JR東海は、コスト削減と収益の拡大による経営体力の再強化に向け、同社のめざす鉄道の将来像とおもな取組みを発表した。最新の技術を積極的に活用し、「より安全に」「より便利に」「より快適に」鉄道サービスを提供することを基本的な考え方としている。

  • 東海道・山陽新幹線で導入の進むN700S

新幹線においては、全駅で可動柵を設置するとともに、運転中の速度制御や停車を自動化した半自動運転機能を導入。運転士は駅発着時におけるホーム上の安全確認やドア開閉、発車作業を行う。車掌は列車内でのサポート業務に注力し、巡回強化により車内セキュリティを向上させるという。

2023年秋には、新幹線と旅先での交通手段、宿泊、観光プランなど旅行全体をシームレスに予約・決済できる「EX-MaaS(仮称)」を開始。高付加価値サービスの導入として、グリーン車の上級クラス座席やビジネス環境を一層高めた座席の設定など、新幹線の新たな座席の設定も検討する。新幹線車両を貸切にしてイベントを実施できる新たなサービスも始めるとのこと。

  • 中央本線を皮切りに、JR東海の在来線で順次導入予定の315系

在来線においては、3両以上の一部編成で車両の側面にカメラを設置。運転士がカメラの画像を確認するほか、ドアへの挟まれやホームからの転落などを検知する画像認識技術の活用も検討する。3両以上の編成にもワンマン運転を導入する。

利便性向上のため、新幹線・在来線ともにチケットレスサービスを拡大。スマートフォンでいつでも指定席の予約や定期券の購入可能とするほか、在来線特急列車もチケットレスで乗車可能にする。「TOICA」利用エリアも順次拡大し、全線で交通系ICカードを利用できるようにする。

駅においては、テレビ電話を活用した「サポートつき指定席券売機」など、遠隔での案内サービスを拡充。早朝・深夜でもきっぷを購入できる駅を増やす。これと並行して、利用実態に合わせて駅係員の配置を適正化する。