GfK Japanの販売実績データをベースにした「生活家電の色トレンド」によると、美容家電や調理家電の本体カラーとして、ブラックの数量構成比が顕著に拡大している。
美容家電では特にヘアアイロン市場において、ブラックの構成比が2018年の22%から2022年1月-9月で42%にまで拡大。かつて主流だったピンクの構成比は2018年には38%だったが、2022年1月-9月では15%にまで減少した。
同じくドライヤー市場でも、ブラックの構成比は2018年の6%が2022年1月-9月では15%に拡大。ピンクの構成比はブラックの増加分だけほぼそのまま減っている。
GfK Japanはこの背景について、消費者の間で性別や年令などのイメージにとらわれない考え方が広がっていると指摘。男性の美容意識の高まりをその一例とした。「女性はピンクが好き」という固定観念が変化しつつあることも、シックなカラーの美容家電が選ばれる要因の一つとしている。
一方、調理家電は炊飯器とオーブンレンジの色別構成比推移を例に、やはりブラックの需要が伸びていることを示した。
炊飯器市場では、ブラックの数量構成比が2018年の13%から2022年1月-9月の38%へと大きく広がり、色別構成比で1位となった。2018年時点で46%の構成比を占めていたホワイトは、2022年1月-9月では36%に縮小している。
オーブンレンジ市場はホワイトの数量構成比が依然として高く、2018年の59%が2022年1月-9月もほぼ同じ。ただし、レッドの構成比が縮小し、そのぶんブラックが拡大。2018年の21%が2022年1月-9年で29%へと伸びた。また、電気ケトルもホワイトの構成比が高いが、ここ数年でブラックの構成比が徐々に高まっている。
ブラックが選ばれる傾向として、GfK Japanは「料理をする人に性別の垣根がなくなってきたこと」や、「対面式キッチンの普及で調理家電のインテリア化が進んだ」ことを要因として挙げている。住環境の変化に伴い、調理家電がリビングから見やすい家が増え、キッチンの統一感を出すためにシンプルで洗練されたデザインが求められるようになったとみている。
そのほか、冷蔵庫でもシックなカラーが増えてきている。GfK Japanが2021年7月から2022年6月にかけて実施したインターネットによる購入者調査によれば、デザイン面での購入重視点として、28%のユーザーが本体の色と回答。冷蔵庫市場では2021年に入ってから、小規模ながらもグレーが構成比を伸ばしている。