はたらき方の多様化が進んでおり、副業をする方が増えています。しかし、その実態については、あまり知られていません。

本稿では、パーソルキャリア株式会社が運営するプロフェッショナル人材総合活用支援ブランド「HiPro(ハイプロ)」が実施した「副業に関する調査」のデータなどを用いて、副業している人の実態についてHiPro編集長 鏑木がわかりやすく解説します。

副業する人が増えている背景

人生100年時代の突入、2018年の副業解禁、働き方改革による残業時間の減少等により、副業/独立というはたらき方が注目され始めました。

そこにコロナ禍によるリモートワークの普及が重なり、より個人のはたらき方の多様化が加速し、副業をする方は増えてきています。ちなみに、副業を始めるきっかけで多いのが、以下の3つです。

・収入を上げるため
・自身のスキル向上・キャリアップのため
・時間を有効活用するため

また、個人の副業への関心・ニーズの高まりを踏まえ、政府も、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改訂を推進するなど、国による環境整備が進んでいます。

副業で稼いでいる人の実態とは(副業年収編)

HiPro調査※によると、副業者のうち、副業年収300万未満が全体の約87%を占め、副業年収が300万円を超えている人は、全体の約13%にとどまっています。しかし、そのうち、1,000万円以上稼ぐ人が11.5%も存在することがわかりました。

※2022年9月に全国の男女20~50代の副業者を対象に実施したインターネット調査

副業で稼いでいる人の実態とは(仕事編)

では、副業年収300万以上稼いでいる方はどのような業務に携わっているか見てみましょう。

経営企画や商品/サービス企画、新規事業開発/事業企画に携わっている方が約40%存在。経営の中でも、専門性を必要とする重要なテーマに副業者が携わっていることがわかります。

加えて、経営領域以外にも、研究開発、生産/製造、営業、人事等、領域問わず、幅広い分野の業務に副業者が携わっていることが明らかになりました。

副業に必要な「3つの能力」とは

副業を行う際は、業務委託契約を締結し、外部人材として企業に関わることとなります。その際に必要な能力は、以下の3つです。

(1)自分の得意分野を言語化し、課題解決方法を提案する力
(2)コミュニケーション能力
(3)結果を出すための行動力

(1)自分の得意分野を言語化し、課題解決方法を提案する力

外部人材として企業に関わる際には、自分のできることや専門性と、企業が解決したい課題とがしっかりとマッチしている必要があります。そのためにまず「自分は何ができるか」を明確にしておく必要があるのです。そして企業の課題を把握し、「自分であればどう解決できるのか」を伝えなくては、案件を受注することはできません。

現在、副業市場は“買い手市場”であるため、自分の得意分野が課題解決にどう活かすことができるのかをアピールし、企業に伝えることが大切です。

(2)コミュニケーション能力

外部人材として企業に関わる際には、さまざまなステークホルダーと短期間で関係を構築し、結果を出す必要があります。コミュニケーションと聞くと、"社交性の高さ"を連想する方もいると思います。しかし、副業を行う上で必要なコミュニケーション能力とは、企業と副業者が同じ目標を目指すために、誤解を招くことなく、双方でしっかり意思疎通をはかるように努めることです。

また、支援先の企業の意見・考えを尊重しながら業務を進めていくことも副業を行う上での重要なポイントです。

(3)結果を出すための行動力

企業が、外部人材に求めているのは「結果」です。そのために、自身の専門性を発揮しながら行動しなくてはなりません。また、結果を出すことが自身の評価や実績となり、その評価・実績が口コミとなって広がることで、次の案件につながることがあることが多々あります。副業/独立して活動し続けるためにも、結果にこだわった支援をしていくことが大切です。

近年では、地方副業が活性化しており、徐々に副業/独立している方の活用が浸透しています。

一方で、過重労働リスクや税務手続きの手間などから副業をためらう方もいるでしょう。当社調査でも、副業のデメリットとして24.3%の人が、過重労働になったと回答しています。

しかし、メリットとして収入が上がったと回答した人が70.8%、スキルが向上したと回答した人が28.8%、キャリアアップにつながったと回答した人が13.5%との結果が出ており、副業を通じて、収入アップだけでなく、スキルアップやキャリアアップも期待できます。

メリットだけでなく、デメリットも踏まえたうえで、副業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール:鏑木陽二朗

2001年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2011年に、プロ人材による経営支援サービス「i-common(アイコモン)」(現「HiPro Biz(ハイプロビズ)」)を立ち上げ、事業責任者として組織を牽引。2021年10月に執行役員就任。2022年5月、業界初となるプロフェッショナル人材の総合活用支援ブランド「HiPro(ハイプロ)」を立ち上げ、HiPro編集長に就任。