そろそろ年末調整の時期が近づいてきましたね。ここ数年、毎年変更点のある年末調整ですが、今年2022年はどのような点が変更されるのでしょうか。
この記事では、2022年年末調整の変更点や注意点をご紹介し、近年の変更もあわせて解説しました。年末調整の前に、まとめて確認しておきましょう。
■2022年(令和4年)年末調整の変更点、注意点
一昨年2020年は年末調整における変更点が多く、手続きで混乱した方もいるかもしれません。しかし、今年2022年の年末調整に影響する変更点は、これから解説する1点のみとなります。
<「控除証明書」の電子データ提出の適用範囲が拡大>
年末調整で所得控除の適用を受けるためには、勤務先に各種書類の提出が必要です。2020年以降は、これら申告書類の電子化要件が緩和されています。
2020年には、年末調整で提出する控除証明書のうち、「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」、「住宅借入金等特別控除証明書」などについて、電子データでの提出が可能となりました。
これらに加え、今回2022年の年末調整からは、「社会保険料控除証明書」「小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書)」も電子データで提出できるようになります。「小規模企業共済等掛金控除証明」については、iDeCoに加入している場合などに提出が必要です。
ただし、勤務先が電子的控除証明書等の受付に対応していない場合、これまで通り紙の控除証明書で提出します。もしくは、電子データを国税庁のサイトで印刷可能な形式(QRコード付のPDFファイル)に変換し、印刷して使用することも可能です。
■2021年(令和3年)、2020年(令和2年)は何が変更された?
近年は税制改正が頻繁に行われており、それに伴い、年末調整の様式や手続き方法にも変更点が生じています。昨年2021年、そして一昨年2020年にはどのような変更があったのか、振り返ってみましょう。
<2021年の変更点>
2021年の年末調整における大きな変更点は、税務関係書類の押印義務が見直され、以下の書類の押印が不要になったことです。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
・住宅借入金等特別控除証明書(いわゆる「住宅ローン控除証明書」)
<2020年の変更点>
2020年の年末調整は、直近で最も大きな変更のあった年でした。主な変更点は、これから挙げる4点です。
1.源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者に関する変更
源泉控除対象配偶者の所得が、2019年までの85万円から2020年以降は95万円以下に変更されました。また、同一生計配偶者の所得も2019年までは38万円でしたが、2020年以降は48万円以下へと変わっています。
「源泉控除対象配偶者」とは、合計所得金額が900万円以下の給与所得者と生計を一にする配偶者のうち、38万円満額の配偶者控除(もしくは配偶者特別控除)が受けられ、毎月の給与計算の際に、被扶養者1名として数えることのできる配偶者です。
2.「ひとり親控除」の新設と寡婦(寡夫)控除の見直し
いわゆる「ひとり親」に対する税制上の措置としては「寡婦(寡夫)控除」がありますが、これに該当するには配偶者との死別や離婚が条件であり、未婚のひとり親は所得控除の対象外でした。
しかし、2020年の改正によって「ひとり親控除」が新設され、子どもを養育するひとり親なら、未婚の理由や本人の性別に関係なく、本人の所得が500万円以下である場合には、35万円の所得控除が受けられるようになりました。
なお、「ひとり親控除」の創設に伴い、寡夫控除は廃止となる(「ひとり親控除」に吸収)など、寡婦(寡夫)控除の見直しが行われています。
3.単身児童扶養者欄の変更
2020年以降、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、新たに「単身児童扶養者欄」が設けられました。単身児童扶養者とは、児童扶養手当の支給を受けているひとり親で、以下の条件を全て満たす人を指します。
・児童扶養手当の支給を受けている児童の父または母であること
・現に婚姻をしていないか、配偶者の生死が明らかでないこと
・児童扶養手当の対象児童の総所得金額等の合計額が48万円以下であること
この変更により、単身児童扶養者の前年の総所得金額が135万円以下であるときには、その年の住民税が非課税となる措置が創設されました。
4.給与所得者の配偶者控除等申告書の変更
2019年までは「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書式でしたが、2020年からは「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という、3つの控除申告書の役割を持つ書式へと変更されました。
■変更点をよく確認し、スムーズに年末調整を終わらせよう
2022年の年末調整では、さほど大きな変更点はありませんでした。しかし、来年2023年(令和5年)には「住宅ローン控除率、適用期間の変更」「非居住扶養親族の扶養控除の適用除外」という変更が予告されていますので、来年は改めて確認が必要そうです。
これから年末にかけて忙しい時期となりますが、昨年や一昨年のものとあわせて変更点をよく確認し、スムーズに年末調整を終わらせましょう。