女優の高梨臨が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、6日に放送される『そこにいていいんだよ ~もじゃくん夫婦と不登校の子どもたち~』。学校に行けない子どもたちの居場所を作るために奮闘する元教師夫婦を追った作品だ。

現在放送中の月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』では、幼い子どもたちを救う看護師を演じているが、「やっぱり子どもたちは無条件に救われてほしいと思いますね」と、改めて感じる機会になったという――。

ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した高梨臨

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した高梨臨

■子どもの心を開く元教師夫婦の不思議な魅力

友達関係での不安や悩み、いじめ、複雑な家庭環境、貧困など、様々な生きづらさを感じて不登校になってしまった子どもたちが通う「学べる居場所・かけはし」。運営するのは、「もじゃくん」こと廣瀬貴樹さん(39)と、「ちーさん」こと千尋さん(41)夫妻。2人とも小学校の教師をしていたが、貴樹さんが「かけはし」を作ろうと退職すると、千尋さんも夫の夢を一緒にかなえようと退職し、活動をスタートさせた。

この夫婦を見て、「人間的な素晴らしさに、すごく感動しました。(「かけはし」に通う)子どもたちの様子が少しずつ変わっていくのを見ていると心が動かされるんですけど、その活動を公務員という立場を捨てて、ずっと変わらないスタンスで続けていくもじゃくんとちーさんの強さも感じて、心を打たれました」という高梨。

子どもたちの心に変化を生んでいく2人に、「すごく話しやすそうな雰囲気があるんですよね。『このオーラはなんだろう?』って説明できない感じがあるんですが、私も一緒にいたら心を開きやすいだろうなと思いました」と、不思議な魅力を感じた。

しかし、「かけはし」の運営は手弁当で、生活費をアルバイトで稼ぐ日々。夫婦の収入が教師時代の10分の1となったという現実には、「やっぱり自分の家庭のことを考えちゃうと思いますし、他人の子どもたちの生活を支えるという発想には、なかなかいかないですよね」と、その行動力に感服しながらも、“妻目線”としては、「(貴樹さんが)正しいことをしているのは間違いないので、実際に自分のパートナーがそうなったら信じてあげたいという気持ちはありますけど、私はちーさんみたいに賛同できるかは分からないです」と、率直な印象を述べた。

  • 廣瀬貴樹さん(右)と千尋さん夫妻 (C)フジテレビ

■自分が見てきた不登校児は「そのまま流されていた」

自身の子ども時代は、「なかなか前に出られない子だったんですけど、すごく健康でほぼほぼ皆勤賞で活発でもありました。部活もやっていて、普通の子どもだったような気がします」と回想。

一方で、「不登校の子は当たり前のようにいましたが、『この子、ちょっと変わってるな』っていう目で見ていて、結構そのまま流されてしまっていたと思うんです」と振り返り、だからこそ、「こうやって目を向けてくれる方たちがいて、安心して過ごせる居場所ができているというのを知れて、すごくいいことだなと思いました。子ども自身ももちろんですが、親も救われるんだろうなと思います」、と「かけはし」のような存在の必要性を改めて認識したようだ。

その上で、「子どもの頃につらい思いをしたことも、大人になったらそこまで敏感になって悩むことではなかったと分かって、むしろ自分自身の強みにできる人もいるんじゃないかと思うんです。この番組がきっかけでもいいですし、経営も大変なので、こういう施設がちゃんと運営できるシステムができて、広まっていけば」と願った。

■『ザ・ノンフィクション』で知る“助けてくれる人”の必要性

『ザ・ノンフィクション』を毎週欠かさず視聴する大ファンの高梨だが、最近の放送で印象に残ったのは、他の施設から“お断り”された認知症や統合失調症などの患者を預かる介護施設「いしいさん家」に密着した『ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~』(7月31日・8月7日放送)。今回と同様に、“居場所”を作ってあげる人たちの奮闘記で、「やっぱり、つらいときに助けてくれる人がいるというのは、素晴らしいだと思います」と実感する。

奇しくも、現在出演中の月9『PICU 小児集中治療室』では、小さな子どもと向き合う役柄を演じているが、「やっぱり子どもたちは無条件に救われてほしいと思いますよね。未来もあるし、心の底からどうにか良くなってほしい。子どもの頃の経験は、将来トラウマにもなれば、いい思い出になる子もいると思うので、病気じゃなくても心を救ってあげられるというのは、すごく大事だなと思いました」と、共通して感じる部分があったそうだ。

最後に改めて見どころを聞くと、「実際にお子さんのこういうことで悩んでいる人もいるかもしれないですし、周りにそういう方がいて、自分が声をかけてあげることで救われる子どももいるかもしれないですし、子どもたちみんなが楽しく健やかに過ごせる居場所というのは、探せば必ずあるんだというのが伝わればいいなと思います。そして、この世の中にはもじゃさんやちーさんみたいな、自分の全てを懸けて周りの子どもたちの幸せを願って活動する素晴らしい志を持っている人がいるんだということをすごく知ってほしいと思ったので、これを見てぜひ楽しんでいただけたらと思います」と呼びかけた。

  • (C)フジテレビ

●高梨臨
1988年生まれ、千葉県出身。『花子とアン』(NHK)、『恋がヘタでも生きてます』(読売テレビ)、『西郷どん』(NHK)、『結婚相手は抽選で』(東海テレビ)などのドラマに出演し、主演映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』は第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた。現在放送中の月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ)に出演中。