クロスメディア・パブリッシングは10月28日、書籍『日本はクール!?』を刊行した。
同書はクールジャパン・プロデューサーを務めるベンジャミン・ボアズ氏が、いつまでも「日本人の考える日本像」から脱却できない私たち(日本人)に向けて、「日本製品の海外戦略に決定的に欠けている観点」について具体例を交えながら解説した一冊。
「世界から見ても日本は最高にクールであるにもかかわらず、なぜ日本の魅力を最大限に海外に向けて発信できていないのか」と語る著者が、日本が抱える問題に切り込んでいる。
■日本の間違いだらけの魅力発信
なぜ日本の魅力を最大限に海外に向けて発信できていないのか。
在日15年以上で、内閣府公認クールジャパン・プロデューサーを務めるボアズ氏は、日本人視点の日本(マイ・ジャパン)でしか見ていないことに、日本の商品・文化のPRや、クールジャパン政策の問題があると指摘している。
世界の人々が日本に何度も恋をしてきたことは 歴史上においても明らかだ。しかし実は、世界が見ている「日本」 と、日本が見ている「日本」は異なるという。
日本が世界市場で生き残っていくためには、海外視点(ユア・ジャパン)に立ち、海外の人たちが持つ日本のイメージは何かを知ることが必要不可欠であり、本当のインバウンド需要に寄り添っていくことが重要であると指摘している。
■日本人のこだわりが強すぎる「マイジャパン」の失敗例
日本が「正しい日本」を伝えることに夢中になり、海外からの需要を無視してしまっている事例は多々ある。
日本人のこだわりが強すぎる「マイジャパン」の失敗例として、同書では以下を挙げている。
・外国人観光客に人気のある中野ブロードウェイ 中野を「オタクの聖地」として紹介することに複雑な思いを抱き、あまり宣伝をしたくないと思う人たちも多い
・外国人留学生が運動して疲れているので、寝る前に冷たいノンカフェインの水を欲しがっているにもかかわらず、「大切なお客様に水を出すのは失礼です」と彼らに確認をすることもなく、すぐにお茶を用意してしまう
このように「正しい日本」「日本人の日本」(マイ・ジャパン)に執着するあまり、外国人の需要や興味を持っていることに気が付かず、せっかくの日本を知ってもらう機会を逃してしまっている。
■ユア・ジャパンから日本を見ることに重要性
一方で、マイ・ジャパンから抜け出し、ユア・ジャパンで成功したビジネスもある。
アメリカで大人気の日本食レストランのベニハナは、創業当時に多かった日本食レストランで出される伝統的な日本食の量の少なさや見慣れない食感にアメリカ人は興味がないことに気付き、アメリカ人になじみのあるステーキ、チキン、 エビなどでメニューを構成。そうすることで、ベニハナはアメリカでは誰もが知っている日本食レストランへと成長した。
このように、同書では、「マイ・ジャパン」から脱却し、「ユア・ジャパン」で日本の商品・文化をPRすることの重要性を、ビジネスやコミュニケーション戦略の具体例とともにわかりやすく解説していく。
日本を愛し、日本の製品を愛する外国人は多く、日本の持つブランド力は今でも強い。同社では、「日本が世界に通じるメッセージを工夫して発信することで、一緒にクールジャパン現象で世界を巻き込みましょう!」とコメントしている。
・輸出ビジネスに携わる人
・インバウンドビジネスに携わる人
・日本の魅力に気づいていない人
・日本の魅力に気づいている人
第1章 日本ではなく「ジャパン」
第2章 マイ・ジャパンからユア・ジャパンに渡る
第3章 ビジネスにおけるクールジャパンの成功例
第4章 他人の興味を活かせばいい
第5章 クールジャパンってそもそも何?
第6章 クールジャパンの本当の姿
第7章 国や組織ができること
第8章 クールジャパン庁を設立せよ
終章 日本再発見
四六判/288ページで、定価は1,628円。