「この先どうなってしまうかわからない」という不安を募らせている人も多いでしょう。特に近年は、新型コロナウイルスの影響により、世の中が一瞬にして変化してしまうことを、世界中の人が経験しました。

さらに、今年は身の回りの商品、サービスの値上げが相次ぎ、人によっては、これまでの生活が成り立たないほどのダメージになっているかもしれません。

今まで以上に先行き不透明な時代に突入し、世の中の変化に心が対応しきれない状態になっていても、無理はないでしょう。

■不安を和らげるコツとは

このように、将来への漠然とした不安も、よく見つめ直してみると、何が具体的な原因となっているのか明確になるものです。

原因がわかれば解決策が見つかるかもしれませんし、もしすぐには見つからなくても、不安の正体がハッキリするだけでも気持ちは楽になります。まずは前項を参考に、自分の不安は何が元になっているのか探ってみましょう。

次に、そうした不安を和らげるコツを2つご紹介します。

1.自分にできることを紙に書いて整理する

不安を和らげるためには、まず「自分に何ができるか」を紙に書いてみましょう。不安の原因に対して何もしていないままだと、それがコントロール不可能なものに感じてしまいます。しかし、紙に書きながらできることを整理していくと、実はさまざまな対処法があると気付けるのです。

たとえば、自分は病気への不安があるとわかったら、さらに、病気になった時どのようなことが心配かさらに掘り下げてみます。その結果、「病気そのものより、働けなくなって生活できなくなることが怖い」という不安が明らかになったとします。

そこで自分ができることは、

・病気で働けなくなった時に受けられる保障について調べる
・働けなくなった時に備える保険への加入を検討する
・いざという時のために、貯金に励む

など、さまざまな対応が挙げられます。思いつかない場合は、インターネットで検索したり関連する書籍で調べたりするといいでしょう。

どんなに小さくても、できることを見つけて動いてみると不安は和らぎますし、実際に問題が解決することもあります。まずは、紙に書いて頭を整理しましょう。

2.「できる」ことに意識を向ける

不安な気持ちが大きい人の中には、「この先も貯金は増えないだろう」「いい人とめぐりあって結婚することなんて不可能だ」など、何でも後ろ向きに考え、自ら不安を大きくしてしまう人も見られます。

つまり、「できない」ことに意識が集中し過ぎているのですが、人の脳は、意識を向けているものだけが見えるようにできています。そのため、「できない」ことに意識が向いている人には、実際にそうした考えを裏付けるような出来事が起きてしまいがちです。

こうした悪循環を断つためには、「できる」ことに意識を向けて生活することが有効です。ぜひ、できない理由を探さずに、できる理由を探すことを習慣にしてみましょう。

■お金、仕事、老後の不安への具体的な対処法3つ

最後に、お金、仕事、老後の不安に対する具体的な対処法を3つご紹介します。「これらの不安に対し、自分では何をすればいいかわからない」という人は、ぜひ参考にしてください。

1.まずは貯金100万円を目指す

お金の悩みは人によってさまざまですが、漠然とした不安は「貯金がない」「手元のお金が少ない」という状況から生まれやすいです。そのため、貯金をしていない、もしくはほとんどないという人は、まずはお金を100万円貯めることから始めましょう。

銀行残高に100万円あると、「もし何かあっても、とりあえず生きていける」という自信になります。自分のペースで構いませんので、毎月必ず貯金をしましょう。

確実にお金を貯めるには、「先取り貯金」がポイントです。給料の残りを貯金するのではなく、貯金分のお金は先に貯金用口座に移しておきましょう。

2.自力で稼ぐスキルを身に付ける

自力で稼ぐスキルを身に付ければ、「仕事がなくなったらどうしよう」という不安は大幅に減らせます。たとえば、プログラミングなど需要の高いスキルがあれば、副業で稼げますし、独立してフリーランスで働くことも可能です。さらには、転職にも有利でしょう。

スキルを味方につければ、その分働き方の選択肢が広がりますので、職場や仕事内容が合わないなどの悩みを解決することにも役立ちます。

3.老後のためにいくら必要か知り、積立を始める

老後の不安を小さくするには、どんなに少額でもいいので積立を始めましょう。「老後資金を貯める余裕なんて、全くない」と思いがちですが、月に1万円貯めるのは無理でも、500円玉貯金ならできるかもしれません。

金額にこだわり過ぎず、自分にできる範囲でまずは行動してみましょう。先ほども述べましたが、特に老後資金に関しては、「何も取り組んでいないこと」が不安を引き起こしているケースがよく見られるからです。

それに、金額は小さくても、全く何もしていないのと少しでも貯めているのでは、大きな差があります。

また、老後までにいくら準備すればいいのかわからず、そのことが漠然とした不安になっている人もいます。自分が貯めるべき老後資金の額を知るとショックを受けるかもしれませんが、その分掴みどころのない不安は消え、「現実的な行動を取ろう」という覚悟ができるでしょう。

■まずは「不安の元」を探ろう

将来に漠然とした不安があるなら、具体的には何が不安なのか、その正体を探ってみましょう。不安の原因がわかるだけでも気持ちは軽くなりますし、「悩んでも仕方ない」と吹っ切れることもあるでしょう。

そもそも不安とは自分の思い込みによる幻ですが、それでも、不安感が強いと日々が苦しいですし、解決できるに越したことはありません。毎日を少しでも明るい気分で過ごせるよう、アクションを起こしてみましょう。