俳優の岡田将生が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『ザ・トラベルナース』(毎週木曜21:00~)第2話がきょう27日に放送される。同作は『ドクターX~外科医・大門未知子~』生みの親・中園ミホ氏が脚本を手掛ける、看護の世界に焦点を当てた痛快医療ドラマ。スーツケースを手に街を渡り歩き看護に従事する、優れた資格を持ったフリーランス看護師=トラベルナース・那須田歩を岡田が、柔らかい物腰ながらここぞという場面では痛烈な一言を放つ謎多きスーパーナース・九鬼静を中井貴一が演じる。
20日に第1話が放送されると視聴率は個人6.6%、世帯11.9%を獲得(関東地区・ビデオリサーチ調べ)、10月期民放連続ドラマ初回視聴率2位タイと好発進。岡田と中井が協力して「真逆な2人のコンビがクセになる」、「相性バッチリなタッグ」と話題を集めている。今回は岡田に、そんな“相棒”役ともいえる中井にかけられた言葉や現場づくりで大切にしていることを聞いた。
――今作の役作りで大切にしていることを教えてください。
「トラベルナース」という言葉自体初めて聞いたのですが、事前にスタッフの方々がまとめてくださった資料を読んでまずは頭で理解するところからスタートしました。アメリカでは優秀なナースだった歩くんが、日本ではコミュニケーション能力不足であることが露呈してしまうのですが、連続ドラマだとキャラクターの幅を広げられるシーンがたくさんあるので、静さんと出会って変わっていく姿を大切に演じていきたいです。
――歩の印象は。
日本とアメリカの社会って全然違うじゃないですか。アメリカで生き抜くためには歩のような精神力と体力が必要で、ハートが強くないとやっていけないだろうなと思ったので、そこはリスペクトしています。歩は嫌な奴、めんどくさい奴と言われながらも、どこか愛される“抜け感”が脚本に盛り込まれているので、僕も演じていてかわいいなと感じます。その場で思っていることを言ってしまうのはアメリカ仕込みの良さでもある。互いをリスペクトし合っているから、言葉がよりよい環境にしていくための話し合いへと繋がるんですよね。日本だと衝突を避けることが多いので、そのバランスを上手く見せられれば、静と歩の関係性も物語も面白くなっていくのかなと思っています。
――記者会見でも岡田さんの発言を皆さんが微笑ましく見守っていたりと、座長の愛されぶりを感じたのですが、現場はどんな雰囲気ですか。
会見は、未だに人前が慣れないので緊張しちゃいました(笑)。33歳になるので皆を引っ張っていかないとと思いながらも、そうじゃない自分もいるので、とにかく嘘をつかず皆さんと接することができればと。ナースは横のつながりが大切だから、今作では皆さんと足並みをそろえて進んでいくチームワークを見せなければいけない。そんな状況で、何度も共演させていただいている寺島しのぶさんや、野呂佳代さんが現場をすごく盛り上げてくださって、スタッフさんも皆その意図を理解して現場の雰囲気を作り上げてくださっているんです。誰かがNGを出しても盛り上がるというすごくいい空気感で撮影ができています。
ナースハウスで食事をしているシーンでは、野呂さんが食卓に出ている食材が描かれたTシャツの衣装を着ていらっしゃるのがすごくかわいくて。エビフライを食べている野呂さんを見ているだけでほっこりします(笑)。食事シーンには手術シーンを彷彿とさせるような、演劇的な演出も盛り込まれているので注目していただけたらうれしいです。
――現場作りで心がけていることは。
最近常々思うんですけど、毎日来たくなるような現場が一番いいじゃないですか。いい緊張感は必要ですが、要らない緊張感をなくすために、より現場が明るく皆で同じ方向を向いている現場にしようと、皆さんとのコミュニケーションを大事にしています。
――中井さんとは映画『プリンセス トヨトミ』(11年)以来11年ぶりの共演となりますが、どんなお話をされましたか。
11年前はお芝居の深いセッションがなかったので、次はがっつりご一緒できる機会をいただけるように頑張ろうと思っていました。時を経てタッグを組む役どころで共演できることになって、それだけで純粋にうれしかったです。今回は貴一さんに自分をさらけ出しながらドラマを作っていくことが正解なのかなと思っていて、撮影の合間には「合っているかどうか分からないんですけど、こういうふうにやりたいんです」といったお話をずっとさせていただいています。僕も作品にちゃんと向き合っているつもりですが、貴一さんはその何倍も深く考えて作品に向き合っていて、勉強になることばかり。貴一さんはいつも僕を立ててくれて、「やりたいようにやりなさい。全力で守ってあげるから」という言葉もくださったので、全力で甘えて、そして全力でぶつかることができました。
――今作での中井さんとの共演は、岡田さんの今後の俳優人生にも変化をもたらしそうですか。
そうなると思います。きっと正確に気づくのは3年後、5年後、10年後なのかもしれませんが、「ずっと仕事ができる俳優」とは何なのかを貴一さんから教えてもらった気がするんです。
――最後に見どころを教えてください。
毎話素敵なゲストの方が演じる患者さんに、ナースたちがどう向き合って寄り添っていくのか、というところに注目してほしいです。静と歩の関係性も少しずつ変化していきます。歩はナースとしては本当に優秀ですが、人としては欠けている部分があって、ツンとデレなところがかわいらしいキャラクター。でもやり方が皆と違うだけで、ナースとして「人を救いたい」という気持ちは他のナースと同じです。人はそんなに簡単に変われるものではないですが、毎週通して見て頂くと少しずつ“静イズム”が歩の中に入っていって「変わって来たな」と感じられると思います。その変化を楽しんでいただければうれしいです。
1989年8月15日生まれ、東京都出身。2006年にデビュー。近年の主な出演作に映画『アントキノイノチ』(11年)、『宇宙兄弟』(12年)、『何者』(16年)など。2021年は『さんかく窓の外側は夜』、『Arc アーク』、『ドライブ・マイ・カー』、『CUBE 一度入ったら、最後』、『聖地X』と5本の映画のほか、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』、舞台『ガラスの動物園』などにも出演した。ナレーションを務めるNHK Eテレ『SWITCHインタビュー 達人達』が放送中。公開待機作に『1秒先の彼』(2023年夏公開予定)がある。
スタイリスト:大石裕介、ヘアメイク:小林麗子