また、小島講師は、もしオオスズメバチによる攻撃を受けなかったら、カブトムシの活動時間帯はどのように変化するのかということを考察。その疑問の回答を得るため、吹きつけると一時的に活動性を低下させられるスズメバチ除けスプレーを用いて、オオスズメバチを樹液場から排除する実験を行うことにしたという。

明け方から正午まで、樹液場の周囲に飛んできたオオスズメバチにこのスプレーを噴霧し、樹液場にオオスズメバチが降りるのを阻止し続けたところ、カブトムシの半数以上は少なくとも正午までは樹液場に留まり続けたとする。つまり、カブトムシは本来それほど強い夜行性を示すわけではなく、オオスズメバチからの攻撃を受けなければ、昼間でも活動しうることが示されていると小島講師は指摘している。

なお、シマトネリコという木に集まるカブトムシは、昼間も樹液を摂取し続けるということが近年明らかになったという。しかし、カブトムシは樹液が染み出てくるように木を削るが、この木においてもスズメバチの仲間がやって来ることがある。しかし、シマトネリコにやって来たスズメバチは、なぜかカブトムシに攻撃を加えることはほとんどないという。これは、シマトネリコの1本の木に多数の餌場が存在するためだと考えられるとする。そのため、シマトネリコで昼間もカブトムシが留まり続けられる理由の一部は、スズメバチから排除されにくいことが考えられると小島講師は説明している。

今回撮影された、オオスズメバチがカブトムシの脚に噛みついて排除していく様子の動画 (出所:YouTube「trypoxylusdichotomus」チャンネル)