日本テレビ系列の福岡放送(FBS)が、サッカー日本代表に選出された冨安健洋選手(アーセナルFC)に、テレビ局として海外移籍後初の現地取材に成功した。この模様が、特番『夢スポSP「Proof/証明」 サッカー冨安健洋 ~福岡からW杯へ イギリス独占取材~』(19日16:00~ ※福岡ローカル)で放送される。

  • 冨安健洋選手=FBS提供

福岡で生まれ、アビスパ福岡で育った冨安選手。アビスパ福岡史上最年少の17歳でJリーグデビューし、2018年にベルギーのシント=トロイデンVVへ海外移籍。そして今、世界最高峰のプレミアリーグ・アーセナルFCで躍動している。今回の番組では、テレビ初となる現地・イギリスでの独占取材と、中学時代から取材してきたFBSだけの秘蔵映像で、24歳の若武者の成長と覚悟を伝える。

プロ野球・福岡ソフトバンクホークスが圧倒的に人気のある福岡で、親に連れられて通ったのが、アビスパ福岡のホーム・博多の森球技場(現:ベスト電器スタジアム)だった。そこで冨安選手は、のちのアビスパ福岡アカデミー監督である“背番号10”久藤清一氏に出会った。

ユーティリティで頭の切れるボランチに憧れ、アビスパ福岡アカデミーへ入団を決める。そしてこの時、FBSは久藤氏の監督への道のりを密着中に、当時16歳の冨安選手に出会った。当時、「久藤さんはアビスパで一番好きな選手でした。厳しいことは言われるけど優しいです」と語っている。

14年にFBSの初取材で「ユースにいるときからトップ昇格して、最終的には日本代表になりたい」と語っていた冨安選手。翌年12月に、クラブ最年少の17歳(高校3年生)でプロ契約を結んだ。

16年7月にはJリーグデビュー、7月下旬に1つ上の世代・U-23リオデジャネイロオリンピック日本代表のトレーニングパートナーとしてブラジルへ。帰国すると、アビスパ福岡は残留争いの真っ只中。10月には「FIFA U-20ワールドカップ」を懸けた大会「AFC U-19選手権バーレーン2016」(アジア選手権)へ出場。その最中にアビスパ福岡の降格が決まるも、悔しさを胸に全6試合に出場し、すべて無失点に抑える。日本をアジア選手権初優勝へ導き、世界へ羽ばたくきっかけとなった。

「4年半前アビスパを出たときの自分に今、アーセナルにいると言っても信じないと思う」と語る冨安選手。今年6月、オフシーズンに福岡へ帰郷し、原点であるアビスパ福岡アカデミーでの特別指導を企画した。世界最高峰のイングランド・プレミアリーグ・アーセナルでの経験をもとに、自らメニューを考案し、アビスパ福岡から自分を超える存在を出すため、3日間にわたり“世界のスタンダード”を伝えた。

その時、「自分はここにいてはいけないと、今いる場所で証明してほしい」と語った冨安選手。これまで「先のことは考えられない。今を頑張りたい」 と今の自分に謙虚に向き合ってきたからこその伝えたい思いだったのだ。それは、自身が臨むワールドカップを前にしても変わらない。「アーセナルで必死。先のことは考えられない、ここで成長することがW杯につながる」。

W杯に向けて、「福岡の人たちにいいニュースを届けたい、福岡の人たちの想いを背負って戦う」と語る冨安選手。大きく成長しても、変わらないのが地元・福岡への愛だ。「引退はアビスパ福岡。その後も何かしら恩返しをしたい」とも話しており、夢舞台と語ったワールドカップで、福岡の代表としてピッチに立つ。