株式会社メルカリは11月8日、「メルカリ Fintech事業戦略発表会 2022」を開催。グループ初となるクレジットカード「メルカード」のリリースや常時ポイント還元の開始など、フィンテック領域における新たな取り組みを発表した。
■9年で累計利用者数約4,800万人、流通総額3.8兆円に
メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに、2013年にフリマアプリ「メルカリ」の提供を開始。以降、スマホひとつで誰でも気軽に不用品を売買できる顧客体験の提供を通じ、累計利用者数約4,800万人、流通総額3.8兆円の規模にまで成長を遂げてきた。
2019年にはスマホ決済サービス「メルペイ」の提供を開始。政府によるキャッシュレス推進を追い風に、後払い決済サービス「メルペイスマート払い」が好評を博したこともあり、着実にユーザー数を伸ばしてきた。
■初のクレジットカード「メルカード」をリリース
そして2022年11月8日、メルカリはグループ初となるクレジットカード「メルカード」の提供を開始した。極力配力や文字を抑えたシンプルな券面に、ワンポイントとしてメルカリのロゴをデザイン。「循環型社会」を目指すメルカリらしく、カードにはリサイクル素材を85.5%使用している。
より安心・安全な決済体験を意識して、「メルカード」は券面にカード番号や有効期限の記載がない「ナンバーレス」を採用。アプリでカード番号の確認ができるほか、カード紛失・盗難時はアプリから利用停止ができる。
特筆すべきが、「メルカリ」と「メルペイ」の利用実績に基づいた独自の与信システムだ。
一般的なクレジットカードの与信は、年収や職業といった属性に基づいて行われることが多いが、「メルカード」においては、「メルカリ」での期日通りの発送や期限通りの支払い、丁寧な対応といった「行動」も与信の材料となっている。「メルカリ」で丁寧な取引をすれば、カードの利用限度額が増える可能性があるという、ほかにはない仕組みになっているのだ。
さらに、ユーザー自身が引落日を選ぶことができたり、「メルカリ」の売上金を支払いに充当したりできるなど、支払いの柔軟性が高い点にも特徴がある。年会費は永年無料。さまざまなクレジットカードが乱立する中、「ユーザーフレンドリー」なカードを追求した形といえそうだ。
■最大4%、常時ポイント還元スタート
「メルカード」の提供開始にあわせて、「メルカード」や「メルペイスマート払い」の利用でポイントを付与する「常時ポイント還元」もスタート。常時ポイント還元も、メルカリグループ初の取り組みとなる。
還元率は「メルカリ」「メルペイ」の利用実績等によって変動し、「メルカリ」での購入の場合は最大4%、外部店舗での利用の場合は常時1%となる。
「たくさん買えば買うほど還元率が上がる」というのはよくある仕組みだが、ユニークなのが、「メルカリ」で買ったり「メルペイ」で支払ったりするだけでなく、「メルカリ」で“売る”という行為も還元率アップにつながる点だ。
株式会社メルカリ 執行役員CEO Marketplace Jeff LeBeau氏は「消費だけでなく、サステナブルな行動がお得につながる仕組みを目指しました。還元率を上げるために特別に意識していただく必要はありません。ただ、メルカリを楽しんで使っていただくだけで結構です」と語る。
■「メルカリ」で暗号資産の購入が可能に
さらに、2023年春(予定)には、「メルカリ」アプリで暗号資産(ビットコイン)の購入が可能となる。
新たなサービスに申し込んだり、アプリをダウンロードしたりすることなく、いつも使っている「メルカリ」アプリで暗号資産の取引が完結する、シームレスな体験の実現を目指す。「メルカリ」アプリ内で本人確認を済ませているユーザーであれば、最短1分で暗号資産の取引を始められるようにする。
「メルカリ」の売上金を使って暗号資産を購入できるなど、誰もが気軽に暗号資産を保有できる未来を描いているという。
■「メルカード」誕生で「価値が循環する仕組み」の強化へ
従来は、クレジットカードが利用できる店舗に比べ、「メルペイ」の加盟店舗数は限定的であった。しかし今回の「メルカード」の提供開始により、メルカリグループが提供する決済手段が利用できる店舗が飛躍的に増加する。「メルカード」は、国内外約3,900万カ所のJCB加盟店で利用が可能だ。
加えて、常時ポイント還元のスタートは、メルカリのサービスの利用を促進するインセンティブとなるだろう。
これまでは「メルカリ」で不用品を売っても、売上金は銀行口座への振込で受け取るというユーザーも少なくなかったはずだ。売上金をカードの支払いに充てられるとなれば、手数料のかかる銀行振込でなく、「メルカード」で利用しようと考えるユーザーも少なからず出てくるとみられる。
「メルカード」のリリースによって、メルカリのサービス内で価値が循環する仕組みがさらに盤石なものとなるか、今後に注目だ。