11月は紅葉や旬の食材など、五感で自然を感じられる季節です。日本ではもちろん、海外でも古くから親しまれてきた行事や記念日がたくさんあります。
この記事では、11月に楽しめるイベントや年中行事のうち、代表的なものについて、日程や意味をまとめています。
11月の年中行事、イベント、祝日
11月に行われる主な行事やイベント、祝日についてご紹介します。
赤い羽根共同募金(10月1日~翌3月31日)
赤い羽根共同募金は、赤い羽根をシンボルとする共同募金で、各都道府県に設置された共同募金会が主体となって取り組んでいます。
もともとは戦後、民間の社会福祉施設などに対し財政を補填(ほてん)するために行われていました。現代では社会福祉施設に限らず、社会福祉を目的とする事業活動全般に幅広く寄付されています。
運動期間は厚生労働大臣の告示によって決められており、期間の初日には各地の街頭でボランティアの人々による募金活動が行われるほか、大河ドラマの出演者や大相撲力士が参加することもあります。
毎年、全国共通助成テーマが決められており、2022年度(令和4年度)は前年に引き続き「つながりをたやさない社会づくり~あなたは一人じゃない~」がテーマになりました。赤い羽根共同募金が地域の支えあい、つながり作りのきっかけとなることを目指しています。
文化の日(11月3日)
文化の日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日として制定されました。「国民の祝日に関する法律」が制定された1948年(昭和23年)、当時定められた9つの祝日のうちの一つです。この日は明治天皇の誕生日だったことから、祝日法が制定される前は「明治節」と呼ばれていました。
11月3日は、1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布され、憲法の中で戦争放棄という重大な宣言をした日でもあります。国際的にも文化的意義のある重要な日であることから、祝日制定の際に「文化の日」と名づけられました。
なお文化の日を中心とする11月1日~11月7日の1週間は「教育・文化週間」とされており、全国各地で体験活動、公開講座、美術館・博物館の無料開放といった多くのイベントが行われています。
酉の市 - 2022年は11月4日、11月16日、11月28日
酉の市(とりのいち)は、11月の酉の日に行われる開運招福・商売繁盛を願うお祭りで、江戸時代から続く年中行事です。
酉の市の発祥とされているのは足立区にある大鷲神社(おおとりじんじゃ)で、もともとは近隣の農民が「鷲大明神」に感謝する収穫祭だったそうです。大鷲神社では、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を御祭神としています。当時氏子たちは鶏を鷲大明神に奉納し、終わった後は鶏を浅草の浅草寺まで運んで観音堂前に放してやる風習があったようです。
正月を迎える最初のお祭りとされており、11月の最初にめぐってくる酉の日が一般的に重んじられていました。酉の日は12日おきにめぐってきて、12日ごとに一の酉、二の酉と呼びます。年によっては三の酉までありますが、三の酉まである年は火事が多くなるといわれています。
酉の市は、一の酉の午前0時に打ち鳴らされる一番太鼓から始まり、終日お祭りが行われます。酉の市で手に入れることができる商売繁盛の縁起物の熊手にはさまざまな種類があり、見たり選んだりするのも楽しいでしょう。
浅草の鷲神社、新宿の花園神社、府中の大國魂神社が関東三大酉の市として知られていますが、他にも多くの神社で酉の市が行われます。
立冬(りっとう)(毎年11月7日・8日ごろ) - 2022年は11月7日
立冬は二十四節気の一つで、名前の通り、暦上ではこの日から冬が始まるとされる日です。太陽暦をもとにしているため、日にちは毎年11月7日~8日あたりで変動しますが、2022年の立冬は11月7日です。
現在では最初の一日のみを立冬ということが多いですが、本来は太陽の黄経が225度に達したときから240度に達するまで、つまり次の二十四節気である小雪までの約15日間を指します。
立冬の行事食は特にありませんが、ほうれん草やリンゴといった栄養価の高い旬の食べ物を取り入れるといいでしょう。
なお立冬の頃には「亥の子の日(いのこのひ)」があります。これは亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日を指し、2022年は11月6日です。「亥」は中国の陰陽五行説において火に強い「水」にあたるため、この時期に暖房器具を出すと火災が起こらず、縁起が良いといわれています。
七五三(11月15日)
七五三は、子どもが3歳、5歳、7歳になったときに行われる、日本の伝統行事です。
由来は諸説ありますが、平安時代に宮中で行われていた3つの儀式が基になっているといわれています。子どもの死亡率が高かった当時、7歳までは「神の子」であると考えられており、7歳になると人間として認められていました。
3歳、5歳、7歳は奇数なので、中国の陰陽道(おんみょうどう)における「陽」にあたるため、縁起が良いといわれています。節目の時期に成長を神様に感謝しお祝いをするこの儀式は、江戸時代に武家や商人の間に広まり、その後明治時代の頃に庶民にも広まったそうです。
七五三は基本的には自分たちが住む地域の神社、つまり氏神神社に参拝する儀式ですが、近年では有名な神社に足を運んで儀式を行うこともあります。
えびす講(11月20日など)
えびす講は、恵比須様を祀る行事です。商売繁盛や家内安全を願い、神棚に銭や財布を入れた一升枡をあげるなどします。地域によっては生きた魚を水鉢に入れ、恵比須様に供えたり、また同じ魚を井戸の中に放したりすることもあります。
えびす講は11月20日に行われることが多いですが、地域によって異なるため12月20日などに行う地域もあります。
小雪(しょうせつ)(毎年11月22日・23日ごろ) - 2022年は11月22日
小雪は二十四節気の一つで、大雪ではないけれど、そろそろ雪がちらつき始める時期のことです。2022年は11月22日が小雪にあたります。
決まった行事食などはありませんが、立冬と同じくほうれん草のような旬の食べ物を積極的に取り入れるのがおすすめです。
新嘗祭(にいなめさい)(11月23日)
新嘗祭は、国家安泰・国民の繫栄を祈るお祭りで、毎年11月23日に、日本全国の神社で行われます。収穫した新穀を神様に奉り、恵みに感謝する神事です。
新嘗祭は「しんじょうさい」とも読み、「新」は新穀、「嘗」は味わう、試すという意味です。実際に宮中では、天皇陛下が自ら育てられた新穀を奉り、召し上がる儀式が行われます。
勤労感謝の日(11月23日)
勤労感謝の日は「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされています。
1948年(昭和23年)の「国民の祝日に関する法律」制定時に定められた9つの祝日のうちの一つです。祝日法が制定される前までは、11月23日は祭日の「新嘗祭」であるため休日でした。「新嘗祭」は国民にとって新穀に感謝する日であったため、祝日法の制定時にはこの日を「新穀祭」や「新穀感謝の日」とする案も出されていました。
この日は、古くからある収穫に感謝する風習を生かしつつ、「感謝する日」として新たに設けられました。この「感謝」とは、国民が毎日生活できているのは互いに助け合っているからであり、すべての人がすべての生産と働きとに感謝し合うべきだという考えに基づいています。
11月の記念日・海外のイベント
11月の記念日や海外のイベントについてご紹介します。日本の伝統的な年中行事とは異なり、近年になって取り入れられるようになったものばかりです。
犬の日(11月1日)
犬の日は、「1」が3つ並ぶことから、「ワンワンワン」という犬の鳴き声にちなみ、ペットフード工業会(現在の一般社団法人ペットフード協会)により1987年(昭和62年)に制定されました。「犬についての知識を身につけ、犬をかわいがる日」として、犬にまつわるさまざまなイベントが行われます。
なお日本には十二支にまつわる「戌の日(いぬのひ)」があり、こちらは妊娠5カ月目に安産祈願として帯祝いをする日なので混同しないようにしましょう。
諸聖人の日(11月1日)
カトリック教会にとって11月1日は、すべての聖人を祝う諸聖人の日です。なお翌日の11月2日は死者のために祈りを捧げる日とされています。
ポッキー&プリッツの日(11月11日)
ポッキー&プリッツの日は、江崎グリコが制定した記念日です。「1」が4つ並んでいることから、自社製品のポッキーとプリッツを広める記念日として、1999年(平成11年)に制定しました。
ボジョレー・ヌーボー解禁日(毎年11月の第3木曜日) ~2022年は11月17日~
毎年11月の第3木曜日は、赤ワインのボジョレー・ヌーボー解禁日です。2022年は11月17日が該当します。
ボジョレー・ヌーボーとはフランス・ブルゴーニュ地方の南に位置するボジョレー地区で、その年に収穫したぶどうを使用した新酒の赤ワインのことです。"Nouveau"(ヌーヴォー)はフランス語で「新しい」という意味で、軽快な飲み口が特徴です。
いい夫婦の日(11月22日)
いい夫婦の日は「ふたりの時間を大切にする日」です。1988年に財団法人余暇開発センター(現・財団法人日本生産性本部)が、夫婦でゆとりある余暇を楽しむライフスタイルを提案し、この日を「いい夫婦の日」として提唱しました。
「パートナー・オブ・ザ・イヤー」選出や「いい夫婦川柳コンテスト」など、夫婦の絆を深めるイベントが毎年開催されています。
感謝祭/サンクスギビングデー(毎年11月の第4木曜日) ~2022年は11月24日~
アメリカの祝日の一つで、毎年11月の第4木曜日が該当します。2022年は11月24日です。
今から400年程前、アメリカを植民地にしようと、イギリスから入植者が上陸しました。そして移住後初めての収穫を神に感謝する祝宴として始まったのが、感謝祭のきっかけとされています。入植者たちは現地のネイティブ・アメリカンの助けや指導があったおかげで生き延びたため、祝宴にはネイティブ・アメリカンも招き、もてなしたとされています。
現代でも七面鳥やトウモロコシ、クランベリー・ソースを使ったぜいたくな料理が食卓に並ぶイベントとなっています。
ブラックフライデー(毎年11月の第4金曜日) ~2022年は11月25日~
アメリカでは、感謝祭(サンクスギビングデー)の翌日の金曜日、つまり毎年11月の第4金曜日はブラックフライデーと呼ばれています。木曜に行われる感謝祭が祝日のため、土日に挟まれたこの日も休日とする職場が多く、小売店にとっては年末商戦の初日かつ最大の山場といわれています。
小売各社は、この期間だけで年間売り上げの2割を稼ぐといわれるほどの盛況ぶりを見せます。売り上げが軒並み黒字になることから、「ブラック」フライデーと呼ばれるようになりました。
日本でも2016年ごろから知られるようになり、最近ではセールなどが行われています。
11月は行事やイベントやが盛りだくさん! 意味や起源を知ってより楽しもう
11月の年中行事やイベントについてまとめました。11月は冬の気配が感じられる立冬や小雪の時期ではありますが、新穀の時期でもあるため生産や労働への感謝を伝える祭日や、これからの商売繁盛を願うお祭りも行われます。
秋冬の寒さに負けないよう、エネルギッシュに年中行事やイベントを楽しみましょう。