ベルギーの独立系半導体デジタル技術研究所であるimecは11月7日、東京にてimec Technology Forum 2022(ITF Japan 2022)を開催した。
今回のテーマは、「Driving the semiconductor future(半導体の未来を切り開く)」で、日本の半導体戦略を立案し実行する経済産業省(経産省)商務情報政策局長の野原諭氏や、近く設立されると見られている最先端半導体技術開発組織のトップへの就任が噂される前ウエスタンデジタルジャパン代表取締役社長の小池淳義氏が、日本の先端半導体技術開発に関して基調講演を行ったことが注目を集めた。
imec/ASMLと提携しEUV露光技術を獲得へ
日本の半導体戦略の策定を陣頭指揮する経産省の野原局長は、「Deep Tech Transformation ~Computing Power and Semiconductors」と題した基調講演を行った。
野原氏は、「次世代コンピューテイングパワーとそのための次世代半導体チップは多くの国にとっての命運を握っている」と前置きし、日本の半導体サプライチェーンにとって「No EUV、No Future」と述べた。また、「(imecとASMLは次世代EUV露光技術に関する共同ラボを設立して高NA EUV技術の実用化を目指しているが)この2社と私たちが連携することは、将来の日本の半導体産業を構築するために必須(essential)だと強く確信している」とも述べ、日本とimecの両者の関係を両方向から深めることを意図していることを強調した。
このほか同氏は、すでに経産省の策定した公表済みの半導体戦略の3段階アプローチや4670億円の補助金支給を決定したTSMCの熊本工場(JASM)などについての説明を行った。岸田首相は、政府が半導体産業を強化するために1.3兆円を投資することを約束したが、この動きは、同盟国との関係を強化しながら、半導体業界を再建するという国のコミットメントを示しているとし、戦略的パートナーと具体的かつ協力的なプロジェクトを展開することは、日本にとって切実な希望であるとしている。
また、「日本は米国と次世代半導体で共同開発をすることを政府レベルで決めているが、何も米国だけに限ったことではなく、他の国や地域との連携も受け入れる余地はあり、(米国との関係とは)相補的な連携を構築していきたい」とimecとの連携なども模索していることを明らかにしたほか、半導体の人材育成に関して、「日本と米国は人材開発に関して協業することを合意しているが、この協業を欧州、とりわけimecにも広げるつもりでいる。冒頭でも指摘したように、EUV露光技術は、次世代半導体を開発し、製造するために必須技術である。そのため、imec/ASMLとのパートナーシップは必須である」と再度、欧州勢との連携に言及し、「今後ともimecとの連携に向けた議論を継続し、パートナーシップを実現させて、お互いウイン・ウインの関係を築いていきたい」と話を結んだ。